
蒟蒻由来の高機能原料と独自技術を提供するNINZIA、1億円を調達 蒟蒻由来の食感創成技術で世界の食課題解決へ
蒟蒻由来の高機能原料と独自の「テクスチャ・エンジニアリング(食感創成)」技術を提供する株式会社NINZIAは、2025年8月にプレシリーズAラウンドで総額1億円の資金調達を完了した。今回のラウンドには、Future Food Fund、リバネスキャピタル、再春館共創ラボラトリーが新規参画し、既存投資家である立命館ソーシャルインパクトファンドも追加出資を実施。調達資金は研究開発と量産体制の整備、さらに北米・ASEANを中心とした海外展開に活用される。
糖尿病・肥満という世界的課題に挑む
世界で8億人以上が糖尿病に罹患しており、肥満人口も1990年から2022年にかけて3倍近くに増加するなど、生活習慣病は深刻な社会課題となっている。食品中の糖や脂肪は味や風味だけでなく「食感」「結着・成型」に重要な役割を果たすため、単純な代替が難しい。NINZIAはこうした課題に対し、蒟蒻の食物繊維を活用した低糖質・低脂質で植物性の代替原料を開発。食の制限を持つ人々にも「食べる楽しみ」を提供することを目指す。
蒟蒻を再定義する日本発フードテック
蒟蒻は日本で古くから食されてきた伝統的食材だが、その固化メカニズムはいまだに未解明の部分も多い。NINZIAは蒟蒻に含まれるグルコマンナンに着目し、糖や脂質を用いずに結着・成型を可能にする独自技術を確立。この技術により、従来の代替食品では難しかった「満足感のある食感」を実現する。国内で消費が減少傾向にある蒟蒻を「次世代ヘルスケア素材」として世界に広げ、日本発の食テクノロジーをグローバル市場に展開する。
投資家が寄せる期待
Future Food Fundは「植物性・糖質ゼロ・低カロリーという特性が世界の食品産業の課題に応える」と評価。リバネスは「サイエンスを基盤に成長する企業に育てたい」とし、立命館ソーシャルインパクトファンドも「伝統と先端科学を融合した挑戦」として支援を継続。再春館共創ラボラトリーも「国内外での食による健康価値の共創」を期待している。NINZIA 代表取締役CEO兼CROの寄玉昌宏氏は、「糖尿病や肥満、アレルギーなどによる制限を超え、誰もが食を楽しめる世界をつくる」と意気込みを語る。自身が糖尿病になりやすい家系であることから、フードテック事業への思いは強い。大阪大学で博士課程として蒟蒻研究を進めながら、企業経営と並行して科学的探究も深めている。
今後の展望
NINZIAは、「高血糖・肥満対策」「栄養圧縮」「防災食」を重点領域に掲げ、米国やASEAN市場での事業展開を本格化させる。伝統食材である蒟蒻と先端工学を掛け合わせることで、世界の人々に新しい食の価値を届ける挑戦は始まったばかりだ。
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(TOMORUBA編集部)