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【スタートアップブースターVOL.1】 株主総会にかかる時間を10分の1に短縮する「smartround」とは

【スタートアップブースターVOL.1】 株主総会にかかる時間を10分の1に短縮する「smartround」とは

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いざ、会社を立ちあげたはいいものの、煩雑な事務手続きに、匙を投げたくなることも多いのではないだろうか。そこで、新たに開始するのが新シリーズ企画「スタートアップブースター」だ。

本企画では、スタートアップにお勧めしたいサービスなどを、運営者へのインタビューをもとに紹介していく。シリーズ第一弾は、起業家と投資家の関係構築を支援するSaaS「smartround(スマートラウンド)」だ。

「smartround」のスタートアップ向け機能は、「経営管理」「株主総会」「資本政策」の大きく分けて3つの代表的な機能を持つ。2019年7月のローンチ以降、順調にユーザー数を伸ばし、現在では2000社が活用するSaaSへと成長している。著名投資家からの評価も高く、投資家から投資先に紹介され、ユーザーが増えるケースもあるという。

TOMORUBAでは、「smartround」を運営する株式会社スマートラウンド COO 冨田阿里氏と、事業開発 兼 カスタマーサクセス責任者 坪井駿兵氏にインタビューを実施。事業を牽引するお二人に「smartround」の魅力を聞いた。


▲株式会社スマートラウンド 執行役員 COO 冨田阿里 氏

2012年、パーソルキャリア株式会社(旧・インテリジェンス)に入社。スタートアップ担当に。2016年、株式会社セールスフォース・ドットコムに転職。インサイドセールスを経て、スタートアップ戦略部を立ち上げ、同社とスタートアップの連携に奔走。起業家向けのカンファレンスや壁打ち、SaaSの勉強会、コミュニティ運営などを行う。2019年8月、株式会社スマートラウンドに入社。COOとしてマーケティング、営業、カスタマーサポート、アライアンスなど、社外との関係性構築全般を担う。


▲株式会社スマートラウンド 事業開発 兼 カスタマーサクセス責任者 坪井駿兵 氏

学生時代は研修・コンサルティング業務を行う企業でのインターンを経て、事業の立ち上げを経験。その後、2019年3月に創業期のスマートラウンドにインターンとしてジョインし2021年4月、大学卒業と同時に、同社における新卒1期生として入社。現在は、事業開発とカスタマーサクセスを担う。

起業家と投資家、双方の経験をもとに生まれたプロダクト

――「smartround」は、どのような課題感から生まれたのでしょうか。

冨田氏: 「smartround」は、起業家と投資家の非効率を解消するために生まれたプロダクトです。1人の起業家(あるいは1社のスタートアップ)に対し、複数の投資家(株主)がいますが、起業家と投資家間のやりとりは、個別にメールを送ったりだとか、メッセンジャーでグループを作ったりだとか、今でも属人的な方法で行われています。

昨今のビジネスシーンでは、こうした方法でのやりとりが減ってきているにも関わらず、新しいツールを開発したり投資を行う自分たちのやりとりは、旧態依然のままです。こうした現状に対する課題感から生まれたプロダクトが「smartround」なのです。


――なぜ、起業家と投資家の非効率を解消しようと?

冨田氏: 創業者である砂川のバックグラウンドに関するお話しになるのですが、もともと砂川は三菱商事の商社マンで、ハーバード大学にMBA留学し、その後、アメリカのベンチャーキャピタルで働いた経験を持っています。帰国後はスタートアップを立ち上げ、その会社をNTTドコモに売却。その売却益をもとに個人投資家として投資を行いながら、Googleを経て、2018年5月にスマートラウンドを立ち上げました。

創業者である砂川自身が、投資家と起業家の両方を経験し、双方の経験を通じて感じたペインと知見を活かして、このプロダクトを開発しました。

起業家と投資家間のアナログ業務をなくす「smartround」とは

――「smartround」を使うと、具体的にどのようなことができるのですか。

冨田氏: スタートアップに対しては「経営管理」や「株主総会」「資本政策」など、いくつかのツールをご用意しています。「経営管理」からご説明すると、起業家はWordやExcelで作成した資料をDropboxなどに格納し、それをメッセンジャーやメール、Slackで投資家に共有します。投資家は、共有された資料を自分のストレージに保存しなおし、Excelに移し替えます。

