
サステナブルな次世代農業を起点とする超循環社会の実現を目指すTOWING、シリーズBラウンドで19.4億の資金調達を実施
高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)※」の開発・製造・販売および、関連する技術サービスの提供を行う株式会社TOWINGは、シリーズBラウンドにおいて、既存投資家のBeyond Next Ventures株式会社、三菱UFJキャピタル株式会社、京都キャピタルパートナーズ株式会社がそれぞれ運営するファンドおよび、東邦ガス株式会社、新たに株式会社脱炭素化支援機構(JICN)、三菱UFJ信託銀行株式会社、兼松株式会社、サントリーホールディングス株式会社、ノリタケ株式会社、電源開発株式会社、株式会社博報堂、一般社団法人AgVenture Lab、岡田 光信氏を引受先とした第三者割当増資ならびに、あおぞら企業投資株式会社のベンチャーデット、愛知県信用農業協同組合連合会の融資により、総額約19.4億円の資金調達を実施。今回の資金調達により累計調達額は約29.5億円を超えた。
これによりTOWINGは、成長スピードを加速させ、さらなる事業拡大とともに、「グリーン&アグリ領域のプロフェッショナルカンパニーになる」というビジョンの実現を目指す。
※宙炭(そらたん):
宙炭は、TOWING独自のバイオ炭前処理技術と微生物培養技術を、農研機構が開発した技術と融合させて実用化した土壌改良資材です。土壌の健康(ソイルヘルス)を向上させ、減化学肥料・有機転換の促進、作物の品質や収穫量の向上など、多くの有効機能を持っています。
バイオ炭は通常アルカリ性であり、農地への施用量によっては土壌のpHを上昇させ、作物の生育不良を引き起こす可能性がありますが、宙炭は中性に近い性質を持つため、単体で栽培しても作物が良好に生育します。
さらに、宙炭を使用することで地域の未利用バイオマスのアップサイクルや、農地への炭素固定を通じて温室効果ガスの削減も可能であり、リジェネラティブ(環境再生型)農業の実現にも貢献します。宙炭は、持続可能な食料システムを実現するための革新的なソリューションです。
背景
世界各国で持続不可能な現状の食料生産システムを改善する取り組みが実施されている。EUではFarm to Fork戦略、米国では農業イノベーションアジェンダ、そして日本ではみどりの食料システム戦略をそれぞれ策定し、温室効果ガス排出削減や、化学肥料依存から有機肥料利用への切り替えをはじめとする、地域資源を活用した持続可能な栽培方式への転換を推進している。
TOWINGは、農業が抱える課題である化学肥料依存や土壌劣化などの課題を解決するだけでなく、地域の未利用バイオマスの利活用や農地への炭素固定による温室効果ガス削減など、一つの資材で様々な課題を解決できる、まさに一石“多”鳥な土壌改良資材である、高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」を開発し、同プロダクトの社会実装を国内外で進めてきた。
今回調達した資金は、高機能バイオ炭に関するさらなる研究開発および、地域パートナーとの連携による製造拠点の拡充(量産を担うプラントの建設等)、さらに国内だけでなく海外事業拡大に向けた体制構築に充当する。今後も、資本参画いただいた投資家の皆様とともに、TOWINGの技術力、プロダクト、そして組織力を通じて、世界各国で持続可能な農業の実現に向け、邁進していくという。
TOWINGの現在と今後の展望
TOWINGは現在、全国各地で宙炭の試験導入を実施して一定以上の効果を確認しており、宙炭供給体制の構築に向け、地域パートナーと連携して宙炭の製造拠点の立ち上げを推進している。2024年には宙炭の研究開発と量産化を目的として豊橋プラントを稼働。2025年3月には、岩手県気仙郡住田町に岩手プラントを建設し、4月から試験運用を開始した。今後も、全国各地での宙炭の製造および、流通の確立に取り組んでいく。
また、リジェネラティブ(環境再生型)農業や、カーボンクレジットなど、宙炭に関連する周辺事業の拡張も行っている。リジェネラティブ農業については、国内だけでなくアメリカやブラジル、タイで、大手グローバル企業等と連携し、トマト、サトウキビ、コーン、大豆、コーヒー等の作物において宙炭を利用した大規模な環境再生農業への転換や炭素貯留を目的とした実証を開始。ブラジルでは、劣化した牧草地や農地の国家的な再生プロジェクトに参画し、国際協力機構(JICA)や農林水産省と連携しながら現地の持続可能な農業への転換を目指す取り組みを進めている。
カーボンクレジットについては、予約販売・創出に関するビジネスモデル特許(特許第7138390号)を取得し、2025年3月には本特許を活用した第一号案件となる長期的なJ-クレジット売買契約を締結した。リジェネラティブ農業やカーボンクレジットに関するビジネスでも存在感を増していきたいと考えているという。
さらに、海外での社会実装(宙炭量産化)についても、実現に向けて順調にプロジェクトが進捗中だ。例えば、タイにおいては、グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金に採択され、微生物培養プラントの現地実装および、大型化に関するプロジェクトを開始している。
これらの取り組みを通じて、グリーン&アグリ領域のプロフェッショナルカンパニーとなり、グローバル課題の解決に貢献したいという。
資金調達の内容
●調達金額:19.4億円
●資金使途: 高機能バイオ炭に関する技術の高度化、量産を担うプラントの開発・拡充、国内・海外事業の拡大に向けた採用および組織体制の構築など
●調達方法:第三者割当増資、ベンチャーデット、融資
●引受先(敬称略、順不同):名古屋大学・東海地区大学広域ベンチャー2号投資事業組合、三菱UFJキャピタル9号投資事業有限責任組合、KCAPベンチャー1号投資事業有限責任組合、東邦ガス株式会社、株式会社脱炭素化支援機構(JICN)、三菱UFJ信託銀行株式会社、兼松株式会社、サントリーホールディングス株式会社、ノリタケ株式会社、電源開発株式会社、株式会社博報堂、一般社団法人AgVenture Lab、岡田 光信氏、あおぞら企業投資株式会社、愛知県信用農業協同組合連合会

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(TOMORUBA編集部)