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5期目としてリスタートする日本郵便のオープンイノベーションプログラム―郵便・物流における柔軟化・適切化/“郵便局”を活用した地域課題解決/金融DXによる顧客体験価値向上

5期目としてリスタートする日本郵便のオープンイノベーションプログラム―郵便・物流における柔軟化・適切化/“郵便局”を活用した地域課題解決/金融DXによる顧客体験価値向上

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日本郵便株式会社(以下、日本郵便)は、過去4期にわたってオープンイノベーションプログラム「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」に取り組み、パートナー企業との共創によって課題解決に挑んできた。本年度は、新たに「150年の、その先へ。郵便局の存在価値を再定義するプログラム」をメインテーマとし、「JAPAN POST INNOVATION PROGRAM 2021」としてリスタートする。

本プログラムで設定されている個別テーマ、および求める共創例は下記の通りだ。


【テーマ1:郵便・物流】 弾力的かつオープンな郵便・物流網の再構築<通年応募>

・差出情報のデジタル化により郵便物や荷物の量を可視化

・人間拡張技術等を活用した効率的なオペレーション構築

・弾力的でオープンな郵便・物流網再構築への挑戦


【テーマ2:新規】 社会課題の解決につながる新たな価値の創出<通年応募>

・郵便局の顧客接点を活用した新たなデジタルサービス

・地域課題を解決するコミュニティやつながりの創出

・郵便局のリソースを活用した、既存事業にとどまらないサービス

【テーマ3:金融】 DXを活用したお客さまの体験価値の向上<限定プログラム 11/26締切>

・新たな顧客コミュニケーションの創造

・データを基にした最適な顧客体験

・郵便局の窓口業務のデジタル化

昨年度までのテーマと同じく郵便・物流網の再構築に取り組みながら、今年度では新たに郵便局の金融分野もテーマに加わった点が大きな特徴といえる。――そこで、プログラム事務局および各テーマの担当者に、昨年までの取り組みから見直した事項や、個別テーマの意義と求める提案、そしてスタートアップとの共創にかける意気込みなどをうかがった。

新しくなったプログラムの意義:“全国のリアル店舗である郵便局の新たな存在価値を見出したい”

――まずは、プログラムの事務局を担う小出さんに全体感をお聞きします。日本郵便さんのオープンイノベーションプログラムは5期目になりますが、今回のプログラムでは昨年までと名称も変え、個別テーマにも金融サービスが含まれるなどの大きな変化があります。この変化の背景から教えてください。

小出氏 : 私たちのオープンイノベーションプログラムは、2017年にスタートしました。当時は、物流量の増加に対して労働力が不足し、モノが運べなくなる、いわゆる「宅配クライシス」と呼ばれる社会問題が顕在化した時期で、私たちもより低コスト、高効率な筋肉質の物流体制の構築を目指して、パートナー企業との共創を始めました。

そして、4年間の取り組みを続けてきた中で、世田谷郵便局においてCBcloudさん、オプティマインドさんとの「AIを活用した配達業務支援システム」が試行導入に至るなど、目に見える成果も生まれています。


▲CBcloud、オプティマインドと3社で共に創り上げてきた、AIを活用した配達業務支援システムの試行導入(参考記事:日本郵便がDXでラストワンマイルの課題に挑む――「AIを活用した配達業務支援システム」の共創に迫る。


一方、コロナ禍において社会全体のデジタルシフトが大きく進み、郵便局の窓口サービスに関する課題も顕在化しています。たとえば、郵便局の窓口は伝統的な対面サービスを続けていますが、コロナ禍の状況も踏まえて、お客さまにも窓口社員にも負担の少ない形で、より効率的にサービスのご提供ができるのではないか、また、お客さま一人ひとりのご意向に、より柔軟に応えられるサービスが提供できるのではないかという観点で、ニューノーマルに合わせて、サービスをアップデートしていく必要があります。

そういった課題感が大きくなってきたことから、今回は、新たに金融のDXを個別テーマに加えて、郵便・物流と金融の2本柱のプログラムとし、プログラムタイトルも「JAPAN POST INNOVATION PROGRAM 2021」に改めリスタートすることといたしました。


