luv waves of materials、プロジェニサイトジャパン、Aladdin、アブソラボの4社が採択! 広島から環境ビジネス創出を目指す「HIROSHIMA GREEN OCEAN BUSINESS BUILD」完全レポート
広島県は2050年までに「環境・エネルギー」分野を県内の主要産業の一つとすることを目指し、持続可能な社会の実現に貢献するグローバル企業群の育成を推進している。2012年に広島県の呼びかけにより設立したひろしま環境ビジネス推進協議会では、「令和5年度ひろしま環境ビジネス推進協議会新規事業創出支援業務」の一環として『HIROSHIMA GREEN OCEAN BUSINESS BUILD』(以下、ビジネスビルド)を開催。広島県内のホスト企業4社が、新規事業のテーマを提示して全国からパートナー企業を募集し、オープンイノベーションで新たな価値創出を試みるというプログラムだ。
10月12日・13日の2日間は、多数の応募の中から書類選考及び面談選考を通過した応募企業8社と、ホスト企業4社が、同県内のイベント会場CLiP HIROSHIMAに集い、ビジネスアイデアのブラッシュアップを実施して、最終発表・審査会に臨んだ。ホスト企業4社は、どのようなアイデアを持った企業を採択し、共創事業を進めていくのか。本記事では、ビジネスビルドの模様をレポートする。
<広島県内ホスト企業と各社の募集テーマ>
■株式会社石﨑ホールディングス
ガラス廃材の再利用・再資源化でサーキュラーエコノミーを実現
■クニヒロ株式会社
牡蠣殻や生産現場に新たな価値を生み出し、生産者の持続可能な発展に貢献
■三共ポリエチレン株式会社
フィルム生産工程の効率化による、廃プラの削減と有効活用
■株式会社八城工業
工場から出る騒音の削減を実現し、製造業の生産環境を改善
2日間でソリューションの方向性を検討し、共創ビジネスモデルの骨子を策定する
DAY1(10/12)は、ターゲットと課題の明確化、ソリューションの方向性の検討が行われた。ホスト企業と応募企業が議論し、ターゲットや課題をすりあわせながら、解像度を上げるメンタリングを実施。三共ポリエチレンと八城工業のチームでは、開会前に各自社工場で集まり、事前の現地視察も行った。
DAY2(10/13)は、ビジネスモデルの骨子を策定すると共に、事業展開を見据えたマイルストーン、PoC の計画を策定。いよいよプレゼンを待つのみとなった。次からは最終発表の内容を、採択された企業をメインに紹介していく。
【株式会社石﨑ホールディングス】“ALL広島”で挑む、廃ガラスを活用したフレグランスボトル開発――luv waves of materials株式会社
石﨑ホールディングスは105年の歴史を持ち、建築関係のガラスの卸、自動車部品の製造、不動産事業などを手がけている。現在、生産工程で大量に出る廃ガラスの再利用などを思案しているが、ガラス製品の製造には大きなエネルギーが必要とされ、再利用するにしても、結局環境負担がかかってしまうという課題を抱えていた。――そんな同社は、「ガラス廃材の再利用・再資源化でサーキュラーエコノミーを実現」というテーマを掲げ、「廃ガラスを使用したフレグランスボトル開発」を提案したluv waves of materials株式会社を採択した。
■luv waves of materials株式会社
提案内容「廃ガラスを使用したフレグランスボトル開発」
luv waves of materialsが提案したのは、年間1000トンも排出される廃ガラスでサステナブルなフレグランス容器を開発することだ。同社によれば、廃ガラスでフレグランスボトルを開発するのは広島県初の試み。さらには単にボトルを作るだけにとどまらず、地産地消をテーマとして例えば、広島県が生産量日本一というレモンを香料に使用するなど、「ALL広島」での創出を狙う。これにより、県内産業の活性化を図ると共に、日本ブランドとして海外への展開も視野に入れることができる。
