ティアフォー×ブレインフォー×ミナミHD | 「AI教習システム」の事業化に向け協業
株式会社ティアフォー、株式会社ブレインフォー、南福岡自動車学校を運営するミナミホールディングス株式会社(以下「ミナミHD」)は、自動運転技術を活用した運転技能検定システム及び教習システム(以下、あわせて「AI教習システム」)を共同開発し、事業化に向け協業することに合意した。
2020年9月28日には、南福岡自動車学校(福岡県大野城市)において、AI教習システムを用いた試乗会を実施する予定。AI教習システムは、ティアフォーの創業者でもある加藤真平氏が東京大学の准教授として研究代表者を務めるJST CRESTの研究課題「完全自動運転における危険と異常の予測」の研究成果を活用している。
▲上写真:車両イメージ
背景
昨今、自動車教習所は、人材不足による指導員の負担増加や、運転免許取得教習及び高齢ドライバー向け運転技能検定の受入難などの社会課題に直面している。これらの課題解決を目的としたAI教習システムの事業化に向け、この度、ティアフォー、ブレインフォー及びミナミHDの3社は、これまで各社が蓄積してきた知見や実績を集約し、システムを共同開発することに合意した。
AI教習システムでは、自動運転技術を用いて車両位置や周辺環境を正確に読み取ることができ、またドライバーの運転技能を指導員と同程度の精度で評価することが可能となる。AI教習システムによる画一的な評価は、指導員の負担軽減を図るだけでなく、これまで担当指導員ごとに生じていた評価のばらつきの解消も期待できる。
今後目指す方向性
各社は、AI教習システムの事業化に向け、以下2つのフェーズに分けて段階的に取り組みを進める。
<フェーズⅠ>
高齢者・ペーパードライバー向け教習や企業研修へAI教習システムを導入し、教習所構内においてAIによる運転技能検定及び教習を実施する。
<フェーズⅡ>
フェーズⅠの実績及びティアフォーの公道における自動運転実証実験の経験を基に、教習所構外にも対応したAI評価モデル及びシステムへと発展させる。
各社の役割分担
事業化の過程においては、各社がこれまで培ってきた知見を集約することにより、人とAIが助け合う、未来の教習所事業の実施体制を構築していく。
・ティアフォー:オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」を活用したAI教習システムの開発
・ブレインフォー:運転技能検定における評価モデルの研究開発
・ミナミHD:AI教習システム及びコンテンツの共同開発、AI教習システムを活用したサービス展開及び導入支援
当面の活動計画
2020年9月28日、南福岡自動車学校において、AI教習システムによる技能検定のデモ及び試乗会を実施予定。
その後は、2021年春頃からの本格的なサービス開始に向けて同教習所構内で実証を重ね、システムの改善を図る。サービス開始時期などの詳細は、確定次第発表予定。
試乗会の内容
試乗会では、AI教習システムを使った「運転技能検定」と「運転技能教習」を体験できる。運転技能検定では、教習所内の決められたコースを走行することで、システムがドライバーの運転技能を定量的に評価し、スコアレポートを生成する。運転技能教習では、免許取得教習の中でも苦手とする人が多いS字走行を、指導員に代わってシステムが指導する様子を体験できる。
各社からのコメント
■ティアフォー 創業者兼CTO 加藤真平氏
「自動運転技術によって自動車教習所の人材不足という社会課題を解決できることは本当に素晴らしいことだと思います。また、これがオープンソースで開発されているAutowareによって実現されているとともに、JST CRESTを通じた大学研究の一環として生まれた成果であることは、まさに産官学連携によるオープンイノベーションの価値を証明するものだと感じています。今後も自動運転技術が様々な用途に役に立つよう研究開発を続けていきます。」
■ブレインフォー 代表取締役社長 清谷竣也氏
「より安全で快適な自動車社会を実現するためには、ドライバーの運転技能向上が非常に重要です。ティアフォー・ミナミHDと協業し、自動運転技術と指導員の運転評価データを掛け合わせることにより、指導員の知見を活かした運転技能の評価モデルを構築できると考えています。このシステムによって、より安全な自動車社会の実現を目指します。」
■ミナミHD 代表取締役 江上喜朗氏
「運転能力の向上には、「指導の質」と「かけた時間」が大きく影響を与えます。今回は両社の協力で、自動運転ソフトウェア「Autoware」を活かし、南福岡自動車学校で蓄積してきた指導ノウハウのAI化を実現、最高レベルの指導ノウハウをAIによる低コストで提供できることとなりました。是非試乗会でお試し下さい。」
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