製造業の受発注プラットフォームのキャディ、総額80.3億円のシリーズB資金調達を実施
キャディ株式会社は、シリーズBラウンドで総額80.3億円の資金調達を実施したことを発表した。既存投資家であるグロービス・キャピタル・パートナーズ、WiL、DCM Ventures、グローバル・ブレインに加え、本ラウンドより海外投資家のDST Globalのパートナー陣やArena Holdings、Minerva Growth Partners、Tybourne Capital Managementなど新たに6社を引受先としている。今回の増資により、累計調達額は99.3億円となった。なお、今回の調達に合わせて三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行から25億円の追加融資枠も確保した。また、今冬には製造業系の企業を対象にしたエクステンションラウンドも予定しているという。
同社は2017年11月の創業より「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」をミッションとして掲げ、製造業の受発注プラットフォーム「CADDi(キャディ)」を提供するとともに、バリューチェーン全体に潜む構造的な課題に対しDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推し進めてきた。
CADDiは、産業機械メーカーやプラントメーカーから、板金や切削、製缶を主とする特注加工品一式の発注を受け、品質保証も含めた一貫生産を請け負っている。COVID-19の影響や半導体需要増加などにより部品供給が逼迫する業界もある中、複数業界を横断して需給をリバランスできるキャディの仕組みを活かし、高品質な部品を最短で供給することで製造業の調達課題の解消に寄与してきた。
直近の受注高は昨対比約6倍に成長し、急激な案件増加に対応するため東西の品質管理センターの増床(関東は2.8倍、関西は6.6倍)も7月までに完了している。
今回調達した資金は、グローバルも含めた人材採用やCADDiの開発、そして新規事業に投資する予定だという。これにより、受発注にとどまらず、設計から製造・物流・販売までのバリューチェーン全体のDXを加速し、製造業のデジタル化におけるデファクト・スタンダードを構築することで、2030年までに1兆円規模のグローバルプラットフォームになることを目指すという。
今後も利用客、パートナー、従業員、すべてのモノづくりに従事する会社・人のポテンシャルの解放を実現するため、より一層挑戦していくという。
資金調達概要
■シリーズB調達額
80.3億円
■累計資金調達額
99.3億円
■新規投資家(順不同)
DST Global
Arena Holdings
Minerva Growth Partners
Tybourne Capital Management
ジャフコ グループ
SBIインベストメント
■既存投資家(順不同)
グロービス・キャピタル・パートナーズ
WiL
DCM Ventures
グローバル・ブレイン
投資家からのコメント
■グロービス・キャピタル・パートナーズ ディレクター 湯浅エムレ秀和 氏
「CADDiのコア事業である受発注プラットフォームは、類をみない水準で圧倒的に成長し続けており、この度シリーズBコリードとして大きく追加出資させていただきました。今後も、巨大市場と向き合いながら急成長し続けるのみならず、コア事業の周辺領域まで積極的に取り組んでいき、日本が誇る次なるグローバル企業を目指して邁進していくことを期待しています。我々としても資金面のみならず、組織・戦略面でも貢献できるよう最大限支援して参ります。」
■WiL パートナー 久保田雅也 氏
「共同リード投資家として追加出資させていただきました。コロナで突如、製造業に課されたデジタル化の壁、立ちすくむ町工場とモノづくりの現場。CADDiのソリューションはそんな製造業にとって救世主のような存在です。世界に誇れる日本の製造業は、今もう一度自信を取り戻す必要がある。私たちにとってCADDiへの出資は「日本の未来への投資」です。巨大市場で果てしない山の高みを見据えるCADDiのチームを、今後も全力で支援して参ります。」
■DCM Ventures プリンシパル 原健一郎 氏
「シード期からCADDiに投資をしていますが、前回のラウンドから主力事業を爆発的に成長させただけでなく、製品のカテゴリ拡大、SaaSプロダクトの開発、と顧客に対する価値に真摯に向き合ってきました。これらのプロダクト開発だけでなく、このラウンドの資金を使いグローバル展開もいよいよ本格的に行っていき、CADDiが日本が誇る製造業のプラットフォームになっていくことを期待しています。」
■グローバル・ブレイン ジェネラルパートナー 立岡恵介 氏
「CADDiは前回ラウンドで投資をさせていただいてから、製造業の受発注プラットフォームとして必要なテクノロジーの磨き上げ、注力領域の拡充、それに伴う仮説検証を非常に早いスピードで回してきました。製造業の商流に入り込み、発注者・受注者の時間的、金銭的なコストを両方の側面から理解し、テクノロジーでそれを解決していくことで、単なる受発注プラットフォームに留まらない価値をこれからも創出していってくれることでしょう。期待しております。」
本ラウンドから新規参画した投資家の概要
■DST Global
DST Globalは国際的なインターネット投資企業の一つで、世界的な急成長企業や価値の高い企業に投資し、これまでシリコンバレー、ニューヨーク、ロンドン、北京、香港での実績あり。代表的な投資先は、Facebook、Twitter、AirBnB、Spotify、Alibabaなど。
■Arena Holdings
テクノロジーに基づくイノベーションを生み出す優れた上場・未上場企業に超長期で投資を行う投資家。投資期間に限りがなく、投資先の経営方針を尊重するパートナーとして、経営への価値提供を行う投資アプローチを取る。ソフトウェア、データ、フィンテック、IT関連産業等のカテゴリートップの会社に投資を行う。
■Minerva Growth Partners
主に日本のグロースステージの未上場スタートアップを対象に、上場後もクロスオーバーで長期保有する前提で投資を行うグロースファンド。主に海外機関投資家の資金を背景とするグロースキャピタルの提供を通じ、日本発でグローバルに比肩するカテゴリー・リーダーの創出をバックアップする。
■Tybourne Capital Management
香港とサンフランシスコを拠点とし、世界中の上場および未上場市場において構造的成長性のある企業に対して、長期的な視点で投資活動を展開しているグローバルファンド。潤沢な資本、グローバルな知見・ネットワーク、エクイティストーリー作成を含めた上場に関する見識を提供することで、上場後も長期的に成功するためのサポートを行う。
■ジャフコ グループ
国内大手ベンチャーキャピタル。国内外における運用ファンドの累計コミットメント額は1兆円を超え、累計上場社数も1,000社超にのぼる。ベンチャー投資に加えてバイアウト投資も展開。資金を提供するだけではなく、HR、マーケティング・セールス、バックオフィス構築などの支援も行う。
■SBIインベストメント
次世代の中核産業となる分野の未公開企業に重点を置いて投資を行うSBIグループのベンチャーキャピタル。フィンテック、AI、ブロックチェーンに加え、「Society5.0 for SDGs」の実現に寄与する5GやIoT、ビッグデータ、「Industry4.0」を推進するロボティクス、ヘルスケア、インフラ、食品・農業などの幅広い産業における革新的技術・サービス領域などへ投資分野を拡大。
「CADDi」について
CADDiは、「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」をミッションに、多重下請けピラミッド構造から「強み」をベースにフラットに繋がる構造へと変革する、製造業の受発注プラットフォーム。産業機械装置メーカーやプラントメーカーを対象とし、板金・切削・製缶などの特注部品で構成される装置・プラント一式の一貫生産を担う。独自開発の原価計算アルゴリズムに則った自動見積もりシステムにより、品質・納期・価格が最も適合する加工会社の選定を可能としている。製造業全体のDXをグローバル規模で牽引するプレイヤーとして、複数業界を横断した受給のリバランスを図り、調達だけに留まらないバリューチェーン全体の最適化を実現するという。
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