豊田高専発スタートアップNAGARAが6200万円を資金調達 AI音声介護記録「ながらかいご」を提供開始
豊田高専発スタートアップの株式会社NAGARAは、Theta Times Venturesをリードとするシードラウンドで総額6,200万円の資金調達を実施。同時に、音声特化型AI介護記録サービス「ながらかいご」を正式リリースした。
“話すだけで記録が終わる”——介護現場の負担をゼロへ
NAGARAが提供する「ながらかいご」は、介護士が利用者と会話しながら音声入力するだけで、介護記録・議事録・報告書を自動生成するAIサービスである。IT操作が苦手な職員でも使える設計が特徴で、介護業界の大きな課題となってきた入力作業の負荷を大幅に軽減する。
提供する主要機能は以下の4つ。
音声介護記録:日常対話をもとにリアルタイムで文書化
自動報告書生成:蓄積データをもとに月次レポートを自動作成
議事録生成:話者識別機能により会議・面談の記録を自動化
AIエージェント:利用が進むほど施設ごとに最適化されたAIが進化
創業から2ヶ月で累計41施設でトライアルを開始。現場訪問・機能改善・運用検証を高速で回すことで導入障壁を徹底的に下げている点も特徴だ。調達した資金は、開発と営業体制の拡大、自治体や大学との共同研究体制構築に投じる。代表取締役CEOの岡田氏は「ケアに割ける時間を利用者に取り戻すことが使命である」と語る。
投資家からの期待の声
投資家・支援者からは「実装力」「爆速開発」「現場密着」を評価する声が多い。
事業アイデア創案から半年でプロトタイプ開発、全国ヒアリング、βテスト、資金調達までを駆け抜けた。Theta Times Ventures代表の北尾氏は、岡田氏を「即決で投資を決めた起業家」と評し、F Venturesの両角氏は「課題と信念が明確で、変革を起こす人物」とコメント。STATION Aiの中島氏、タイミーの代表取締役 小川氏らも、現場ニーズと技術の親和性、介護領域の社会意義の大きさに期待を寄せる。
介護士と高齢者を救いたい
岡田氏は「介護士と高齢者を救いたい——その一心で人生を賭けて起業した。高専で技術を学ぶほど、技術の進歩と社会の間に横たわるデジタル格差に問題意識を抱き、祖父にWiiを贈ったときの笑顔が原点。 去年の年末に初めて訪れた介護現場では、紙の記録と不慣れな端末に追われる介護士に出会い、その後“話す=記録が終わる”「ながらかいご」を形にした。」と語る。
介護業界は慢性的な人材不足と記録業務の負担が課題となる中、「ながらかいご」はデジタルアレルギーなく導入できる現場特化型AIとして注目されている。愛知から生まれた介護DXの旗手が、業界の構造課題に挑む。
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(TOMORUBA編集部)