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オーディエンス賞は”食品ロス問題を解決するサブスク”!「ONE JAPAN 事業共創プロジェクト」から生まれた社会課題を解決する3つの事例とは?

オーディエンス賞は”食品ロス問題を解決するサブスク”!「ONE JAPAN 事業共創プロジェクト」から生まれた社会課題を解決する3つの事例とは?

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“挑戦の文化をつくる”をミッションに掲げる大企業若手・中堅社員の実践コミュニティ「ONE JAPAN」。大企業挑戦者支援プログラム「CHANGE by ONE JAPAN」を実施したり、『大企業ハック大全』という書籍を出版したりと、積極的な活動を展開している同コミュニティは、10月31日に「ONE JAPAN CONFERENCE 2021」をオンライン形式で開催した。

同カンファレンスには、各界のトップランナーや有識者、政府関係者など、産官学を代表するキーパーソン約70名が登壇。大企業を動かしてきたイントレプレナーなどによる実践的なトークイベント、参加者同士の交流やノウハウの共有といった場も設けられていた。

 カンファレンスのテーマは、昨年に引き続き「変革(Transformation)」。コロナ禍によって、大きく変化した社会にどう対応するのか。その一歩を踏み出すきっかけとなるイベントとして、多くの注目を集めた。

今回、TOMORUBAでは大企業とスタートアップによる共創プロジェクトをプレゼンした「ONE JAPAN 事業共創プロジェクト DemoDay」の様子をレポートする。

プロジェクトを通して生まれた3つの共創事例を紹介

「アクセラ担当なんて不要なくらい、オープンイノベーションを当たり前に。」をコンセプトに掲げ、大企業によるオープンイノベーションが当たり前の選択肢になるよう、各社アクセラ担当や事業開発担当、ベンチャー出向経験者などが集結したONE JAPAN 事業共創プロジェクト。①知る→②共創するの2ステップで、ONE JAPAN企業とスタートアップの共創を促進している。

Demo Dayでは、プロジェクトを通して生まれた3つの共創事例を発表。イベントの最後には視聴者投票による、オーディエンス賞も発表された。今回出場したのは、以下の3チームだ(発表順)。

【1】株式会社ロスゼロの共創事例/食品ロスを抑えるためのサブスク事業とリアル販売会

・株式会社ロスゼロ 代表取締役 文美月 氏

・株式会社マッキャンエリクソン クリエイティブパートナー 吉富亮介 氏

・東急株式会社 沿線開発事業部 開発第一グループ 課長補佐 熊田雄介 氏


【2】株式会社POLの共創事例/Joint Researchプロジェクトで、大学研究と産業界の新しい関係性を作る

・株式会社POL 執行役員 事業企画部 宮﨑航一 氏

・富士フイルムシステムサービス株式会社 公共事業本部 本店営業部 戦略推進課 リーダー 斎藤謙一 氏

・株式会社電通 第2クリエイティブ局 / Future Creative Center / 電通若者研究部 用丸雅也 氏


【3】株式会社MEDITAの共創事例/深部体温の変動の連続データを取得・解析し、工事現場の熱中症を防ぐ

・株式会社MEDITA 代表取締役 田中彩諭理 氏

・東急建設株式会社 価値創造推進室 イノベーション推進部 関本良平 氏

 

また、コメンテーターとして、大企業とスタートアップによる共創に造詣が深い以下の3名が参加。各プレゼンに対する質疑応答が行われた。



ーーそれでは次に、3つの共創事例プレゼンの模様を紹介していく。

 

【1】株式会社ロスゼロの共創事例/食品ロスを抑えるためのサブスク事業とリアル販売会


ロスゼロは「もったいない」食べ物に価値を見出し資源循環させ、持続可能な社会の実現を目指すスタートアップだ。食品ロスは日本では年間600万トン発生しており、これらを削減するため、百貨店や旅行会社など様々な企業とコラボレーションをしている。