一方で、国内ではサステナブル商品の購入意欲はまだまだ低いとされる。luv waves of materialsは、まずは高品質志向型の消費者をターゲットに含め、その後、徐々に市場を広げていく計画を示した。販売を行う場所として、同社は出店実績を持つ大手スーパーに加えて、百貨店との提携も検討している。
今後、フレグランス開発や容器成型の提携先を選定するなどし、「Jクレジット」(省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の排出削減量や、適切な森林管理によるCO2等の吸収量を「クレジット」として国が認証するもの)の申請も行う。同社は広島から“CO2削減”と“ビジネス拡張”の両立を目指すと意気込んだ。
<ホストチーム・受賞者コメント>
石﨑ホールディングスの代表取締役社長 石﨑氏は「フレグランスボトルは実現性の高い提案。早速、実証実験に取り掛かりたい」と評した。luv waves of materialsの宮内氏は、「ALL広島で製品を創り上げるのが、今回の提案で重要な部分。引き続き、県内の方々の協力を求めたい」と呼びかけた。
【クニヒロ株式会社】牡蠣殻のナノ炭酸カルシウム化で、付加価値商品の開発を目指す――株式会社プロジェニサイトジャパン
クニヒロは牡蠣の仲買加工を主事業としている。年間の取り扱いは4000トン以上にも上り、全国でもトップクラス。創業以来、「牡蠣を愛するプロフェッショナル集団」として、海の恵みと生産者、生活者をつないできた。一方で近年、海の環境が変化し、持続可能な養殖の実現が課題となっている。――今回のビジネスビルドで、「牡蠣殻や生産現場に新たな価値を生み出し、生産者の持続可能な発展に貢献」というテーマを掲げた同社は、「牡蠣殻を原料とした『ナノ炭酸カルシウム粒子』製造の実現」を提案した株式会社プロジェニサイトジャパンを採択した。
■株式会社プロジェニサイトジャパン
提案内容「牡蠣殻を原料とした『ナノ炭酸カルシウム粒子』製造の実現」
アメリカセントラルフロリダ大学医学部(UCF)発のバイオテックベンチャー、プロジェニサイトジャパンが提案したのは、牡蠣殻を新製法で再利用し、多様なビジネスを生み出すというもの。牡蠣殻は従来、飼料・肥料などに活用されていたが、近年は需要が縮小している。これを受け、同社は独自に保有する技術で牡蠣殻由来の「ナノ炭素カルシウム」を抽出し、新たな付加価値商品の創出に挑む。
従来からある石灰石由来のナノ炭酸カルシウムでは、抽出するのに焼成などの工程が必要だが、牡蠣殻由来のナノ炭素カルシウム粒子ではこれらの工程が不要で、生成にかかる時間・コストだけでなく、環境負荷も抑えることができる。また、粒子サイズの制御が可能な為、機能性向上を実現する事ができ、また、焼成を行わないので海洋ミネラルを残す事ができるなどの特徴を持つ。
ビジネスモデルは、①ライセンスビジネス②ナノカル(原料)の自社製造販売③ナノカル活用商品の販売――の3パターンを提示。具体的な商品としては、化粧品や入浴剤、医薬品賦形剤などが想定され、クニヒロのネットワークで全国の牡蠣養殖地へ横展開し、スケールを狙う。今後は米国のラボと連携し、ナノ炭素カルシウム粒子の作成実験を進めていく予定だ。尚、プロジェニサイトジャパンによれば、焼成を行わずに、炭素カルシウムナノ粒子の製造及び粒経サイズの制御実験は世界初になるという。
<ホストチーム・受賞者コメント>
クニヒロ 代表取締役社長 新谷氏は「プロジェニサイトジャパンさんのプレゼン内容は実現性が高く、クニヒロだからこそ、また女性同士だからこそできる取り組みだと感じた」と述べた。プロジェニサイトジャパンの徐綾氏も「PoCを成功させ、社会実装を実現したい」と意気込んだ。
【三共ポリエチレン株式会社】AIカメラ導入で検品の省人化と廃プラの削減、さらには海外展開を目指す――株式会社Aladdin
