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【8/23応募締切迫る!】リコーのリソースを使い倒す共創プログラム『TRIBUS』。7つの募集テーマと参加メリットとは?

【8/23応募締切迫る!】リコーのリソースを使い倒す共創プログラム『TRIBUS』。7つの募集テーマと参加メリットとは?

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複合機やデジタルカメラ、産業印刷などの分野で独自の事業展開を進めるリコーがアクセラレータプログラムを開催し、社内外からビジネスプランを募っている。具体的には、リコーの事業に関係する6つの領域に加え、広くリコーの事業領域に関わる全分野でもアイデアを募集。プログラムは「TRIBUS(トライバス)」と名付けられ、2021年度で3回目。既に共創の実績もある。

今年度のテーマは「不可逆な世界でこれからの選択肢をつくる」だ。COVID-19で変化のスピードが劇的に増したことを受け、多様な選択肢の創出を目指している。募集締切は【8月23日(月)】までとなる。


これを受け、プログラムの説明会が実施された。プログラムの全体的な説明をTRIBUS事務局リーダーの大越瑛美氏、進行役をプログラムのサポーター企業、株式会社ゼロワンブースターの合田ジョージ氏が務めた。以下に会の様子をレポートしつつ、TRIBUSの魅力を掘り下げていく。


【画像左】 株式会社リコー TRIBUS推進室 TRIBUS運営事務局 大越 瑛美 氏

リコージャパン株式会社へ入社し、文書管理システムや個人認証システムのプリセールスを経験。株式会社リコーにて、RICOH THETA立ち上げメンバーとして広報・マーケ・コラボレーションを担当。環境CSV(Creating Shared Value)拠点である環境・エネルギー事業センターでのオープンイノベーション担当を経て、リコーのアクセラレータープログラムTRIBUSを立ち上げ、運営事務局に従事。

【画像右】 株式会社ゼロワンブースター / 共同代表・取締役 合田 ジョージ 氏 

MBA、理工学修士。東芝の重電系研究所・設計、国際アライアンスや海外製造によるデザイン家電の商品企画。村田製作所にて、北米およびMotorolaの通信デバイス技術営業後、通信分野の全社戦略に携わる。スマートフォン広告のNobot社のマーケティングや海外展開を指揮、KDDIグループによる買収後には、M&Aの調整、グループ子会社の海外戦略部部長。現在は01Boosterにて事業創造アクセラレーターをアジアで展開中。

社長をはじめ、経営陣が強くコミットメント

まずTRIBUSの概要が説明された。TRIBUSは「挑戦の場」であり事業創造のエコシステムを目指している。社内外にいる挑戦者の支援を通じ、挑戦者の思いをいち早く社会実装することが目標だ。TRIBUSには「3」を意味するトライから、リコーの創業精神でもある「三愛精神」、スタートアップ、リコーグループ、社内起業家の3者でバスに乗って遠くに行こうという思いが込められている。

代表取締役 社長執行役員・CEO山下 良則氏が「自らがオーナーである」と言い切るほど経営陣のコミットメントが強いのが大きな特徴の一つ。山下氏からは以下のメッセージが寄せられた。


「今日の当たり前が明日の当たり前という世の中ではありません。TRIBUSは新たな価値を共創する場。今はみんなで知恵を絞る時だと考えおり、今年のテーマには”多様性の追求”という思いが込められています。デジタル化が加速して個の存在感が増し、ニーズの多様化が進んできました。元の世界に戻ることはありません。

皆さんと一緒に多様性に富んだ新たな選択肢を創り出せれば、豊かな社会の創造につながるのではないでしょうか。非連続で予測が難しいからこそ、自らが未来を作ればいい。ぜひリコーのリソースを使い倒してください」。

TRIBUSはリコーグループの取り組みであり、グループ全体のリソースを活用できる点が大きな特徴だ。一事業やグループの中核企業だけでアクセラレータプログラムが実施されるケースが多くある中で、グループを挙げて行われることにリコーの意気込みを感じる。