▲日本郵便株式会社 デジタルビジネス戦略部 課長 小出晃久 氏

――「150年の、その先へ。郵便局の存在価値を再定義するプログラム」というスローガンを掲げています。ここに込められた意義はどんなものなのでしょうか。

小出氏 : 2021年は、日本における郵政事業の開始から150年という大きな節目の年になります。スローガンは、この150年間に私どもの諸先輩が築き上げてきたお客さまとの信頼関係を将来にわたっても維持し、深めていくためのプログラムにしたいという私たちの意気込みを表したものです。このプログラムを通じて、少子高齢化や労働人口減少、地域経済の縮小、また急速なデジタルシフトなど、将来にわたって続く大きな社会変化の中で、全国のリアル店舗である郵便局の存在価値を再定義したいと考えています。

また、郵便局において、お客さまに安全安心なサービスを提供し続けていくことは、私たちの義務でもあると考えています。その困難な課題に、ともに向き合って、挑んでくださる頼もしいパートナー企業の皆さまに出会えることの期待も込めて、このスローガンにしました。

――これまで4期のプログラムを実施し、共創事例も生まれています。そういったこれまでの取り組みも踏まえた上で、パートナー企業にとっての本プログラムへの参加メリットはどこにあるとお考えでしょうか。

小出氏 : 全国約24,000の郵便局、それに付随する12万台の車両、そして約40万の社員、こういった巨大アセットを活用した取組ができるというところが私たちの最大の強みであり、参加企業のメリットではないかと考えております。

たとえば、郵便物や荷物を集中的に処理する「地域区分郵便局」において、荷物の積み下ろしや搬送を自動的に処理したり、世田谷郵便局での配達経路のルーティングをAIで最適化するなど、郵便・物流の上流から下流まで、幅広い業務のさまざまな部分で、パートナー企業の皆さまの優れたソリューションを実証実験の形で試していただく協業を進めてきています。


テーマ(1)「弾力的かつオープンな郵便・物流網の再構築」:集めたデータをどう活用し、どう現場に実装していけるのか。

――次に、3つの個別テーマについて、それぞれのご担当にうかがいます。一つ目のテーマは、「弾力的かつオープンな郵便・物流網の再構築」ということですが、この課題設定の背景についてお聞かせいただけますでしょうか。

河村氏 : オペレーション改革部で開発担当をしている河村です。私たちの部のミッションとして、郵便・物流事業を取り巻く変化への対応があります。具体的にいうと、手紙・葉書などの郵便物については、みなさんご存じのように固定ルートでの配達です。10月からは土曜の配達を行わないものもありますが、今は月曜から土曜まで、基本的に毎日同じルートをまわって配達をしています。

固定ルートでの配送ですので、経費も固定的にかかります。一方、ゆうパックなどの荷物配送のほうは、荷物があるときだけ配送するという形で、固定ルート配送ではありません。

それぞれの取扱量については、昨今、ビジネス書類や行政手続のデジタル化などにより、郵便物の量が減少を続ける一方で、とくにコロナ禍以降、ECの伸長によりゆうパックをはじめとする荷物の量は増えています。

そのような背景を踏まえ、「要員配置を柔軟化、適正化したい」という考えがあり、テーマを設定しました。郵便の固定ルート配送にしても、たとえば、月曜は郵便物が多くて、火曜日は少ないといった物量の変化はあるのですが、その予測などは十分にできていません。一例にはなりますが、データ活用しながらこれらの変化を予測して、業務量に応じた柔軟な要員配置をしていきたいと考えています。


▲日本郵便株式会社 オペレーション改革部 専門役 河村泰孝 氏


――オペレーション改革部では、これまでもパートナー企業との共創や、新しいソリューションを導入しての課題解決に取り組まれてきたと思います。その中で、取り組んできたからこそ見えてきた限界や課題、「ここまではできたけれど、ここが難しい」といったことを教えてください。

河村氏 : 私たちが取り組んでいるのは、「配送業務をどう見える化して、柔軟な体制にしていくか」ということです。仕事量に合わせて、アメーバのように、増やしたり減らしたり、状況に応じて柔軟に対応できる体制を目指しています。

そこでデータ活用が必要なのですが、今年の4月から全国で約56,000ある配達エリアのデータを取れるようになり、かなり膨大なデータが集まるようになっています。次のステップとして、このデータをどう分析して、どう活用してシステムに実装していくかを検討しています。