三共ポリエチレンは、ポリエチレンとラミネートの2つの事業を手がけており、いずれも食品を入れる袋を作ることが中心だ。ポリエチレンはマイナスのイメージが付いているものの、安価で加工しやすく、生活に欠かせない素材という側面も有している。同社では、環境への影響を最小限に抑えると共に、環境問題に取り組んでいることを広く伝え、企業イメージ向上にもつなげたい考えだ。――今回のビジネスビルドにおいて、「フィルム生産工程の効率化による、廃プラの削減と有効活用」というテーマを掲げる同社は、「GDX工場を増やしプラスチックを大事に使う」を提案した株式会社Aladdinを採択した。
■株式会社Aladdin
提案内容「GDX工場を増やしプラスチックを大事に使う」
Aladdinが提案したのは、検品をAIカメラで行うというもの。現状は人の目で、製造工程で生じるカブリやシワ、虫、体毛などを検出しているが、これを同社のコンパクトなAIカメラで代替する。
一般的な検査機は高額な上に大規模なため、特に中小・零細の工場は導入に二の足を踏む。一方、同社のAIカメラは安価かつ省スペースで導入できる。さらには、人間の140倍の検出能力を持つという。これにより、コスト削減、省人化などが実現されると共に、プラスチック・CO2の削減はもちろんのこと、稼働時間の縮小で電気エネルギーの削減も図っていくことが可能だ。
同社では、AIカメラシステムを三共ポリエチレンで実証実験し、将来的には同業他社への販売・コンサルを実施。これに加え、業態問わず世界へ拡販していきたいと意気込みを見せる。世界をマーケットと見た場合、規模は45兆円にも上る。今後、2023年に製品化、24年に同業他社・海外への展開、25年に完全無人化を目指す。
<ホストチーム・受賞者コメント>
三共ポリエチレンの代表取締役社長 田中氏は、同じく最終プレゼンしたコーピーの外観検査AIを「非常にハイスペックで魅力が大きい」としながらも、AladdinのAIカメラを「今までにないほど安価」と評し、「小規模な工場に展開・紹介できるのが魅力」と伝えた。AladdinのCEO 金井氏は、「私たちのビジョンは、GX,DX工場を増やし、持続可能な未来を実現すること。日本の中小企業と連携し、世界のプラスチック産業に革命を起こしたい。三共様と共に新たな未来を築いて行きたいと思う。」と述べた。
【株式会社八城工業】プレス工場の振動・衝撃を軽減して、ストレスから生じる損失をなくす――株式会社アブソラボ
八城工業は鉄の板のプレス加工、溶接を生業とし、自動車のフレーム部品や、建設機械のキャビン部分などを提供している。量産に強みを持ち、安定した品質を安定したコストで作り上げている。一方で、変化の激しい今の時代に、下請け事業だけでは限界があると認識し、自社製品をもつメーカーへの転身を志向。あわせて、工場の騒音問題の解決を図り、住居環境との調和を図ることを模索している。――今回のビジネスビルドで「工場から出る騒音の削減を実現し、製造業の生産環境を改善」というテーマを掲げた同社は、「振動/衝撃による損失低減社会の実現」を提案した株式会社アブソラボを採択した。
■株式会社アブソラボ
提案内容「振動/衝撃による損失・低減社会の実現」
アブソラボが提案したのは、振動/衝撃の効率対策により、振動/衝撃に起因する各種ストレスを解決解消することだ。同社はストレスの主要因となるのは、騒音発生「源」の「振動/衝撃」であり、いずれも放置すると、関係者の心身の不調を誘発するだけでなく、生産性の低下や近隣トラブルにつながり、結果的に「損失」に連動すると解説した。
八城工業の既存課題の具体的な対策の一つとして、既存適用の防振材(ゴム)に同社のソフトマテリアル「engelook」を複合化する案が示された。engelookは、あらゆる分野に豊富な適用実績があり、既存の防振ゴムでは対応不可な領域の振動/衝撃にも抜群の効果を発揮するという。さらに、八城工業の板金技術とengelookを組み合わせて、「振動/衝撃ユニット」を共創。各種の実証実験を通じて、定量と感応の両面からデータベースを構築し、最適仕様に具現化していく計画だ。あらゆる分野への汎用性が高い「振動/衝撃ユニット」として製品シリーズ化することで、八城工業は、B to B or Cのいずれにも独自製品の展開が可能となる。
