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ディフェンステックスタートアップ・AirKamuy、プレシードで1億円の資金調達を実施

ディフェンステックスタートアップ・AirKamuy、プレシードで1億円の資金調達を実施

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ディフェンステックスタートアップの株式会社AirKamuyは、2025年4月、プレシードラウンドにおいて1億円の資金調達を実施した。調達はANOBAKA、スパークル、STATION Aiファンドを引受先とする第三者割当増資と、名古屋銀行および日本政策金融公庫からの融資によるものである。

AirKamuyは、広範囲をカバーする固定翼VTOL無人機「Σ-1」などの開発を通じ、「グローバルな抑止力を支えるスケーラブルかつ持続可能なソリューションの提供」を掲げる企業だ。不安定化する国際情勢や、海上保安・災害対応の現場で顕在化する人材不足の課題に対し、同社のドローンは省人化かつ迅速な対応を可能とする手段として期待を集めている。

日本式ディフェンステックのロールモデルを目指して

欧米では、スタートアップが防衛装備品の技術革新を担う潮流が定着しつつあるが、日本国内ではその道はまだ開かれていない。法制度や市場環境の違いから、防衛×スタートアップは「茨の道」と言われる分野だ。

そうした中で、AirKamuyは欧米から学びつつも、日本の法制度や商習慣を踏まえた「日本式ディフェンステックスタートアップ」のロールモデル確立を志向する。その一環として、他のスタートアップの防衛領域への参入を支援する取り組みも始動している。

地政学リスクとドローンの進化

AirKamuyが開発する「Σ-1」は、艦上運用も可能な固定翼VTOL無人機であり、5時間以上の長時間飛行が可能だ。広大な排他的経済水域を持つ日本において、少子高齢化による人手不足と広域監視の両立は喫緊の課題である。Σ-1は、そうした現場ニーズに応える一手となる。

さらに、AirKamuyは段ボール素材を用いた安価なドローン「AirKamuy 150」の開発も進めている。大量生産が可能なこの機体は、地政学リスクの高まりと連動するかたちで拡大する「安価で使い捨て可能な無人機」ニーズにも対応する。

民間展開を見据えたデュアルユース戦略

防衛技術を民間へ展開する「デュアルユース」の考え方は、かつて米軍の研究から生まれたインターネットやGPSに見られる通り、社会基盤に大きな変革をもたらしてきた。

AirKamuyも、災害対応や遠隔地への物資輸送など、民間領域への応用に積極的だ。2025年夏以降には、地方自治体や企業と連携した実証実験を予定しており、防衛起点の技術が社会課題解決に寄与する道筋を描いている。こうした取り組みは、経産省・防衛装備庁も重要性を指摘しており、国家的なエコシステム構築に資する可能性を秘めている。

投資家たちの期待

今回のラウンドをリードしたANOBAKAの小林晃氏は、「防衛を担う技術がスタートアップから生まれる時代」と語り、AirKamuyの挑戦を「未来に必要な道」と評価する。スパークルの佐藤立基氏は元陸上自衛官という経歴から、現場の課題解決への期待を述べた。さらにSTATION Aiの中島順也氏は、航空宇宙産業が集積する東海地域からの発信として、地域産業との連携と成長に強い関心を寄せる。

また、代表取締役CEOの山口拓海氏は、「ディフェンステックかつハードウェアという、日本では敬遠されがちな領域に対して支援をいただいたことに感謝したい」と述べた。

関連リンク:プレスリリース

(TOMORUBA編集部) 

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