「smartround」を使えば、起業家はバックオフィス業務に必要な資料やデータを「smartround」上に格納しておき、その一部の閲覧権限を付与する形で、投資家に資料を共有することができます。投資家に関しても、同じプラットフォーム上で、閲覧権限を付与されている投資先の資料やデータを、一括して見ることができます。

――バラバラに管理・共有されていたものが、統一されたルール上で管理・共有できるようになるわけですね。

冨田氏: はい。すべてのステークホルダーが同じフォーマットを使えば、管理も共有も集計も楽になります。これまで、統一されていなかった起業家と投資家間のコミュニケーションを一元化することで、使う人すべてがハッピーになる――そんなプロダクトなのです。

――2つ目の「株主総会」機能は、どのような負を解決できるのですか。

冨田氏: 株式会社であれば会社法で定められた開催要件に応じて、必ず開催しなければなりません。しかし、会社を設立するときに「このタイミングで株主総会を開いてくださいね」とすべてを教えてもらうことはありません。ですから、設立1期目の起業家は、ギリギリになってから投資家に言われて初めて、株主総会を開かねばならないことを知るのです。

何も知らない中で株主総会を開催しなければならないときでも、「株主総会smartround」を見ていただければ、株主総会マニュアルを載せているので、総会の種類や開催頻度、総会で決議すべき内容、進め方などが分かります。それだけではなく、株主総会を円滑に進めるツールも提供しています。

――具体的に、どのようなツールなのですか。

坪井氏: 株主総会の招集手続きと委任状の回収及び集計を効率化するツールです。今までだと、招集通知を作成、印刷したうえで郵送をして、返送をしてもらい、それを転記して集計するという非常にアナログな方法でした。しかし「株主総会smartround」を使えば、これらすべてをオンラインで完結することができます。

簡単に流れを説明すると、まず入力フォームにそって必要事項を入力するだけで、招集通知などの書類が自動で作成でき、それらを株主にメールで一斉送付できます。株主(投資家)は、招集通知メールを受け取ると、オンライン上で株主総会への出欠、欠席の場合は各議案に対する賛否を選択できます。5秒程度で回答・返信できてしまう手軽さです。起業家は、株主からの出欠や賛否を回収した後、各株主の保有株数をベースに、決議を自動集計することができます。


▲「株主総会smartround」画面

――従来、株主総会に要していた時間とコストを、大幅に削減できそうですね。「資本政策」機能についても、簡単に教えてください。

坪井氏: 「資本政策smartround」は、これまでExcelで行っていた資本政策のシミュレーションが簡単に作成できるツールです。Excelでの運用のように計算式が壊れてしまう心配もありませんし、既に上場されている有名スタートアップの資本政策例もご用意していますのでそちらを参考にさまざまなパターンでシミュレーションを作成いただけます。


▲「資本政策smartround」画面

さらに「資金調達を行いたいけれども、何から手をつけたらいいのか分からない」という起業家向けに資金調達の全体像を21ステップで解説したマニュアルを用意しています。例えば、「投資家に会う際、どんな準備をすればいいのか」「実際に入金されるまで、どういう手続きが必要か」などを紹介。これらはCEOの砂川が執筆し、各領域のスペシャリストにレビューをもらって、コンテンツ化したものです。

SNSでも非常に反響をいただており、これから資金調達を実施しようとしているスタートアップにはぜひ読んでいただきたいです。

導入社数「1700社」を突破、毎月100社のペースで増加中

――現状、どのくらいのユーザーが使用しているのでしょうか。

冨田氏: 起業家(スタートアップ)だけで1700社程度です。リリース直後から大きな反響をいただき、導入数は右肩上がりに伸び続けています。2019年7月にリリースしてから毎月順調に、100社程度ずつ増えているという状況です。

――好調に推移しているようですが、ユーザーからはどの機能が評価されているのですか。

坪井氏: 「株主総会」と「資本政策」が特に喜ばれていますね。起業家は、株主総会についてよく分からないから、とりあえず従来の方法を継承するという方が多いです。でも、従来の方法はとても非効率ですよね。だからといって、法律で決められたことなので、やらないわけにはいかない。そうしたときに、非効率を解消できるツールとして「株主総会smartround」が選ばれています。

これまでの煩雑な業務を大幅に効率化できる上、無料でお使いいただけるため、「もっと早く知りたかった」や「他のスタートアップにも紹介します」など非常に満足いただいています。

