TOMORUBA

事業を活性化させる情報を共有する
コミュニティに参加しませんか?

AUBA
  1. Tomorubaトップ
  2. ニュース
  3. 事業化に向けた“共創”に取り組む4つのテーマとは? | 「NTT Communications OPEN INNOVATION PROGRAM」説明会レポート
事業化に向けた“共創”に取り組む4つのテーマとは? | 「NTT Communications OPEN INNOVATION PROGRAM」説明会レポート

事業化に向けた“共創”に取り組む4つのテーマとは? | 「NTT Communications OPEN INNOVATION PROGRAM」説明会レポート

0人がチェック!

NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は、”世界のインフラから未来のコミュニケーションを変えていく”というビジョンを掲げたオープンイノベーションプログラム、「NTT Communications OPEN INNOVATION PROGRAM」をスタートさせた(応募締切:3/4)。

本プログラムは、経営層を含めて本気で事業化を推進する点が特徴だ。先日eiiconでは、プログラムのオーナーとしてNTTコミュニケーションズのイノベーション活動を牽引する代表取締役副社長CDO 丸岡亨氏にインタビュー。オープンイノベーションプログラムにかける意気込みについて語っていただいた(※)。

※NTTコミュニケーションズ | 「現場×経営層がコミットし、本気で事業化を見据えた」オープンイノベーションプログラムがスタート! https://eiicon.net/articles/635

本プログラムは以下のように4つの募集テーマを設定。NTT Comが保有する膨大なアセット・リソースと外部企業のアイデア・テクノロジーを掛け合わせ、これまでになかった新たな価値を創造することが狙いだ。

なお、選考を通過した企業には、各テーマのオーナーがしっかりとコミットし、伴走していく。さらに、NTT Comの約190万社のお客様・パートナー、全世界190カ国・地域以上でのサービス提供、110都市に及ぶ営業網等を活用したマーケティング支援・実証フィールドを提供できる可能性もある。アイデア次第では、グローバル環境でPoCに取り組むこともできるだろう。

――本記事では、本プログラムの運営メンバーや各テーマ担当が登壇した説明会の模様をレポートしていく。ぜひ、プログラム参加の参考にしていただきたい。

20年という節目を迎え、NTT Comを”REBORN”したい。

説明会の冒頭に、NTT Com代表取締役副社長CDO丸岡氏から挨拶があった。開口一番、「プログラムで、私たちのアセットを存分に使ってほしい」という心強いメッセージが発せられた。NTT ComはICTインフラからシステムインテグレーション、アプリケーションまでフルスタックにグローバル規模で展開しており、お客さまのデジタルトランスフォーメーションを推進することで新たな価値の創造を目指している。その志をさらに加速させるため、アセットをオープンにし、新規事業を作り出す本プログラムを開催すると丸岡氏は話す。

さらに、NTT Comは設立20年目という節目において、企業を”REBORN”していくという想いも本プログラムには込められている。挨拶の最後に「新規事業として実際にスタートすることができれば、国内外に関わらずビジネスをスケールできる」という、プログラムの大きな可能性を示した。

▲NTT Com 代表取締役副社長CDO 丸岡亨 氏

経営層も事業化を本気で望んでいる。

丸岡氏の挨拶に続いて登壇したのは、プログラムの運営を担う事務局メンバーの岩田氏だ。プログラムでは応募されたアイデアの価値検証をしっかりと行い、事業化を目指す。法人登記がありプロダクトやサービスのある企業なら、事業規模に関わらず応募可能だ。応募の際は複数のテーマを選ぶことができ、選考が進む中でどのテーマに絞っていくかは後々決めていくこともできる。「経営層も本気で事業化を考えている」と話す岩田氏の発言からも、NTT Comの本気度が伺えた。

テクノロジーだけでは差別化が難しい現代において、本当にユーザーにとって価値があるかどうかということに注目しなければならない。しかし、多様なニーズの中で世の中に受け入れられるには、様々な可能性をスピーディに検証し、探索していく必要がある。そのために、自前主義を脱却し、会社の壁を超えた連携・共創によって世の中に価値を提供していく事を、本プログラムを通し、加速させる狙いだ。

