東急建設とTHK、建設現場用搬送ロボットの実証実験を開始
東急建設株式会社、THK 株式会社は、建設現場の資機材搬送を自動化するロボットを共同開発中であり、現在、実証実験を行っている。2020 年春の商用化を目指して、引き続き開発を進めていくという。
■建設業が抱える課題
近年、建設業では就業者の減少による人手不足が深刻化している。加えて、現地生産が基本となる建設業は作業の標準化が難しく、生産性向上が大きな課題となっている。建設現場においては、工事の進捗に合わせて作業環境が日々変化するだけでなく、狭くゆとりのない通路や段差などの環境が資機材搬送の生産性を阻害する要因となっている。
■共同開発の目的
東急建設と THK は、日々変化する作業環境に合わせて即座に経路変更が可能で、狭くゆとりのない通路や段差などがある建設環境においても、決められた位置に資機材を搬送できる建設現場用搬送ロボットの共同開発を進めている。この建設現場用搬送ロボットの導入により、作業効率が約 30%向上(※)することを目指しているという。
※建設現場用搬送ロボットの導入により、現状7名で行っている資機材搬送作業を5名で実施可能となり、削減された人員を他の作業に配置することを条件として算出。
■生産性が向上する 「建設現場用搬送ロボット」
開発中の建設現場用搬送ロボットは、段差や粉じんのある環境で行われる資機材の搬送作業を自動化するための搬送ロボット。日々刻々と変化する建設現場に対応するために、プログラミングの知識がない現場作業者でも、搬送経路の設定が素早く簡単にできるTHK独自の自律移動制御システム 「SIGNAS」 を搭載している。
■実証実験の内容
都内の大規模マンション工事現場において、建設現場用搬送ロボットが台車に載せた1トンの資機材を牽引しながら鉄板の段差を乗り越え、物の配置などの周辺環境が変化しても安定した走行ができることを確認する実験を行った。今後、東急建設とTHKは、建設現場用搬送ロボットの改善を進め、建設現場の生産性向上へ貢献していくという。
■建設現場用搬送ロボットの概要
今回の実証実験に使用した開発中のロボットは、THKが独自開発した自律移動制御システム 「SIGNAS」 を搭載した、建設現場などの半屋外環境で搬送作業を自動化するための搬送ロボット。
システム概要※
1. 自律移動制御システム 「SIGNAS」
ロボットに搭載したステレオカメラで経路周辺に設置したサインポストの距離と方位を計測し、目標経路を走行するよう軌道を修正しながら移動する。目標経路は、プログラミングをすることなく、サインポストを設置するだけで設定が可能になる。またサインポストを移動するだけで、素早く簡単に経路を修正することができる。
2. 高出力モータを2基搭載
左右輪を独立した高出力モータで駆動する事で、前進、後進、旋回の動作をスムーズに制御する。
3. 信頼性の高い安全装置
障害物を検知する LRF(レーザレンジファインダ)とバンパセンサを搭載し、進行方向が妨げられた場合でも安全に停止する。
特長※
・日々刻々と変わる現場の状況に合わせて、プログラミングの知識がなくても、その場で経路を設定および変更することが可能。
・現場で多く使用される平台車を牽引することができる。最大1tまでの資材を牽引可能。
・段差やスロープを乗り越えて走行することができる。
商用化の予定
今後は、段階的に試験導入の範囲を広げ、2020 年春の商用化を目指す。商用化にあたっては、建設現場への導入がしやすいようレンタルでの提供を予定しているという。
※開発中の製品であるため、仕様については変更になる可能性がある。
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(eiicon編集部)