
インキュベイトファンド、総額300億円規模のグロースファンド「IF Growth」を組成
インキュベイトファンド株式会社は、グロースキャピタルに特化したファンド「IF Growth」を組成し、ファーストクローズを完了した。最終的なファンド総額は300億円を予定している。また、元SMBC日興証券の井原昌史氏を本ファンド専任のジェネラルパートナーとして招聘した。並行して、シードステージに特化したファンドについても、関連ファンドと併せて総額205億円でファイナルクローズした。
【1】グロースキャピタルに特化したファンド「IF Growth」
・設立背景
昨今、上場市場改革の進展や、M&A・セカンダリー取引への需要の高まりを背景に、スタートアップを取り巻く資本環境は大きな転換点を迎えている。一方で、こうした変化を着実に成長へとつなげていくために不可欠な、非上場グロースステージの企業への継続的な資本供給を担えるプレイヤーは、国内では依然として限られているのが現状といえる。
こうした課題に対し、インキュベイトファンドは、2010年の創業以来一貫してシード特化型ファンドとして築いてきた起業家支援の知見を活かしつつ、非上場グロース市場における資本循環の新たな選択肢を提示し、日本発スタートアップの持続的な成長を後押しすべく、「IF Growth1号投資事業有限責任組合」を組成した。
なお、本ファンドは東京都のスタートアップ戦略推進本部が管掌する「官民連携インパクトグロースファンド」において運営事業者として採択され、東京都からの出資を受けて設立された。
・市況環境に関して
2025年4月22日、東京証券取引所より「グロース市場における今後の対応」として、東証グロース市場に係る上場維持基準の見直しが発表された。この方針により、機関投資家の投資対象となり得る企業像がより明確化され、流動性・成長性・業績の質がより重視される方向性が打ち出された。
インキュベイトファンドとしても、この動きを、産業を牽引するスタートアップの選別と支援の仕組みを強化する前向きな改革として捉えており、強く歓迎している。
これからの国内スタートアップ市場において求められるのは、非上場期間における成長を着実に支えるグロースキャピタルと、柔軟な資本の流動性であると強く認識。こうした市場の進化を主導する一助となるべく、本ファンドを組成した。
・チーム
インキュベイトファンドはこれまで、創業期に特化したベンチャーキャピタルとして、起業家とともにゼロから事業を立ち上げていく体制の構築に注力してきた。
今回のファンド組成にあたっては、上場前後における企業の継続的な成長を実現するためのエクイティストーリーを策定し、キャピタルマーケットと戦略的に対話する体制を強化するべく、長年にわたり投資銀行業務に従事してきた井原昌史氏を、本ファンド専任のジェネラルパートナーとして招聘した。
今後も、本ファンドの運営に資する専門性を備えた人材の外部招聘を継続していく。また、「IF Growth」が起点となり、多様なステークホルダーと連携しながら体制の構築を進めることで、エコシステム全体での価値共創を目指す。
・投資戦略
以下の3つの領域において、グロースキャピタル及び流動性提供により、上場前後の企業価値最大化に資する国内スタートアップへ厳選投資する。
1.Deep Tech:
地政学的背景から国家戦略上重要度が上がる公益性・公共性の高い先端技術テーマ
2.Creative Industry:
新たなIPを創出すること、または既存国産IPの価値の最大化を図ることで、新しい文化を創出可能にするテーマ
3.Business Solution:
国内産業全体の生産性向上に資するデジタルソリューションと、それらをM&Aやビジネスモデルの追加/進化により大きな業界変革をもたらすテーマ
【2】シードステージに特化したファンド
シードステージに特化したファンドとしては第6号目となる「IncubateFund VI L.P.」を、関連ファンドと併せて総額約205億円でファイナルクローズした。インキュベイトファンドは2010年に創業来、”Zero to Impact”及び”First Round, Lead Position, Build Industries”を投資哲学とし、一貫して創業初期のスタートアップへの投資を実行してきた。現在に至るまでに確立した投資スタイルをベースに、本ファンドでは以下の4つを重点投資領域として投資を行う。
1.Japan to Global:
世界に通用するDeep Tech、Entertainment、Consumer Serviceへの投資
2.Green Innovation:
日本発の脱炭素、省電力化、リジェネラティブテクノロジーへの投資
3.National Security Tech:
地政学リスクの顕在化に伴うサプライチェーン転換を見据えた国家/経済安全保障に関わる技術への投資
3.Large Domestic Digital/AI Transformation:
国内の巨大産業に係るDXとLLMやGenerative AIの活用機会への投資
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(TOMORUBA編集部)