凸版印刷×フィート | 福岡市で音声翻訳アプリの実証実験を開始
凸版印刷株式会社は、株式会社フィートと共同で、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下 NICT)の委託研究「自治体向け音声翻訳システムに関する研究開発」(2015年度から2019年度の5年間)を受託し、自治体窓口業務に対応した国内で初めての音声翻訳システムの研究開発を進めている。
このたび、今までの研究成果を反映した「実証実験用アプリ(最終年度版)」を活用した実証事業が、「福岡市実証実験フルサポート事業『AI多言語音声翻訳システム』」のひとつに採択され、2019年11月から2020年1月までの間、福岡市内の区役所の窓口において、実証実験を実施する。凸版印刷は、今回の実証結果のもとに、次年度に自治体窓口でのサービス開始を目指すという。
実施の背景
近年、全国的に在留外国人は増加しており、その国籍や言語は多様化しているが、住民登録や税・国民健康保険などの手続きで行政窓口を訪れた際、半数近い外国人が手続きに苦労している現状がある。行政側も外国語が堪能な職員による対応や、ボランティアによる通訳サポートを行っているが、対応が追いついていない状況にある。
このような課題に対して凸版印刷は、自治体向け音声翻訳の「実証実験用アプリ」をNICTのニューラル機械翻訳(NMT)エンジンを活用して開発。さまざまな地域で実証実験を進め、訪日外国人や外国人就労者とのコミュケーションサポートを行う商用の多言語音声翻訳アプリとして「VoiceBiz®(ボイスビズ)」を2018年6月より提供しており、自治体の各種窓口や外国人相談窓口、学校現場にも広く導入されている。
このたび、福岡市が実施する「福岡市実証実験フルサポート事業『AI多言語音声翻訳システム』」において、凸版印刷の提案が採択され、実証実験を行うことになったという。
福岡市実証実験フルサポート事業『AI多言語音声翻訳システム』について
福岡市では、「福岡市実証実験フルサポート事業」として、AI・IoTなどの先端技術を活用した社会課題の解決や生活の質の向上などにつながる実証実験プロジェクトを全国から募集し、優秀なプロジェクトについては、福岡市での実証実験を全面的にサポートしている。
今回、自治体窓口において『AI多言語音声翻訳システム』を活用することで、各種案内や事務手続きの高品質化を図り、市民生活の質の向上につながる実証実験プロジェクトが募集され、審査の結果、凸版印刷の提案が採択された。
<実証事業概要について>
・実証期間:2019年11月27日~2020年1月31日(予定)
・実証場所:福岡市内の各区役所等
<実証実験用アプリの特長>
1) 外国人の主な来庁目的である国民健康保険・年金や住民登録、子育て、税金などの窓口で使用する専門用語や、数十万のコーパス(文章や会話などを蓄積したデータベース)を搭載し、自治体窓口において高い翻訳精度を実現。
2) これまで自治体専門用語に対応した英語、中国語、ベトナム語の3言語に、韓国語、ブラジル・ポルトガル語、インドネシア語、タイ語、ミャンマー語を加え8言語対応。
※すべての言語でニューラル機械翻訳(NMT)を採用。
▲研究開発ホームページ
▲実証実験アプリ(最終年度版)
<「VoiceBiz®(ボイスビズ)」について>
「自治体向け音声翻訳システムに関する研究開発」によるノウハウ・研究成果を活かして、凸版印刷が開発し2018年6月より提供している商用の音声翻訳サービス「VoiceBiz®」はすでにさまざまな自治体や学校現場などに導入され、活用されている。
<VoiceBiz®(ボイスビズ)の特長>
1.音声翻訳11言語、テキスト翻訳30言語に対応
2.固有名詞や定型文などのカスタマイズ登録が可能 (別途費用が必要)
3.ID/PASS認証と台数管理機能
●テキスト翻訳対応言語
日本語⇔英語/中国語(簡体字)/韓国語/台湾華語(繁体字)/アラビア語/イタリア語/インドネシア語/オランダ語/スペイン語/タイ語/デンマーク語/ドイツ語/ヒンディ語/フィリピン語/フランス語/ベトナム語/ポルトガル語/ポルトガル語(ブラジル)/マレー語/ロシア語/ミャンマー語/ウルドゥ語/クメール語/シンハラ語/トルコ語 /ネパール語/ハンガリー語/モンゴル語/ラーオ語
※OS/端末によってキーボードの設定やキーボードアプリのインストールが必要な言語がある。
●導入されている主な自治体など
大阪市役所、岐阜市役所、甲府市役所、綾瀬市役所、宇都宮市役所、大泉役場、袋井市役所、高浜市役所、東京都墨田区役所、大阪国際交流センター、兵庫県国際交流センターなど
●導入されている主な教育委員会など
大阪府教育庁、綾瀬市教育委員会、三重県教育委員会、大阪市立南小学校など
今後の展開
凸版印刷は、今回の取り組みによって集約 ・蓄積された研究開発成果やノウハウを活かし、多言語コミュニケーションサービスで福岡市の地域活性化、地方創生を支援するという。
※関連リンク:プレスリリース
(eiicon編集部)