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【1/14応募締切!】2020年夏に誕生、羽田の新たな街が舞台のイノベーションプログラム。大企業が惜しみなく提供するリソースとは?

【1/14応募締切!】2020年夏に誕生、羽田の新たな街が舞台のイノベーションプログラム。大企業が惜しみなく提供するリソースとは?

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2020年夏、羽田空港の周辺エリアにこれまでにない革新的な街「HANEDA INNOVATION CITY」(羽田イノベーションシティ、以下HICtiy)が誕生する。京浜急行電鉄空港線・東京モノレール空港線「天空橋駅」に直結し、東京ドームの約1.25倍の敷地面積を有するHICtiyは、日本の先端・文化産業を発信・創出することを目指す。

HICtiyのまち開きに向け、訪れる方に新たな体験・価値を提供する
事業アイデアを募集するプログラム「HANEDA INNOVATION CITY BUSINESS BUILD(1/14応募締切)を開催することが決まった(※)。

※関連記事:羽田空港跡地に誕生する「HANEDA INNOVATION CITY」が実証実験の場に!

同プログラムの募集テーマは「街との新たなタッチポイント創出」「ここでしかできない賑わいを生み出す体験価値」「先端技術を活用した新たな社会価値創造」の3つ。選出されたアイデアは2日間(1/31&2/1)のBUSINESS BUILD DAYでブラッシュアップされ、採択されたアイデアは実装に向けた実証実験を進めていく。

運営は経済産業省関東経済産業局、大田区、羽田みらい開発株式会社(以下、羽田みらい開発)、eiiconが担当。実装パートナーには、羽田みらい開発の構成企業(※)を代表して、鹿島建設株式会社、大和ハウス工業株式会社、京浜急行電鉄株式会社、日本空港ビルデング株式会社の4社が参加し、加えて技術的リソースを提供する企業としてエイベックス・エンタテインメント株式会社、京セラ株式会社、ソフトバンク株式会社といった大企業が名を連ねる。また、本プログラムにおいて活用できるリソースの詳細や今後のスケジュールは以下のようになっている。

※羽田みらい開発 構成企業……鹿島建設・大和ハウス工業・京浜急行電鉄・日本空港ビルデング・空港施設・東日本旅客鉄道・東京モノレール・野村不動産パートナーズ・富士フイルム

<活用リソース>

HICityでの実証実験ができ、具体的に活用できるリソースは以下の通り。また、実装に向けた本格的なインキュベーション体制も用意されている。

●滞在空間(街の中央を通る約200mにおよぶコリドー空間や施設屋上に整備予定の足湯空間)

●イベント来場者(3000人収容可能なイベントホール来場者の滞留時におけるタッチポイント)

●空港付近ならではの資源(飛行機の離着陸風景や、湾岸エリア特有の強い風などを資源として活用可能)

●サービス・プロダクト開発支援(音声ARや、リアルタイム翻訳、訪れる人々の可視化、画像認識AI・モビリティ関連等のテクノロジー支援)

<今後のスケジュール>

▼2020年1月14日/エントリーの締め切り

▼2020年1月21日/選抜

▼2020年1月31日・2月1日/HANEDA INNOVATION CITY BUSINESS BUILD(2日間でブラッシュアップし、アイデアの事業化を目指す。TECH PLAY SHIBUYAにて開催)

※その後、2020年夏のオープン後の実証実験準備を行うインキュベーション期間に入ります。

今回、「HANEDA INNOVATION CITY BUSINESS BUILD」開催に先立ち12月19日、東京・大手町SPACESでプレイベント・プログラム説明会が実施され、関連企業の担当者が登壇。プログラムの概要をはじめ、新たな街の構想、アイデアの実装に向け提供されるリソースなどが紹介された。――その内容について、詳細にレポートしていく。

新しいビジネスを創出して羽田を盛り上げるため、全面的なサポートを行う。

イベントでは、まず関東経済産業局の門田氏が登壇。地域中核企業ローカルイノベーション支援事業の構想を紹介した。同事業は、戦略分野の担い手となることが期待される地域の有望企業群(地域中核企業)に対して、新事業への挑戦を促すため、「支援機関ネットワークの構築・強化」と「地域中核企業への支援」を行う。――つまり、「地域で頑張っている方と一緒に地域経済を活性化することが私たちのミッション」と伝えられた。