2021年度で3回目となる開催だが、プログラムに乗り出した背景にはリコーの創業者・市村清氏の精神がある。市村氏は理化学研究所からは技術を譲り受け、ベンチャー企業であるリコーを設立。「世の中のためになる」という方針のもと、多様な事業を起こしてきた。TRIBUSは、そうした創業者の精神に立ち返り挑戦者を支援することを志しているという。


リコーとスタートアップをつなぐ「カタリスト」の存在

リコーグループ全体を挙げて行われるTRIBUSは社内からもイノベーターを募り、社内起業家育成プログラム=『IAP:イントレプレナーアクセラレータプログラム』と合流する珍しい形式となっている(※以下図参照)。社内起業家向けの支援を事前に行っているため、「起業家への支援にエンジンがかかっている状態」とのこと。


合田氏からは「社内外の起業家、両者の支援をすることでどんな効果が得られるのでしょうか」と問いが出された。これに対し大越氏は「スピード感のある事業の立ち上げなど、スタートアップへの理解がより深まっていることなどが挙げられます」と回答した。場合によっては、社内起業家との協業もできるそうだ。合田氏からは「営業面などでも相乗効果が期待できるでしょう」との指摘があった。

TRIBUSでは、リコーグループの社員で構成される「サポーターズ」制度が導入されている。サポーターズには現在、多様なスキルを持った350人以上が登録。サポーターズのメンバーは社内副業制度を使って採択チームを支援することが可能だ。

合田氏の「スタートアップはサポーターズのメンバーとどのようにコンタクトするのでしょうか」との問いに対して、大越氏は「採択チームを担当する『カタリスト』たちがつなぎます」と回答した。カタリストはTRIBUSの特徴の一つで、採択企業一社を2~4名で担当し、「スタートアップの目線からリコーグループのリソースをどのように使い倒せるかを共に考えます」と大越氏は述べた。


加えて、TRIBUSの事務局には生産、デザイン、品質、経理、R&D、人事、法務、広報、知財など機能部門のスキルを持ったメンバーがおり、それらの支援も行えるとのことだ。もちろん、事務局に気軽に相談できる体制も整えている。

このほか、ハードウェアメーカーであるリコーならではの特徴として、品質保証や量産の支援もできることが挙げられるだろう。実際、リコーには腰の負担を軽減する「マッスルスーツ®」の量産を手がけた実績もある。また、国内グループ3万人以上の社員もリソースとして見ることもできる。過去には、社員に対するアンケートや実証実験の対象として活躍してもらった例もあったということだ。

ハードウェア、ソフトウェア、サービスなどさまざま分野のビジネスプランを採択

ここで他企業との連携にも触れておきたい。TRIBUSはリコーグループ全体の取り組みであることを既に紹介したが、他企業との連携も積極的に行っている。具体的には、アクセラレータプログラムの支援で多くの実績を持つゼロワンブースターをはじめ、Microsoft for Startups、KDDI∞Labo、CAMPFIRE Startupsなどが名を連ねる。これにより、リコーグループにないアセットも利用可能となっている。

昨年度のTRIBUSの実績として、社内外から150件以上の応募があり、そのうち、10件のスタートアップが採択された。詳細は以下の通りだ。まさに多様な事業を展開するスタートアップとの共創に取り組んでおり、いずれも社会実装に向けて、着々とプロジェクトが進行している状況だ。

■株式会社Acompany (代表者:高橋亮祐氏)

・テーマ概要:医療データ連携における秘密計算活用

・取り組み内容:リコーのヘルスケア事業(特に地域包括ケア事業)における医療データの利活用に関する情報交換を実施Microsoft for Startupsに採択

■KBE株式会社 (代表者:白壁和彦氏)

・テーマ概要:人事AIアシスタントresearcHR(リサーチャー)

・取り組み内容:リコー内3部署でトライアル実施中、Microsoft Teams®版サービスをリリースし、Microsoft社とのソリューション連携を開始

■株式会社シューマツワーカー (代表者:松村幸弥氏)