さらにその先では、それをどう現場に落とし込んでいくのかというところが、これからの課題になると思います。やはり、今展開しているルーティングシステムの実装でも、配達社員が、「自分でやったほうが早いよ」という部分が残っています。実際、ルーティングシステムがカンとかコツの世界を完全には超えられていないのです。

そのため、実際に現場で使っている人の声を聞き、それをひとつひとつデータとして集めて、反映させていく、そして使ってもらうための環境や段取りを整えていく、そういうことが今後は必要になってくると思っています。

――共創のイメージ例には、「人間拡張技術等を活用した効率的なオペレーション構築」が挙げられていますが、この「人との調和を考慮」というのは、具体的にどういったイメージなのでしょうか。

河村氏 : たとえば、荷物を受け取るお客さまが過疎地のお年寄りなら、人が荷物を届けてくれて、手渡ししてくれるほうが安心できるし、温かみが感じられてよいという気持ちがあるかもしれません。

そういうところに対して、「機械側の配慮」というとちょっと変かもしれないですけど、人間の特性とかをよく理解した上で、合理的だけではなくて「人間臭さ」を考慮した技術が、過渡期としては必要なのかなと思います。そういうニュアンスで「人との調和」ということを考えています。人間が機械にあわせるのではなくて、人間を助ける機械、あるいは、人間を拡張する技術といえばいいのでしょうか。そういうイメージです。

――わかりました。次に、河村さんとして求めている共創相手のイメージについて教えてください。

河村氏 : 主には、データ分析により、業務の予測や可視化をしていただける、データサイエンスの分野で活躍されているようなパートナー企業を求めています。データ分析の分野は、私たちも手をつけたばかりですし、この先どこまでものになるか正直わからない分野ではありますが、先ほど申したとおり、約56,000のエリアから1秒刻みの配達データが毎日集められてきます。そのデータを活用して、その配達をしている人たちの業務を改善するという意味では、我々にとって非常に大きなテーマです。

あとは、CBcloudさんやオプティマインドさんと取り組んでいる配送効率化分野も引き続きやっていきたいですし、地域区分郵便局と呼んでいる大型の郵便局内での荷物などの仕分け業務の見える化、効率化にも取り組みたいです。

荷物の物流は、倉庫業のように「そこにある定型の荷物を、ピックアップして運ぶ」という形ではなく、不定期に、いつ来るか、来ないかわからないような形で流れてくる荷物を仕分けして、異なる行き先に届けます。それをうまく見える化できて、省人化・効率化できるような技術も欲しいですね。

――応募企業に提供できるアセットという面では、どのようなものがあるとお考えでしょうか。

河村氏 : やはり配達や仕分けなどの物流の現場を、そこで働いている社員を含めて、活用いただけるということです。また、町の郵便ポストといったものを使っていただくのも一つかなと思います。そして約56,000のエリアから1秒刻みで得られるデータですね。このデータとたとえば他の企業さんとか自治体さんがお持ちのデータを掛け合わせることで、新しい価値が創造できるのではないかとも思っています。

――では、河村さんから、プログラムへの期待や、応募企業に向けてのメッセージをお願いします。

河村氏 : データ分析や新技術の進展はものすごい速さで進んでいると思いますので、是非、私たちの理解の前提部分から問い返していただくなど、パートナー企業の皆さまに教えていただきながら、また、我々からは郵便局の業務に関しての知識をパートナー企業の皆さまに提供しながら、一緒に新たな価値を創っていきたいと考えています。一見関係ないように見えるアイデアでも、なにか少しでも引っかかる部分があれば、どんどんご応募、ご提案いただければ嬉しいです。


テーマ(2)「社会課題の解決につながる新たな価値の創出」:リアルのビジネス拠点である郵便局を活用した地域課題解決。

――次にテーマ2の「社会課題の解決につながる新たな価値の創出」について、デジタルビジネス戦略部の中村さんにうかがいます。このテーマでは、具体的にはどのような共創をイメージなさっているのでしょうか。

中村氏 : 私たちの特徴はなんといっても、リアルのビジネス拠点である郵便局を日本全国に展開していることですが、社会環境の変化で、その意義がより強く問われており、それが、「郵便局の存在価値を再定義する」というテーマの打ち出しにつながっています。