▲関東経済産業局 地域経済部 産業技術革新課長 門田 靖氏

同局の役割は、スタートアップ、中堅・中小企業、大手企業など、企業規模や分野を超えて新たな組織間の共創を推進していくことだ。そのため、自治体や金融機関、大学等の参画を得ながら、企業間ネットワーキングを橋渡しするオープンイノベーションプラットフォームを構築し、新たな価値の創出を図るべく活動している。

具体的な取り組みとして、オープンイノベーション推進者交流会をはじめ、「(1)大手企業×中小企業【対話重視型マッチング】」、「(2)スタートアップ×中堅・中小企業」、「(3)オープンイノベーション・マッチングスクエア【ウェブマッチング】」、「(4)ビジョン共有型マッチング【ビジネスビルド プロジェクト】」を手がけている。このうち、「HANEDA INNOVATION CITY BUSINESS BUILD」は(4)に該当する。

門田氏は本プログラムを、「ワクワクする新たな街づくりをコンセプトに、スタートアップとものづくり中小企業などが連携し、まちづくりの開発を担うパートナー企業のアセットと掛け合わせを行いながら、新しくできる街にサービス実装をできるようなアイデアを提案するプロジェクト」と位置付けた。

さらに、同局からのバックアップとして「自治体やパートナー企業との円滑な対話をサポート」「対話プロセスにおける知財等の専門家サポート」「各種補助金の紹介、申請書作成のバックアップ」があると伝えられた。最後に門田氏は「新しいビジネスを創出して羽田を盛り上げたい。全面的なサポートを行うので、たくさんのアイデアをお待ちしている」と呼びかけた。

ロボットが適切なサービスを提供できる世界を実現したい。

続いて、羽田空港でオープイノベーションの取組みを進める日本空港ビルデングの志水氏が登壇した。同社は日本社会へのロボットテクノロジーの普及と世界への発信を目指し、政府の「改革2020」プロジェクトの取組みの一つとして、国土交通省および経済産業省と連携しながら、ロボット実証実験プロジェクト「Haneda Robotics Lab」を創設した。――今回、アイデア創出のヒントとして、同プロジェクトの成果と課題が伝えられた。

▲日本空港ビルデング株式会社 事業開発推進本部 事業開発部 担当部長 志水 潤一氏

日本には優れた技術が多くあるものの、活用が進まず、実環境での発展が乏しい状況にあった。同プロジェクトにはこうした状況を打破する目的を持ち、「羽田空港をテストフィールドとして活用してもらいながら、技術の発展に貢献する」という。実際のフィールドを活用した実証実験を通じ、空港職員や空港を訪れたお客様が使用することで、実用化に向けた知見を数多く蓄えることができたと話した。

これまでに、清掃、移動支援、案内、搬送物流、警備、翻訳などの分野で計24機種のサービスロボットの実験が行われてきた。特に安全性、利用者とのタッチポイントを生み出すことに重点を置いてきたと説明する。清掃と案内のロボットについては、一歩踏み込み、2018年度から試験導入を実施中。清掃ロボットは2019年度に入り、導入済みであると発表された。案内ロボットは遠隔で人が操作するタイプのものと、AIによる音声応答を行うものを試験しているとのことだ。

今後の展望として、2020年を目途にロボットの導入を確実に推進し、「導入後の絵姿を世界中に発信したい。さらにその先を見据えると、ロボティクス技術を活用した運用モデルを作り、お客様にロボットが適切なサービスを提供できる世界を実現する」と意気込みを見せた。

なお、「HANEDA INNOVATION CITY BUSINESS BUILD」では、HICity及び本来なら実施が困難な空港内と連携を取るような実証実験について、支援を行うと強調した。

先端産業と文化産業の拠点となることを目指す。

羽田みらい開発の加藤氏からは、HICity開発の概要や狙い、目的などが伝えられた。

HICityは研究開発ラボ先端モビリティセンター、先端医療研究センター、会議研修センター・滞在施設、イベントホール、商業店舗、水素ステーション、日本文化発信施設などの様々な施設で構成されている。2020年に先行施設が開業し、まち開きとなり、2022年にグランドオープンの予定だ。

▲羽田みらい開発株式会社 SPC統括責任者/鹿島建設株式会社 開発事業本部 事業部1担当部長 加藤 篤史氏

新しい街のビジョンは「先端産業と文化産業の拠点を作ること」だ。先端産業の拠点形成に向け「ヘルスケア/ロボティクス/モビリティ」の3つの柱が立てられ、文化産業の拠点としては、日本と世界の玄関口という羽田の立地を活かし、日本文化を発信することが狙いとなっている。