今回の共創では、行き先を失った食品に価値を見出し消費者に届ける中で発生する、3つの問題点の解決を目指した。それが、“不定量による在庫不安”、“食品ロス商品へのネガティブイメージ”、“嗜好性のバラつき”だ。それらの問題点を、ポジティブな発想で変換。「ロスゼロ不定期便」として、食品ロス業界初のサブスクサービスとして展開した。

“不定量による在庫不安”という問題点は、不定期で食品が届くワクワク感に変え、“食品ロス商品へのネガティブイメージ”については、メルマガなどで適切な情報を発信した。こうしたネガをポジに変える発想は、マッキャンエリクソンのクリエイティビティが大きく貢献している。

また、東急との共創では、品川区の大井町にある、街のコミュニティづくりのためのイベントスペース併設型カフェ「PARK COFFEE」で、10月にネット上でしか購入できないロスゼロの商品を試験的に販売。また、今後は先に紹介した「ロスゼロ不定期便」の受付も行う。リアルの販売会だけでは単発のイベントとなるため、希望者に「ロスゼロ不定期便」も届けることで、食品ロスを身近な問題として感じられるようにしていく。

一方、ロスゼロは関西のスタートアップであり、ネット販売が主戦場。そのため、リアルでの関わりや関東エリアでのタッチポイントが少なかった。東急との共創により、これらの課題にも対応。試験的に行っていた「ロスゼロ不定期便」は、11月5日から正式なサービスとしてリリース。多くの人に食品ロス問題を伝えながら、商品を届けていく予定だという。



<コメンテーターによる質疑応答>

eiicon・中村氏からは、今回の共創に関して「大企業側のメリットはどこにあるのか」という質問が出た。マッキャンエリクソンの吉富氏からは「広告業界もSDGsへの関心が高く、今後それらの知見が他の企業と共創するためにも必要であり、今回の取り組みが貴重な経験になった」と話した。東急の熊田氏は「街づくりは交通インフラや建物といったハード面から入るのが一般的ではあるが、今後は、SDGsに関するテーマを通して地域の方々と繋がり共感を得ていくといった、ソフト面から入る街づくりが必要だと考えている」と回答していた。

【2】株式会社POLの共創事例/Joint Researchプロジェクトで、大学研究と産業界の新しい関係性を作る


プレゼンの冒頭、「インターネット、LED、C言語の共通点は?」という問いがあった。答えは、どれも研究から生まれたイノベーションであること。しかし、日本では大学の研究と産業界に、大きな隔たりが生まれている。学生にとって大学で取り組む研究が、社会でどのように役に立つのか見えにくく、企業側は大学ではどんな研究が行われているのか、分かりにくい状況となっている。

これらの問題を解決するため、学生と企業をつなげるサービスとしてPOLでは2017年に「LabBase」という優秀理系学生のキャリアプラットフォームをリリース。若手研究者が研究を活かせる選択肢に気づき、可能性を最大化できる社会を目指している。今回の共創事例である「Joint Researchプロジェクト」では、若手研究者個人と企業が繋がり、プロジェクトに取り組む仕組み(Joint Research)を実現させた。


富士フイルムシステムサービスとの共創では、「理系の変革リーダー人材を輩出する」というコンセプトのもと、インターンシッププログラムを立ち上げた。人事主導ではなく、最前線で働くSE職を巻き込んで、「理系の変革リーダー人材」の定義づけからはじめ、企画・設計を行った。現場業務に入りこむような実践型・実務型のコンテンツを経験し、学生の中から内定者を出すこともできた。

また、電通との共創事例である「LabMeets」では、“研究のための研究ではなく、研究を経営課題解決に活かす”を実現させるため、ただのインターンシップではなく、その先のJoint Researchを生み出す仕組みを目指した。この取り組みでは、イオンファンタジー社から、「子供がどんな時に喜んでいるのかAIを活用して子供の遊びを科学してほしい」という、経営課題解決に向けた要望を理系学生に提示。理系学生は、遊んでいる子供の行動をAIカメラで分析し、行動データとして収集するモデルをイオンファンタジーの社長に提案。それらを実際のプロジェクトに発展させることにも成功した。経営層を最初から巻き込んだことで、社長自らコミットする実践型のプログラムに仕上げられた。


