
オールインワンファンダムプラットフォーム「U Dom」を展開するユートニック、シリーズAで5.2億円調達——累計資金調達額は8.5億円に
2025年5月15日、オールインワンファンダムプラットフォーム「U Dom」を展開する株式会社ユートニックは、シリーズAラウンドにおいて総額5.2億円の資金調達を実施したと発表した。今回の出資には千葉道場ファンド、博報堂DYベンチャーズ、GOLDEN EGG Ventures、i-nest capital、トライコーン、アミューズ、カヤックが参加しており、第三者割当増資とデットファイナンスによる調達となる。これにより、ユートニックの累計資金調達額は8.5億円に達した。
「U Dom」、ファンとアーティストをつなぐ“熱狂のインフラ”へ
ユートニックが2023年にローンチした「U Dom」は、アーティストとファンの関係性を強化するためのオールインワンプラットフォームだ。ファンクラブ運営から物販、ライブ配信、チケット販売、デジタル会員証などを一括で提供し、アーティスト活動を360度支援する仕組みを備えている。
サービス開始からわずか2年でユーザー数は30万人を超え、アーティストへの還元額も累計10億円を突破するなど、着実に成長を遂げている。
今回の資金調達の目的は、「U Dom」のさらなる進化にある。具体的には、プラットフォームに蓄積されたファンの活動データを活用し、より高度なファンダムマーケティングを実現する統合型プロダクトへの拡張、そしてクリエイターの収益予測や信用スコアを用いたFintechソリューションの提供を視野に入れている。

支援者が語る「U Dom」の可能性と未来
千葉道場ファンドの石井貴基氏は、「熱狂の経済圏であるファンダム市場において、U Domは“ありそうでなかった”実用性と拡張性を備えたプロダクト」と評し、アーティストの持続的な活動環境の構築に期待を寄せた。
博報堂DYベンチャーズの漆山乃介氏は、「ノーコードで“熱狂インフラ”を提供する希少な存在」として同社を高く評価。テクノロジーとクリエイティビティの融合によって、表現文化の進化に寄与する可能性を指摘した。
また、GOLDEN EGG Venturesの三村泰弘氏・春田祥大朗氏は、「音楽業界の構造的課題を解決する“起点”となるプロダクト」としてU Domの独自性に着目。事業の成長性と経営陣の実行力を理由に、前回に続く追加出資を決定したという。
i-nest capitalの山中卓氏は、「代表の常田・今井両氏は高校時代からの音楽仲間で、アーティストへの敬意と情熱が事業の核にある」と語り、これまで4度にわたる出資に至った背景を説明した。
さらに、トライコーンの青木健太郎氏は、「モーツァルトもダビンチも資金支援がなければ才能を発揮できなかった」と歴史的視点を交えつつ、U Domが「才能と資金の有機的な結合」をもたらす存在であることを強調した。
“アーティストが挑戦し続けられる舞台”を創るテックベンチャーの挑戦
アミューズやカヤックなど、エンタメ業界の事業会社も出資に名を連ねた今回のシリーズA。ファンサービス事業を手がけるアミューズの中山真樹雄氏は、「異なるアプローチからファン体験を革新するユートニックの姿勢に共鳴した」とし、共創への期待を寄せている。
ユートニックの強みは、単なるツール提供にとどまらず、アーティストとファン、そしてその背後にある経済圏を「熱狂」を軸に再構築しようとする姿勢にある。今後はFintech領域へも踏み込み、資金アクセスに悩むアーティストの課題解決に本格的に乗り出す予定だ。
関連リンク:プレスリリース
(TOMORUBA編集部)