一方、投資家(株主)から見ても、例えば100社に投資をしていれば、100社分の株主総会の委任状送付業務が発生するため、その手間が省けると喜んでいただけています。

冨田氏: 実は、コロナ禍の追い風もありました。投資家もリモートで仕事をするようになりましたが、家に株主総会の書類を送ってもらうことは、セキュリティ上、ためらわれます。わざわざ出社して、印鑑だけ押すのもどうかということで、「オンライン化しよう」という動きが、大企業も含めて増えてきたように思いますね。

それに、そもそもExcelで管理することに対して、誰も満足してはいませんでした。しかし、変えることによって金銭的なリターンがあるわけではないので、積極的に変える動きもなかったんです。この状況が、コロナ禍をきっかけのひとつとして、変わり始めている印象です。

――ユーザー各社は、どのくらいの効率化を実現できたと?

冨田氏: 会社によって違いはあるものの、株主総会に要する手間が、10分の1程度になったという声も少なくありません。継続して使いたいと言ってくださるお客様も多いですね。


カバー率を向上させ、ユーザーへの提供価値を最大化する

――今後、どのように事業を展開していかれるのでしょうか。

坪井氏: 僕らとしては、業界全体にまでこのサービスを広げていきたいと思っています。現状、投資家から見て、投資先である起業家やスタートアップすべてが使っているかというと、そういう状況ではありません。ですから、まだまだ非効率な部分が多くあります。

この状況は、カバー率が高くなれば高くなるほど改善されます。投資家は一元管理がしやすくなりますし、スタートアップもすべての書類を「smartround」で管理できるようになります。僕らのサービスは、広がれば広がるほど利用者の価値が高まっていくモデルなので、投資家・起業家問わず、ユーザー数をどんどん増やしていくことが、現状、目指していることです。

冨田氏: 「smartroundの株主総会を使いたくない」とおっしゃる株主が一人でもいらっしゃると、起業家はその人だけ個別対応をしなければならないんですね。そうすると、起業家の負担も増えてしまうので、私たちは可能な限りステークホルダー全員が「smartround」を使ってくれる状況を作りたい。全員が「smartround」を使うことで、全員が便利になるという未来を、早急に構築したいですね。

――最後に、起業家やスタートアップの皆さんに向けてメッセージをお願いします。

坪井氏: スタートアップの皆さんは、「こういう未来を作りたい」「こういう課題を解決したい」という想いから、それぞれ素晴らしい事業を展開されていて、それらが広がることによって、世の中もよくなると思っています。しかしそれらが、細かい事務作業や煩雑な事務手続きによって阻害されてしまうことは、非常にもったいないです。事務作業に時間をかけることは、起業家の時間を奪うことにもなります。

僕らは、そういう障害物にぶつからないようにしたり、落とし穴にはまらないようにしたりといったところで、起業家の皆さんをサポートし、皆さんが走るべきところを全力疾走できるようにしたい。そうすることが、結果的に社会への貢献にもなると思っています。

冨田氏: 私は新卒の頃から継続してスタートアップの人たちに育ててもらいました。パーソルキャリアに在籍していた2013年から、Morning Pitch(ピッチイベント)に足を運んでいましたが、社会のために夢中になって取り組んでおられる起業家たちを目の当たりにして、本当に人生が変わりました。

そういう方たちが増えてほしいですし、そういう人たちの役に立つ仕事を手がけたいとの想いから、スマートラウンドに参画しています。ですから、少しでも大好きな起業家の皆さんの役に立てると嬉しいです。


取材後記

起業家(スタートアップ)と投資家(株主)のコミュニケーションを一元化し、双方の手間を省く「smartround」。特に「株主総会」は、起業家・投資家いずれのユーザーからも、非常に高い評価を獲得しているという。事務作業の負担を減らし、集中すべき事業推進にコミットできるようにする――そのための強力なサポートツールが「smartround」だ。このサービスを導入すれば、間違いなく業務を効率化できるだろう。

「フリープラン(月額0円)」「スタンダードプラン(月額3000円)」「プロフェッショナルプラン(月額10000円)」の3つのプランで提供されているが、同サービスはパートナープログラムを実施しており、パートナーいずれかと「つながり」ができたスタートアップは、スタンダードプランの利用料金が無料になる。AUBAもパートナーに含まれているので、AUBAに登録中のスタートアップなら、月額無料で利用が可能だ。興味がある企業は、「ご利用プラン」を確認のうえ、トライアルで使ってみてはどうだろうか。

(編集:眞田幸剛、取材・文:林和歌子)

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