“行政×スタートアップ・中小企業”の連携機会を創出――国や自治体が抱える課題の解決に向けて開催される『内閣府オープンイノベーションチャレンジ2021』とは?
内閣府は、「内閣府オープンイノベーションチャレンジ2021」(スタートアップ・中小企業による公共調達の活用推進プログラム)と題し、国の機関や地方自治体が有する社会課題の解決に向けた具体的ニーズに対して、その課題解決に向けたスタートアップ・中小企業の優れた提案を広く募集する取組を開始している(8/31募集締切)。
「行政×スタートアップ・中小企業」の連携の必要性が高まる
近年、多様化・複雑化する社会課題を迅速に解決するため、国の省庁及び地方自治体において、行政サービスの向上や業務効率化に資する新技術や新サービスの導入に係るニーズが高まっている。そのため、新技術・新サービスの創出の一翼を担う研究開発型のスタートアップ企業・中小企業の斬新なアイデアに期待が寄せられており、スタートアップ・中小企業と行政との連携の必要性が高まっている。
また、スタートアップ・中小企業においては、新技術・新サービスを通じた社会課題解決に向けたアイデアを有しているものの、人材・資金等の経営資源や実績等の不足から、そのアイデアの実証や導入を省庁・自治体に提案する機会が充分に獲得できていないのが現状だ。
こうした状況を踏まえ、内閣府では、社会課題解決や行政サービスを向上するための省庁・自治体の具体的ニーズに対応する新技術・新サービスを持つスタートアップ・中小企業を積極的に発掘し、省庁・自治体とスタートアップ・中小企業との連携機会を創出することを目的としてスタートアップ・中小企業やスタートアップ・中小企業と大企業、大学及び研究機関等の連携チームを対象とした取組を実施する。
「内閣府オープンイノベーションチャレンジ2021」の主な事業内容
国の省庁及び地方自治体が持つ「課題」をもとに募集テーマを設定し、以下のことを実施する(別紙1参照)。
(1)募集テーマに対するアイデアを基にした新技術・新サービスと当該新技術・新サービスを幅広く展開するためのビジネスモデル等の提案を募集し、内閣府が設置する技術審査委員会において審査、認定を行う。
(2)メンター等による事業の磨き上げ、大企業・メインコントラクター企業等とのマッチング、課題提供機関との面談の機会等を提供し、提案内容のレベルアップを図る。
(3)成果提案イベント(Demo Day)の実施等により、課題提供機関と連携した事業の実証や課題提供機関における事業の試験的な導入へとつながる端緒の創出を支援する。
「課題」をもとに設定された、10カテゴリーの募集テーマ
「内閣府オープンイノベーションチャレンジ2021」では、海洋、農林水産、インフラ、防災、教育など10のカテゴリーで18の募集テーマを設定している。今回公募するテーマの詳細は、以下となっている。
■カテゴリー1:海洋
【愛知県】海水域における栄養塩環境の連続観測技術
【京都府】海岸漂着物を燃料等として再資源化する技術
■カテゴリー2:農林水産
【つくば市】農地や民家へのイノシシ接近防止
【愛知県】ノリ漁場に飛来するカモを追い払うことができる技術
■カテゴリー3:インフラ
【浜松市】地中に埋設された水道管の老朽度合や腐食度合の検知技術
【JAEA】廃棄物処理の効率化
【国交省】インフラメンテナンスにおける官民技術マッチングのプラットフォーム機能の構築
■カテゴリー4:安心・安全
【警察庁】実況見分等における図面作成の合理化
【警察庁】拾得物に関する情報の特定・抽出等の合理化
■カテゴリー5:防災
【つくば市】地域住民に対する洪水・土砂災害等、水害に関するリスクコミュニケーション手法
【愛知県】実践(アウトカム)を意識した防災啓発等のリスクコミュニケーション手法
【浜松市】消火及び救助活動中の各消防隊員の位置・健康状態のモニタリング
■カテゴリー6:教育
【神戸市】小中学生を守る、過度のスマートフォン等への依存を抑制するためのアプリ等の開発
【和光市】小中学校に配布するタブレットを活用したキャリア教育に関するコンテンツ
■カテゴリー7:ダイバーシティ
【つくば市】行政情報発信の即時多言語化
■カテゴリー8:ヘルスケア
【京都府】産後うつの発症・重症化を防止するための産後うつ兆候検知技術
■カテゴリー9:モビリティ
【和光市】既存の公共交通機関が対応しきれない、道路が狭隘なエリアにおける交通ニーズを満たす手法
■カテゴリー10:ロボット
【京都府】省人化茶葉手摘みロボット
※詳細に関しては、別紙2参照。
8/31に募集を締め切り、約5ヶ月間にわたってプロジェクトを推進
「内閣府オープンイノベーションチャレンジ2021」のスケジュールは以下の通りだ。募集は、8月31日(金)12:00までとなっており、間もなく締め切られる。9月には認定企業が決定され、10月からおよそ5ヶ月間にわたり、メンタリング、省庁等との面談、プロジェクトの推進が行われる。各募集テーマでどのような取組が事例が生まれてくるのか。引き続き、注目していきたい。
■募集期間:令和3年8月6日(金)~令和3年8月31日(金)12:00
■実施期間:令和3年10月~令和4年2月(約5ヶ月間)
■成果報告イベント:令和4年2月頃開催(予定)