<コメンテーターによる質疑応答>

日本経済新聞社の鈴木氏からは、「電通との共創プロジェクトでは学生の扱い、報酬などはどうなるのか。例えばイオンファンタジーに入社するといった将来の関わり方などは?」と質問があった。電通の用丸氏より、「現在はスポットでプロジェクトメンバーとしてアサインする形で学生と関わっているが、新しい働き方として、学生でありながら正社員といったこれからの形も作っていきたい」と展望を話していた。

【3】株式会社MEDITAの共創事例/深部体温を計測し、工事現場の熱中症を防ぐ


MEDITAでは、ヘソと深部体温の相関性を発見。ウェアラブルデバイスを通じた体温変動解析を行いながらバイタルデータを活用し、命に寄り添うテクノロジーの実現を目指している。ヘソ周辺に付けるウェアラブルデバイスは、違和感が少なく、体温変動・体動を同時取得、長時間利用が可能という特徴を持っている。


様々な用途がある中で、暑熱環境下の運動時に、ヘソの温度は直腸温度(深部体温)に近い推移を示すことが分かり、東急建設が求めている熱中症対策デバイスとして共創プロジェクトをスタートさせた。東急建設が熱中症に対して問題意識を持つ背景には、猛暑日の増加による熱中症被害の増加が挙げられ、熱中症死亡労災の1/3が建設現場ということも示された。


東急建設の工事現場で、8月の猛暑日と10月の平温下で実証実験を行い、現場作業員5名にウェアラブルデバイスを装着。熱中症になった1名のデータを取得でき、このデータを分析したところ、体調不良のタイミングで深部体温が高くなっていたこと、空調服を着ていても体温が上昇すること、喫煙習慣や飲酒習慣があり高齢に近い人、暑熱下に中腰で作業をしている、といったような要素があると熱中症リスクが高まることが判明した。

これからは熱中症予防システムの実用化を目指し、現場作業員の体温変動データをクラウドに送信。熱中症の兆しのある人がいれば、発症前に注意喚起するシステムを検討している。

 

<コメンテーターによる質疑応答>

デロイトトーマツベンチャーサポートの斎藤氏からは、「深部体温の変動データを取得するウェアラブルデバイスのこれからの可能性と強みを教えてほしい」という質問が出た。「COVID‑19など体温変動が起こる感染症や疾患、小児発熱などにも有効だ。強みは、直腸でしか計れなかった深部体温を、ウェアラブルデバイスでその変動データを取得し、分析まで行えることである」と、MEDITAの田中氏が回答した。

オーディエンス賞は、【株式会社ロスゼロの共創事例】に決定!

3つの共創プロジェクトのプレゼンが終了後に投票が行われ、オーディエンス賞は【株式会社ロスゼロの共創事例 食品ロスを抑えるためのサブスク事業とリアル販売会】が選ばれた。

ーー食品ロスや理系学生の就職、工事現場作業員の熱中症対策。今回発表された3つの共創事例は、どれも社会課題の解決に向けた取り組みであるという共通点があった。その中で、オーディエンス賞を獲得したロスゼロの共創プロジェクトは、SDGsの観点からも対策が必要であり、その注目度の高さを伺うことができた。

編集後記

「ONE JAPAN CONFERENCE 2021」の参加者は過去最高の約2,600名となり、オンライン形式という利点もあり海外在住者も参加したという。コロナ禍によって市場環境が著しく変わり大企業も”変革”が求められる現在、ONE JAPANによる取り組みはますます耳目を集めるはずだ。引き続き、TOMORUBAでもONE JAPANの活動を取り上げていきたい。

(編集・文:TOMORUBA編集部)

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