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植物由来の新素材で脱炭素化へ。持続可能な素材の実用化を進めるBioworksと日東紡アドバンテックスが「ダブルドット接着芯」を共同開発

植物由来の新素材で脱炭素化へ。持続可能な素材の実用化を進めるBioworksと日東紡アドバンテックスが「ダブルドット接着芯」を共同開発

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持続可能な素材の実用化を進めるBioworks株式会社は、日東紡アドバンテックス株式会社と共同で、植物由来の新素材「PlaX(プラックス)」を使用したフィラメント(長繊維)タイプの「ダブルドット接着芯」を開発した。これは、環境負荷の低減と資源循環を目指すファッション副資材分野において、画期的な取り組みとなる。

スパンタイプに続く新展開、繊細な衣料への応用広がる

接着芯とは、衣類の表地に貼り合わせて生地を補強したり形状を保ったりする副資材の一種。これまでの接着芯地は石油由来のポリエステルやポリアミドが主流であり、環境面での課題が指摘されてきた。Bioworksと日東紡アドバンテックスは2022年より共同でこの課題に取り組み、2024年にはPlaXの短繊維(スパン)を用いた接着芯を開発。今回のフィラメントタイプは、さらなる素材進化を遂げた形だ。

PlaXフィラメント芯地は75デニールの極細タイプで、厚みのあるスパン芯地と異なり、薄くて軽いため繊細なデザインの衣服にも対応可能。幅広い製品への応用が見込まれている。

高度な技術でPLAの弱点を打破

ポリ乳酸(PLA)は植物由来のバイオマス素材でありながら、熱安定性や粘度管理が難しく、フィラメント化には高い技術が求められる。今回の開発では、Bioworksが長年培ってきたPLAの精密加工技術により、紡糸時の均一性を確保し、高品質な長繊維の量産化に成功した。

開発されたPlaXフィラメントは、LCA(ライフサイクルアセスメント)分析の結果、従来のポリエステルと比較して製造時のCO₂排出量を約70%削減できることが明らかになっており、脱炭素社会の実現に向けた実効的な素材として注目される。

生分解性とケミカルリサイクルの可能性

PlaXは、加水分解によって最終的に水とCO₂に分解される生分解性素材であり、工業用コンポスト下での分解も可能。また、現在は使用済みPlaX製品から再び原料となるポリ乳酸を再生する「ケミカルリサイクル」の実証実験も進行中で、クローズドループ(資源循環型社会)の実現に向けた一手として期待が寄せられている。

また、PlaXは、綿と比較して糸製造までに必要な水使用量を90%削減するなど、素材製造段階から環境への配慮がなされている。

ファッション副資材の「グリーン化」加速へ

現在、アパレル業界では表地における環境対応素材の開発が進む一方で、副資材における脱炭素化の動きは遅れている。とりわけ芯地に関しては、石油由来素材が大半を占める状況が続いていたが、今回のPlaXフィラメント芯地の実用化により、衣料品全体の環境負荷低減に向けた重要な一歩となる。

今後も両社は協業体制を継続し、サステナブルな副資材の開発と普及を進めていく方針だ。

関連リンク:プレスリリース

(TOMORUBA編集部) 

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