日清食品×T2、幹線輸送にレベル4自動運転導入へ。12型パレット活用で軽量貨物の効率輸送を検証。
日清食品株式会社と大型トラックの自動運転の実現を目指す株式会社T2は、自動運転トラックを用いた幹線輸送＊1の実証実験を、2025年6月5日・6日の2日間にわたり関東〜関西間の高速道路にて実施した。今回の試みは、将来的なレベル4＊2自動運転による輸送体制の構築に向けた第一歩となる。
トラック輸送の課題を解決する技術的アプローチ
現在の物流現場では、ドライバー不足や長時間労働が社会問題化しており、とくに長距離幹線輸送における担い手の確保が困難となっている。こうした課題に対して、日清食品とT2は、ドライバーの関与を最小限に抑えるレベル4自動運転による輸送の実現を目指し、2027年のサービス開始を視野に入れた共同開発を進めている。
今回の実証実験では、まずはレベル2＊3相当の自動運転技術を用いたトラックによる走行を通じて、自動運転が軽量貨物輸送の現場でどの程度有効かを検証する。実験車両にはドライバーが同乗し、実際の走行ルートや所要時間、交通や天候といった環境変化への対応力、さらには製品への影響などが評価される。
「軽いがかさばる」製品の特性に対応――12型パレットの有効性を検証
物流現場で重要視されるのは、単に積載重量ではなく、容積の効率的な活用だ。とくに日清食品が扱う即席麺のような軽量貨物では、重量制限よりも「かさばり」による容積制限が輸送効率を左右する。
この課題に対し、今回の実証では、国内外で標準規格となっている「12型パレット」（1,200mm×1,000mm）を活用。これは、従来使用されていた11型パレット（1,100mm×1,100mm）に比べて、日清食品の「カップヌードル ビッグ」では約117%のケース数を積載可能とされている。効率的な積載を追求することで、輸送回数の削減やコストの抑制が見込まれる。
実証ルートと各社の役割
実証実験は2日間にわたり、次のルートで行われた。
1日目（6月5日）往路：茨城県取手市にある日清食品 関東工場から大阪府摂津市の自社倉庫へ
2日目（6月6日）復路：滋賀県栗東市の日清食品 関西工場から神奈川県横浜市の委託倉庫へ
このプロジェクトにおいて、日清食品は拠点や運行ルートの選定、実証貨物の準備を担当。一方、T2は実験全体のマネジメントと自動運転車両の提供を担う。
自動運転が切り拓く物流の未来
T2は、2022年設立のスタートアップ企業で、自動運転技術を基軸とした幹線輸送サービスを展開している。今回の取り組みは、同社にとってもレベル4自動運転技術の社会実装へ向けた重要なマイルストーンだ。
今後も両社は、テクノロジーと物流の融合によって社会課題の解決に貢献していく構えだ。ドライバー不足が深刻化するなか、自動運転による幹線輸送は、物流の未来を切り拓く鍵となるかもしれない。
＊1 工場で生産された製品を全国の配送拠点に主要な輸送ネットワークを通じて効率的に運ぶこと。
＊2 特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。
＊3 ドライバーの監視の下に行われる、特定条件下での高機能自動運転。
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（TOMORUBA編集部）