その中で、「さまざまな地域の社会課題や少子高齢化、地域経済の縮小、デジタルディバイドの拡大などに対して、郵便局を活用して解決に取り組みたい」というのが、このテーマの根本です。私自身も、往復はがきを「マゴ写レター」という新しいコミュニケーションツールへと進化させ、デジタルディバイドの解消に一役買えないかと試行錯誤したりしていますが、私たちの既存サービスやアセットと様々なアイデアを組み合わせることで、ソーシャルグッドなサービスを生み出せる可能性は大きいのではないかと感じています。


▲日本郵便株式会社 デジタルビジネス戦略部 係長 中村翔大郎氏


――長野県での「さやまる」トマトの栽培事業は以前も取材させていただき、日本郵便がトマト事業?と驚いたのですが、軌道に乗っているようです。そのような既存の日本郵便の概念にとらわれない、新しい事業を求めていることでしょうか。

中村氏 : やはり多様化が進んでいるいまの時代に、いきなり全国展開する大きな事業を起ち上げて成功させるというのは難しいと思います。地域の事情や特性にあわせた事業がいくつも育っていって、全体として新規事業として成り立つという形が、必要なのではないかと思っています。


▲長野の自社遊休地を活用した新規事業として、フルーツトマトを栽培。「さやまる」として商品化している。(※参考記事:日本郵便の新規事業は「トマト」!?――ゼロからトマト栽培に挑むイントレプレナーの奮闘に迫る

――各地域でこんな課題がありそうだという、具体的な例などはあるでしょうか?

中村氏 : 全国各地の郵便局で働く社員からは、新規事業という観点だけでなく、既存事業の改善点も含め、日本全国の課題や多様なアイデアが日々寄せられています。そうしたものを参考にしながら様々な事業を内部で検討していますが、客観的に見て、地域課題×郵便局で解決できそうなこと、に関するアイデアやそのためのソリューションをご提案いただきたいと思っています。共通する課題としては、いわゆるデジタルディバイドの問題はどの地域にもありますので、私たちがデジタル化、DXを進めるにあたっては、それをどう解決するのかというのは、考えなければならない点だと思います。

――パートナー企業に対してどういったリソースを提供できそうですか。

中村氏 : 約24,000の郵便局や40万人の社員のネットワークに加えて、全国で保有する不動産、などがあります。個人的には、それらに加えて、創業以来培われてきた「地域課題に対する解決の熱意」というのも大きいのではないかと考えています。

社会課題の解決、地域で目の前にいるお客さんが困っていることを解決したいというのは、すぐに利益に結びつくような活動ではないかもしれません。しかし、そうしたマインドを持っている人は、私たちの中にもたくさんいますし、世の中にも多くいらっしゃると思いますので、上手くつながりを作り、地域からおもしろいことがどんどん生まれる仕掛けを作っていきたいと思っています。

――最後に、今回のプログラムへの期待や、応募企業に向けてのメッセージをお願いします。

中村氏 : 郵便局は「人と人のつながりを作る」サービスを提供する場だと思っています。それは個人と個人かもしれませんし、企業と個人かもしれません。急速なデジタル化の進展でデジタルディバイドの問題がより深刻になっていたり、後継者問題や空き家問題、地域のみまもりなど、社会課題は枚挙にいとまがありませんが、一方で関係人口が増加に転じている地域も出てきたり、本当にリアル拠点を使ってやるべきことは何なのか、などの価値見直しも起こっています。これまでになかった観点での郵便局の活用という点で、チャンスも広がっているのではないかと思いますし、斬新なアイデアやソリューションを持つ企業の皆さまと一緒に、ソーシャルインパクトを生み出すような仕掛けをしていきたいと思います。お会いできることを楽しみしています。

テーマ(3)「DXを活用したお客さまの体験価値の向上」:お客さまだけではなく、社員も一ユーザーとして使いこなせるハイスペックすぎないデジタル。

――テーマ3は、今年度から新たに設定された、金融分野に関するテーマです。なぜ、金融分野でのテーマ設定をなさったのかというところから、須田さんにお願いします。

須田氏 : 今回のプログラムへの参加ですが、根底には、「日本に住む人たちの金融リテラシーの向上に貢献したい」という意図があります。公的年金にしろ、公的医療保険制度にしろ、公助であるものも、これからどんどん自助努力が求められていきます。