また、施設の特筆すべき箇所としてHICityを貫くイノベーションコリド(以下、コリドー)ーが取り上げられた。コリドーはHICityの各建物の2階部分を繋げるように整備された、歩行者専用のデッキ空間である。

加藤氏はコリドーを「イベントホールに訪れる3000人以上の人々や、先端企業に勤める様々な人々が毎日、行き来する場所となる。そこでは、いろいろなもの混じり合い、来訪者のインスピレーションを刺激するような空間にしたい」と語った。

これに加え、HICityには国が進めるスマートシティモデル事業の重点事業化推進プロジェクトに採択されている。スマートシティの実現に向け、様々なモビリティの活用や空間情報データ連携基盤(BIM・CIM)を活用した先進的取組みの展開を目指しているという。加藤氏は「HICityのまちづくりにおいて、根底にあるものをお話した。これらをアイデアの材料とし、さまざまなアイデアを提案してほしい」と会場に呼びかけた。

この後、大田区、ソフトバンク、エイベックス・エンタテインメント、京セラから、それぞれが提供するリソースが伝えられた。詳細は以下の通りだ。

【大田区】ものづくり技術とノウハウで、ゼロからのアイデアを形に。

大田区はものづくりの技術を提供する。――大田区は約3500のものづくり企業が集まる地域で、自動車、鉄道、航空・宇宙業界などで使われる部品の加工や製品製作を手がけ、「高度な加工技術」「ものづくりノウハウ」を蓄積してきた。

I-OTAの國廣氏は「だからこそ、お客様のためにものづくりができる、課題が解決できる」とものづくりの第一線にいる者ならではのプライドをのぞかせた。大田区では、隣接した技術の協業が活発に行われた歴史があり、また、「下町ボブスレー」のプロジェクトを通じ、ものづくり企業同士はもちろんのこと、大手企業との協業にも経験と実績があるという。

▲大田区 産業経済部産業交流 担当課長 臼井 正一氏

▲I-OTA合同会社 代表社員 國廣 愛彦氏

さらに、大田区の複数の企業が参画するI-OTAでは、近い技術の協業に加え、電子電気・機械装置との協業、企画・開発・設計・プロジェクト管理をはじめ、システムインテグレートから事業化のサポートまでも手がけている。ものづくり企業というとアナログな取り組みを想像するかもしれないが、I-OTAはクラウドなどを活用し、互いの工場の稼働状況などを把握しながら仕事を進めている。

國廣氏は「これまでは1枚の図面を形にすることが多かったが、これからは複数の図面を見ながらアイデアの実現を目指す。そうしたプロジェクトを管理できるハブ企業が集まったものがI-OTAコンソーシアムだ」と説明した。開発実績は農耕機や小松菜刈り取り装置などであり、AIなど先端技術を用いる共に、海外ベンチャーとの協業も行ってきたという。

國廣氏は「大田区のものづくり企業が連携することで、スピード感のある仕事を行い、ゼロからのものづくりを絶対に実現させる。ものづくりを行う際にはぜひお声がけいただきたい」と熱く語り、発表を締めくくった。

【ソフトバンク】賑わいの可視化と翻訳APIで、新たな体験価値を作り出すことを支援。

ソフトバンクはAI・機械学習を提供する。――具体的には「賑わいの可視化アルゴリズム」「多言語ソリューション(翻訳API)」だ。これにより、募集テーマとして掲げられている「ここでしかできない賑わいを生み出す体験価値」を念頭に、新しい価値の創造、わくわく・賑わいを生み出すためのアイデア実現を技術的な側面から最大限に支援をするという。

▲ソフトバンク株式会社 IoTエンジニアリング本部 担当課長 浅井 恭子氏

2つのリソースを詳しく説明すると、「賑わいの可視化アルゴリズム」は各施設の状況や商業テナントの混雑状況を把握することが可能な、訪れる人々を可視化する「AI画像認識アルゴリズム」。交通状況や店舗の空き状況、イベントの混雑状況などが把握できる。「多言語ソリューション(翻訳API)」はこれからますます増加が見込まれるインバウンドのニーズに応える。

現在、同社では3段階に分けたエンタープライズグレード音声翻訳アプリサービスが開発されており、BtoBtoBを展開する顧客と共に実用化を進められているという。今回は、その技術を提供するとのことだ。施設での利用をはじめ、ロボットなどアウトプットデバイスとの連携など実装シーンはさまざまに考えられる。

