【アシックスのCVC】 環境に配慮した「人工クモ糸素材」を開発・生産するイスラエルのスタートアップに出資、共同開発に着手
株式会社アシックスは、同社の投資子会社であるアシックス・ベンチャーズ株式会社が、独自の人工クモ糸素材「SVX」の製造を行うイスラエルのスタートアップ企業Seevix Material Sciences Ltd.(シービックス・マテリアル・サイエンス、以下「Seevix社」)に出資したことを発表した。今後、Seevix社とアシックスグループの研究機関であるアシックススポーツ工学研究所は、協業によりSeevix社の繊維素材を活用したスポーツ用品の開発を進めるという。
出資の背景
Seevix社は、2014年に設立されたスタートアップ企業で、ヘブライ大学における研究により発見された繊維素材「SVX」、および同素材を活用した商品の開発を行っている。同社が開発した「SVX」は、天然のクモ糸のように軽量ながら耐久性と弾性をあわせ持つ極細のバイオプロテイン繊維だ。微生物がタンパク質を発酵させることによって生成され、生分解性を持つことが特徴だ。
一方、アシックスでは、中期経営計画「ASICS Growth Plan (AGP) 2020」のコア戦略の1つに「差別化されたイノベーションの創出」を掲げ、積極的に外部リソースを活用し、イノベーションを加速させることに取り組んでいる。今回の取り組みもその一環で、「サステナビリティ」に配慮した取り組みをさらに推進すべく、バイオテクノロジーを活用し、製品の機能性を向上させながら、循環型社会に貢献できる持続可能な製品の開発に取り組む。
今後も同社は、顧客のライフスタイルや体験に大きな変化をもたらす革新的な商品・サービス・プロセスの創出とともに、持続可能な社会への貢献を目指し、社外の先進的な知見やテクノロジーを積極的に取り入れていくという。
アシックス・ベンチャーズ株式会社の直近の活動
アシックス・ベンチャーズでは、「スポーツ&健康」、「先進的なデジタル技術」、「サステナビリティ」を投資領域に掲げている。特に「サステナビリティ」領域では、スペインのスタートアップ企業「PYRATES smart fabrics」(以下、PYRATES社)に出資し、PYRATES社の繊維素材を活用した商品開発を行った。
PYRATES社は、有機農法の植物由来のタンパク質とアミノ酸を組み合わせ、環境に配慮した繊維素材などを開発している。2020年3月8日の国際女性デーに合わせ、PYRATES社の繊維素材を使用したヨガウエア7点をヨーロッパ市場に投入した。
なおPYRATES社は、2018年から2019年にかけてアシックスがヨーロッパで開催したスタートアップのアクセラレーター(育成支援)プログラム「TENKAN-TEN(テンカンテン)」に参加し、アシックスによるメンタリングなどを通してビジネス拡大を図ってきたベンチャーだという。
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