・テーマ概要:副業したい約30,000名以上のIT人材(エンジニア・デザイナー・マーケター)に業務を依頼できるサービス

・取り組み内容:リコージャパンおよびお客様のニーズを確認するインタビューを28部署46人実施、

お客様2社へのサービス導入検討中リコーグループ内での利用およびサービス化の議論を継続

■株式会社Studio Ousia (代表者:渡邉安弘氏)

・テーマ概要:最新の自然言語処理技術を活用した、多言語・曖昧検索を可能にする企業内検索エンジン

・取り組み内容:リコーグループ内ITヘルプデスクのデータを利用した技術検証実施、リコーが開発中のシステム向け検索エンジンをリリース

■株式会社datagusto (代表者:パー麻緒氏)

・テーマ概要:自動調理器の手軽さで、材料(データ)から自社専用の料理(意思決定支援AI)を作成し、利用できるSaaS型セルフAIサービス

・取り組み内容:AI活用のニーズ確認のヒアリング、UI開発に反映社内実践を3部門で実施し全ての部署が継続利用意向、社内外営業向けセミナーで4社からのリードを獲得し初期ターゲット明確化、リコージャパン商品企画部門と継続検討

■ユニロボット株式会社 (代表者:酒井拓氏)

・テーマ概要:コミュニケーションロボットによる人手不足解消ソリューション

・取り組み内容:リコーグループ内、2部門との協業検討を開始「RICOH Future House」学童保育施設「コサイエ」での「unibo」実証検証検討中、リコージャパンデジタルビジネス事業本部とイベントソリューションとしての「unibo」を検証中お客様に対して、リコージャパンと共同提案検討2件

■株式会社Synamon (代表者:武樋恒氏)

・テーマ概要:働き方や社会が大きく変化している中で、VRを活用し、より働き方の多様性を実現させます

・取り組み内容:「RICOH Collaboration Hub」のVR化を実施リコーグループ複数部門と連携した検討を継続

■コグニティ株式会社 (代表者:河野理愛氏)

・テーマ概要:オンライン商談を強化するレポーティングサービスについて、テレワーク中のお取引先様のビジネスコミュニケーション強化に向けたサービスを開発し、働き方改革に貢献する

・取り組み内容:リコーグループ内287名に営業トーク分析アンケートを実施リコーグループ内でトライアル導入を実施

■株式会社With Midwife (代表者:岸畑聖月氏)

・テーマ概要:はたらく人の健康と子育てを、オンラインと全国ネットワークを使い助産師がサポート

・取り組み内容:リコーグループ内で相談者を募集、アンケート回答者317名、実証実験利用者(46名)サービスを「TheCARE」としてリニューアル、サービス提供開始システムの要件定義を検討

■株式会社グローバル・カルテット (代表者:城みのり氏)

・テーマ概要:リサーチ&コンサルティング特化型プラットフォーム「リサーチナレッジコミュニティー」

・取り組み内容:リサーチ特化型の新プラットフォームサービスを立ち上げ中リコー社内におけるヒアリング並びに試行版でのサービス実施+評価を経て、8月にクローズドβ版をリリースTRIBUS2021でも活用予定

幅広くプランを募集、活用可能なリソースも多様

今年度の募集は既に始まっており、締め切りは8月23日。その後、2カ月の選考期間を経て10月28日に総合ピッチコンテストが実施される。2022年2月17日に成果発表会を行う流れとなっている。