浅井氏は「今回のプログラムはとてもワクワクする取り組み。ぜひ、一緒に羽田の新しい町を盛り上げていければと考えている。イノベーションを共に起こしたい」と積極的な協業を会場に呼びかけた。

【エイベックス】音声ARで共に街を変え、価値を高めたい。

エイベックス・エンタテインメントは音声ARを提供する。――レコード会社からエンタメ会社へと変貌した同社は現在、音声・音楽を活用した社会の多層化(Society 5.0)に取り組んでいる。

これを実現するツールとして期待しているのが、音声ARだ。同社のいう音声ARは美術館などで使われる音声ガイドを街中に実装してくもので、ビーコンや、GPSを活用して、街のあらゆる場所で、多言語の音声情報を利用したり、音楽を聴いたりすることができる、多言語ソリューションを目指す。

▲エイベックス・エンタテインメント株式会社 ビジネスアライアンス本部 ビジネスクリエイトユニット マネージャー 渡部 宏和氏

仕組みはシンプルだが、できることは多彩だ。例えば、音声の観光ガイド(ルート観光)、スタジアムの座席案内、売店やレストランのメニューの多言語化といったユーティリティ分野、音のスタンプラリー、アニメやドラマのロケ地の聖地巡礼といったエンタメ分野、段差など危険な箇所での音声注意喚起といった安全・ユニバーサルデザイン分野などが考えられる。

なお、視覚のARと比較すると、デバイス(ハード)による利用シーンの制約がほとんどないことや、歩きスマホにもならず高い安全性が保てることなどがメリットのひとつとして挙げられる。

渡部氏は「音声ARは日常生活にさまざまな音声・音楽をスマートに重ねていくことでその場所の価値を上げたりすることができ、人それぞれの最適な価値に変容できる。社会を多層化するフォーマットになる。一緒に音声のARで街を変えられれば」と熱意を込めた。

【京セラ】重点的に研究を進める4分野で高い技術力を提供。

京セラは情報通信・自動車関連、環境・エネルギー関連開発、医療・ヘルスケア関連研究開発、その他部品・モジュール関連研究開発の各分野でリソースを提供する。

▲京セラ株式会社 研究開発本部室 オープンイノベーション推進部 オープンイノベーション推進3課 課責任者 大崎 哲広氏

同社は2019年7月にみなとみらいに研究所を開設し、上記4分野の研究開発を進めている。それぞれの研究の詳細は以下の通りである。

「情報通信・自動車関連」では、センサシステムと通信システムのハイブリッド技術である協調型自動運転システムの開発を進めている。車のセンサによる危険検知とそれらのデータを路側機を通じて車間で共有して流れを協調制御する。

「環境・エネルギー関連」は太陽光、固体酸化物型燃料電池、蓄電池のパワーリソースを供給している再生可能エネルギーで、アイデアに合わせてこれらを用いた各々の電池やエネルギーコントロールシステムを使った技術支援が可能だ。

「医療・ヘルスケア関連」は非侵襲で生体データをセンシング可能なウェアラブルデバイスの研究開発を進めており、体温や血中酸素飽和度(SPO2)、灌流指標(PI)、呼吸数、脈拍数脈波など、生体のパラメータを分析することで人の状態を知り、次の行動を促すことができる。

「その他部品・モジュール関連」は画像による物体検知とその認識についての研究をはじめ、圧電素子を使った触れた感覚を再現できるHAPTICS技術やLEDを使ったHUD技術などがある。ほかにも部品を用いた多彩な技術支援が可能となっている。大崎氏は「リソースを活かし、多様なアイデアを実現してほしい」と伝えた。

――このように、「HANEDA INNOVATION CITY BUSINESS BUILD」で活用できるリソースは多岐にわたる。新たな事業アイデアとこれらのリソースを掛け合わせて、どのような新しい街を生み出すのか?応募締め切りは、2020年1月14日までだ。

取材後記

HICityは2020年のまち開きに向けて、大きな盛り上がりを見せている。その中で実施されるBUSINESS BUILDも当然、多くの注目が集まると予想される。アイデアの実現に向け、リソースの提供に名だたる企業が名乗りを上げている。このプログラムに応募しない手はない。まだ時間はあるので、少しでも興味を持ったら積極的に応募していただきたい。

※プログラム詳細や応募については以下URLをご覧ください。 

https://eiicon.net/about/haneda-innovationcity-bb2019/

(編集:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士、撮影:佐々木智雅)

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