自助努力をするためには、各自の金融リテラシーを向上させることが欠かせない要素だと考えています。しかし実際には、デジタルディバイドではありませんが、自分で調べて金融リテラシーを向上できる人もいますが、そうではない人もたくさんいらっしゃいます。こうした中で、金融リテラシー向上の基盤として、全国にある郵便局がなんらかの力になれるのではないかと考えています。


▲日本郵便株式会社 金融営業企画部 課長 須田一晃氏


――具体的な共創のイメージが、新しい顧客コミュニケーションの創造、オンライン接客、データを基にした最適な顧客体験、郵便局の窓口業務のデジタル化など挙げられています。それぞれに対してもう少し詳しく教えていただけますでしょうか。

須田氏 : 「新たな顧客コミュニケーションの創造」では、デジタル技術を用いることで、地方部、都市部に関係なく、新たな顧客体験が提供できることを期待しています。

「データを基にした最適な顧客体験」は、お客さまのニーズが多様化している中で、いままでのような画一的な営業手法では、お客さまにご満足いただけなくなっている背景があります。そこでデータを活用しながら、お客さまのニーズを分析し、個々に最適なソリューションの提供を目指すということです。

「郵便局の窓口業務のデジタル化」は、たとえば今までの紙ベースでの手続きでは、記入時点でミスに気付かなかった場合、また郵便局までお越しいただいて書き直していただかなければならなかったのですが、デジタル技術を用いて、入力時点で記入ミスをシステム的にチェックするとか、そういう部分での利便性を高めていきたいということがあります。また地方の郵便局では、社員が2、3名しかいないこともありますので、そういう少人数局でも、お客さまにきめ細かいサービスをご提供するために、デジタルを活用した社員サポートができればと思います。

――共創相手としてはどのような企業をイメージなさっているでしょうか。

須田氏 : 募集テーマとしては金融ですが、応募企業さまについては、とくに金融分野に限らず、既存業務の効率化であるとか、オンラインコミュニケーションの創出、もしくは人やスペースの活用、そういった実績がある企業さまをイメージしています。

今まで私たちがいろいろなデジタル施策に取り組んできた中で、お客さまのデジタルディバイドへの対応も非常に大事ですが、実は社員もデジタルに対して得手不得手の差が大きい、という現実があります。

その意味で、お客さまだけではなく、社員も一ユーザーとして見ていただけるような発想を持っていただける企業さまと出会えたら嬉しいですね。

――最後に、応募企業に向けてのメッセージがあれば一言いただければと思います。

須田氏 : 郵便局で働く社員一人ひとりは自分の仕事に誇りを持って働いています。その中で、上からの圧力で新しいものを一方的に押しつけるような形になってしまうと、どうしても軋轢が生じます。会社の方針と郵便局のニーズをうまくすり合わせをしながら、進めていくことが非常に重要です。応募いただく企業の皆さまにも是非そういった部分をご理解いただいて、一緒に進めていきたいと思います。

その上で、郵便局という全国津々浦々に張り巡らされたリアルチャネルと、デジタル技術と掛け合わせれば、幅広い層に受け入れられる新たな顧客体験が提供できると信じています。ぜひ、それを実現できるパートナー企業の皆さまと一緒に取り組んでいきたいと考えています。


▲各テーマ担当とプログラムの事務局メンバーが、パートナー企業との共創を強力に推進していく。

取材後記

日本有数の巨大企業であり、かつ、生活者の身近な物流拠点、金融機関として親しまれている郵便局。そのリアル基盤を活用したDXには無限の可能性が秘められていると感じられた。巨大企業でイノベーションを進めるにはハードルもあるかもしれないが、今回取材した事務局・テーマ担当は、新しい事業推進への熱意にあふれた方ばかり。ともに汗をかきながら共創を進めていくことができるだろう。少しでも郵便・物流分野、金融分野に興味のある企業は、プログラムの応募を検討してみてはいかがだろうか。

なお、テーマ1、2は通年応募となるが、金融分野のテーマ3は限定プログラムとなり、応募締め切りが11/26までとなる。詳細は以下をご確認いただきたい。


(編集・取材:眞田幸剛、文:椎原よしき)

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  • 草谷 拓也

    草谷 拓也

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