将来的な事業拡大方針としては、振動/衝撃が原因ストレスからの「派生損失」を効率的に解決解消目的の「共創」を掲げた。そのために、まずは派生損失の潜在課題を多々有している製造現場、住宅設備、ヘルスケア(医療分野含む)、物流(輸送品質UP)等へ効率展開を目指す。両社で創る「振動/衝撃吸収ユニット」により、振動/衝撃が原因ストレスによる派生損失を効率解決解消、結果的に社会貢献に連動を強調した。
<ホストチーム・受賞者コメント>
八城工業の代表取締役社長 八城氏は「アブソラボさんの提案は、両社の強みと弱みを補い合える内容だと感じた」と評した。アブソラボ 取締役 最高執行責任(COO)小林氏は「振動・衝撃の対策は非常にニッチな分野。実は30~40年と状況は変わっていない。これから問題が顕在化していくと予想している。共創でさまざまな問題に対処し、技術を進化させていきたい」と熱意を見せた。
ホスト企業のアセットと独自技術を掛け合わせた、別軸の環境ビジネスの提案も
今回は惜しくも採択に至らなかったが、明晃化成工業株式会社、八千代エンジニヤリング株式会社、株式会社コーピー、株式会社静科もビジネスビルドに参加し、提案を行った。各社の熱意あふれる提案内容を、以下にて紹介する。
■明晃化成工業株式会社(石﨑ホールディングスへの提案)
提案内容「ガラス廃材を活用したエコな空気清浄機能を持つ建材の共創」
明晃化成工業が提案したのは、同社の「光触媒技術」を利用して、電気を使わずに空気清浄効果のあるボード(壁材や天井材)を作るというもの。
光触媒とは、光を当てることで抗菌や消臭などの効果を発揮する触媒のことをいう。同社の提案では、ガラス廃材をボードにアップサイクルすることで、廃棄コストとCO2排出を大幅に削減し、ゼロエミッションの実現を目指す。さらに、エンドユーザーが増えることで、地域あるいは日本全体の電力消費とCO2排出の削減につながるため、「公益性が高い」と強調した。同社は今後、基材となるボードのサンプルアップを年内に完了させ、可能な限り早期に試験販売・拡販を実施したいと語った。
■八千代エンジニヤリング株式会社、株式会社富士電子産業(クニヒロへの提案)
提案内容「牡蠣殻有効利用による豊かな海創出」
八千代エンジニヤリングが提案したのは、特殊なネット「KIKKONET」と牡蠣殻を活用した漁礁の製造だ。同社ではこれを「(仮称)UMINET」と呼び、海に沈めることで生物・藻場の再生につなげ、豊かな海を創出したいと述べた。
従来の漁礁は、製造、メンテナンスや現場での設置においてコストがかかり大がかりなものとなるが、UMINETは軽量で取り扱いも容易なため、牡蠣殻が発生している各現場で製造から設置まで完結することが出来、こうした課題を解決できるという。実証に当たっては、広島県の松永湾で行うことを想定し、必要に応じて県や漁協、他の牡蠣養殖業者などに協力を仰ぐ。UMINETを設置することで、長期的な視野で環境価値(ブルーカーボン)還元などを図る。
尚、本提案は採択には至らなかったものの、両者間で継続議論を実施するという形で着地した。
■株式会社コーピー(三共ポリエチレンへの提案)
提案内容「先端AI技術によるフィルムロス提言から始まるビジネス変革」
コーピーが提案したのは、最先端のAI技術を利用した、グラビア印刷で生じる「カブリ」の検出だ。グラビア印刷の際にカブリが発生すると、後工程がすべてやり直しになってしまう。そこで、未然にカブリを発見する技術を導入し、プラスチック(フィルム)の無駄の削減を目指す。
同社が保有する外観検査AIは、AIを現場に導入する際に発生する「ブラックボックス化」や「品質検証・管理が不十分」などといった課題に対するソリューションを持つ。同社では、PoCを通じてAI技術でカブリが検知できるのか、また日常オペレーションへの導入は可能なのかを精査する。将来的には、より早いタイミングでの検知、発生タイミングの予測などを試みる計画だ。
同社についても採択には至らなかったが、業界の永年の課題を解決する大きなプロジェクトになりうるとして、継続議論していきたいと三共ポリエチレンの田中氏は述べた。