TRIBUSの募集テーマは以下の7つの領域となる。

事業活動を通じた課題の解決で、脱炭素社会と循環型社会を実現

リアル×デジタル融合型の企業向けマーケティングサービス

認知機能の見える化と適切な介入で『認知症の未病』を改善する社会を実現

次世代太陽電池でつくる『充電のない世界』

はたらき方が変わる、働く場所が変わる、紙とデジタルの橋渡しで社会へ新しい価値を提供

アナログとデジタルがシームレスに繋がり、リアルを超えるUX(ユーザーエクスペリエンス)の実現

リコーグループのビジネス領域



なお、「⑦リコーグループのビジネス領域」についてだが、同社は下記のような事業を展開している。そのため、多様な共創の可能性があるだろう。

■リコーデジタルサービス/オフィスサービス・オフィスプリンティング:オフィス+リモートではたらく人の課題解決現場ではたらく人をつなぐ課題解決

■リコーデジタルプロダクツ/オフィスプリンティング:はたらく人をつなぐエッジデバイス、デジタルサービスを支えるモノづくり

■リコーグラフィックコミュニケーションズ/商用印刷・産業印刷:印刷現場ではたらく人の課題解決

■リコーインダストリアルソリューションズ/サーマル・産業プロダクツ:製造・物流・産業の現場ではたらく人の課題解決

■リコーフューチャーズ/その他:社会課題解決の新規事業創出

※参考ページ:https://jp.ricoh.com/company/ataglance/field/ 

大越氏は「幅広くテーマを設定しています。上記テーマと関連のないビジネスプランも積極的に応募してください」と呼び掛けた。なお、それぞれにテーマについては、リコー側がスタートアップに向けた「リバースピッチ」の模様がYouTubeにて公開されている。ぜひ参考にしていただきたい。

https://www.youtube.com/hashtag/tribus2021

リバースピッチからのキーワードを列挙する。

#再生可能エネルギー #空間制御 #廃プラ循環 #モビリティ #EMS #地方創生

#環境発電 #室内光発電 #IoT #センシングデバイス #組み込み #自立型発電

#メディカルイメージング #ブレインテック #脳磁計 #保険 #介護 #遠隔診断#ワークスタイル #ペーパレス #ワーケーション #リモート勤務 #DX #文書管理

#オンライン接客 #エッジデバイス #小売 #セキュリティ #DX #音声認識 #画像認識

#デジタルマーケティング #アドテック #商業印刷 #産業印刷 #物流 #MICE

#AI #はたらく歓び #ものづくり #デジタルサービス #HRテック #五感のデータ化 #カメラ #画像解析 #ラグビー #3Dプリンター #工場 #品質管理

また、リコーグループが用意するリソース(Tech Resource/People Resource)を以下に記した。テクノロジーはもちろんのこと、多様な人材が在籍しているのもリコーグループの強みだ。ご覧の通り、さまざまな領域に対応しているため、多くのスタートアップ・ビジネスプランに有用なのではないか。自社とは関係ないと思っていたとしても、一度目を通してみることをおすすめしたい。

■Tech Resource 


■People Resource


アクセラレーター型・スケーラー型の2つの支援パターンを用意

今年度のTRIBUSには、「アクセラレーター型」と「スケーラー型」の2つの支援パターンも設定されている。新設された「スケーラー型」は、規模の拡大を目指す場合で、主に対象となる部門担当者との協業検討及びPoC実施を通じた事業育成・事業拡大をサポートする。応募の段階で事前に実施の可否を確認でき、ビジネスプランの実現に向け、非常に高い精度のマッチングが図れるようになっている。

一方で、従来通り広範な支援を行う「アクセラレーター型」もあり、いずれの選択をするかは事務局に一任することもできる。また、リーチできるリソースはどちらを選択しても同様だ。


最後に、大越氏は「率直に実現したいこと、実行したいことをぶつけてください。出来ること出来ないことはありますが、遠慮なくお伝えいただいたほうが、より着実な支援につながります。未来に向けて、共に新たな選択肢を想像しましょう」と熱いエールを送った。

TRIBUSは募集の領域が非常に幅広く、さまざまなビジネスプランを受け入れ、スケールさせる土壌がある。リバースピッチなどを確認し、少しでも興味を持ったら、まずは応募してみるのはいかがだろうか?

編集後記

TRIBUSはKPIを設定しておらず、成果は「スタートアップの役に立てたかどうかを見ている」とのことだ。合田氏は「ギブファースト、スタートアップへの貢献意欲が強いプログラム」と評した。何より、ハード系、ソフトウェア系、サービス系、いずれのスタートアップも活用できるリソースが多くあるのが最大の特徴と言えるだろう。TRIBUSは幅広い領域のビジネスプランを募集している。締め切りは8月23日と迫っているため、早急に募集ページ(https://auba.eiicon.net/projects/27961)を確認することを強くおすすめする。

(編集:眞田幸剛、文:中谷藤士)

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