■株式会社静科(八城工業への提案)
提案内容「騒音問題を解決する共同プロダクトの開発」
静科が提案したのは、曲げ加工を施した吸音パネルの制作だ。八城工業が抱える問題は、プレス機が並ぶ事で、対策を行うスペース確保が難しい点であった、既存の吸音パネルは直線的で、一定のスペースを要する。これに曲面を持たせることで、スペースが有効に活用できるようになり、小規模の工場でも防音対策が取れるようになる。
静科のパネルは、アルミを使用した薄型軽量、尚且つ低周波から高周波まで吸音出来るという技術があった。今回プレス機から発せられる低周波の対策を重視している事もあり、アルミよりも密度が高く遮音性能が優れた0.4㎜の鉄板を用いたい考えで、八城工業の持つ、金型を使用し鉄を薄く曲げる加工技術と安定供給するノウハウ、静科の薄型軽量の低周波から高周波まで吸音出来るパネル技術を掛け合わせ、新たな製品の共同開発を提案した。そうする事で、新ブランドの創出により八城工業の願いでもあるメーカーとしての事業を構築し、独自の製品を持つ事も可能となる。
広島県に環境ビジネスのエコシステム創出を誓う
最終プレゼンと採択企業の発表後、メンターからの総評が行われた。Spiral Innovation Partners 株式会社 鎌田氏は「2社が出会うことで新しいものが生まれる瞬間に立ち会い、刺激をもらった。ただ、これはスタートに過ぎず、ここからPoCを経てビジネスとして育つことを心から願う」と述べた。
東京大学 技術経営戦略学専攻博士課程 未来ビジョン研究センターリサーチ・アシスタント 岩田氏は「いずれの提案も非常に質が高く、甲乙つけがたかった。環境事業は実績を出すまでに時間がかかるが、社会的に大きなインパクトが残せる。新しいものが生まれることを祈念する」と語った。
テルイアンドパートナーズ株式会社 取締役副社長 照井氏は「ホスト企業が前向きに真摯に取り組んでいる姿勢が印象的。2日間を通じ、パートナー企業との距離がますます縮まり、まさに『オープンイノベーション』という様相を呈してきた。今回、広島が色濃く出たプログラムで、これからぜひビジネスを生み出してほしい」と伝えた。
株式会社eiicon 執行役員 村田氏は「広島県でオープンイノベーションの取り組みができたことを嬉しく思う。採択・不採択の決断はあったが、不採択のプロジェクトについても決してここで関係を終わらせず、継続して共創に取り組んでほしい」とエールを送った。
最後に、特別講師のひろしま環境ビジネス推進協議会 会長 早田氏が総括した。早田氏は「熱気を感じた2日間だった。当協議会のハンズオン支援は2年目になるが、昨年度と比較し、経営者のコミット、全国からのパートナー募集という2点を大きく変更した。このことが功を奏し、今回の盛り上がりにつながったと推測している。最終プレゼンを聞きながら、県内中小企業のポテンシャルを改めて感じた。産業集積地の広島で、製造業の課題を一個ずつつぶしていけば、そのソリューション方法を外販できるのではないか。企業の課題解決型プロジェクトは県にとって『宝』になる可能性を秘めている」と話す。
さらに早田氏は、「環境ビジネスは複数のステークホルダーが絡む傾向があり、行政などの協力が必要不可欠と感じた。マッチングして数カ月伴走すれば創出できるビジネスではないという側面もある。そうした点も考慮しながら、より良いエコシステムを広島に創り上げたい」と熱く語り、プログラムを締めくくった。
取材後記
総評にもあったように、非常に質の高い発表を多く見ることができた。環境ビジネスには長期的な視野が欠かせず、難しさが伴うとされる新規事業創出の中でも、特にハードルが高いだろう。ただ、そうした困難もここに集まった企業なら超えていけると確信できる提案内容だった。『HIROSHIMA GREEN OCEAN BUSINESS BUILD』はこの後、2024年2月27日にデモデイを予定している。ホスト企業とパートナー企業によるオープンイノベーションがどのように進んでいくのか。引き続き、注目いただきたい。
(編集:眞田幸剛、文:中谷藤士、撮影:齊木恵太)