▲プログラムを通して、”NTTだけどNTTらしくないことを”を実現したいと語る、NTT Com 経営企画部デジタル・カイゼン・デザイン室 ビジネスデザイナー 岩田裕平 氏

――続いて、4つある募集テーマについて、各テーマオーナーが登壇し説明を行った。その模様について詳しく見ていきたい。

【テーマ1】離れた場所からでも自由自在に、身体を動かす体験の拡張

本テーマは、遠隔地において高度な没入感を持って、作業やコミュニケーションを実現させるテクノロジーを求めている。1980年代から東京大学などでTelexistenceという技術が研究されてきており、商業化前夜と言われている領域だ。

具体的な先行事例としては、体の不自由なシニアが、離れた場所で行われている孫の結婚式の映像を見ながら、自分も参加しているような体験ができる。(hug project <https://hugproject.net/>参照)。また、災害地などにおいて、危険地帯の復興を人ではなくロボットが行うといったことも可能となる。

そして、通信技術とロボットを組み合わせ、距離を超えたテレポーテーションを実現させることが最終的な目標だ。

「この技術はロボット、ネットワーク、認知といった複合的な技術が必要。しかし、すべてのテクノロジーを持った企業は存在しない。ただし、NTT Comが開発した通信エンジンなど、情報技術は提供できるので、他の領域でのアイデア・テクノロジーがあれば、素晴らしい事業が生まれるはずだ」と本テーマオーナーの中蔵氏が期待を込めて語った。

▲「私たちと連携して、素晴らしいサービスを作りましょう」と話す、テーマオーナーのNTT Com 技術開発部 主査博士(メディアデザイン学) 中蔵聡哉 氏。

【テーマ2】設備運営の自動化で、次世代データセンターを創造

NTT Comが抱える2つの課題解決が、本テーマの目的である。1つ目の課題が、現地調査と資産管理の省力化・自動化だ。日本はもちろん、世界中にあるNTT Comのデータセンターで行われている現地調査では、人の手で現場の写真を撮って管理。さらに、施設内の図面も人の手で都度修正を行っており、その内容をExcelでまとめているケースもある。それらの情報を集約し、現場の写真が撮影されたらリアルタイムで図面に反映されるようなシステムを構想しているという。また、施設内の撮影も人の手ではなく、ドローンなどの機械で行うことも検討している。

2つ目の課題が、警備・施錠の省人化・自動化。広大な面積のデータセンターの警備には、膨大な時間と人員を必要とする。また、入館はカードキーで行われているが、サーバーラックは物理キーで管理。ラックは、データセンター毎に数千の単位で存在するため合計すると極めて膨大な数になり、その数だけラックのカギが存在する。ロボットによる自動化やスマートフォン連動によって解錠を行うなど、さまざまな角度から問題解決のアイデアを提案してほしいと話す、テーマオーナーの稲葉氏。さらに、「これらの領域が事業化されれば、NTT ComだけでなくCom以外の施設設備にも適用・展開できる可能性が高く、日本全国だけでなくグローバル含め、ビジネスを瞬く間にスケールさせる事が出来る。」と続けた。

▲「実証フィールドは多数用意しており、人員確保も容易。いきなり始められるスピード感がある」と言う、テーマオーナーのNTT国際通信 主査 稲葉斉 氏

【テーマ3】ラグビーを革命するスポーツテック

「NTT Comが運営するラグビーチーム・シャイニングアークスの強化。そして、1万5000名のファンクラブ会員に向け、スタジアムを使った新しい観戦スタイルの確立。――この2つをテクノロジーで実現させたい」とテーマオーナーの岡本氏は話す。

シャイニングアークスはラグビートップリーグにおいて5位(16チーム中)の成績を収め、浦安市と相互連携を締結し新たなクラブハウスを建設。これまでもGPSやビデオ分析によるチーム強化(パフォーマンス・スキル向上)を進めているが、本プログラムを通して、その一歩先をいくアイデアを幅広く求めている。また、デジタルマーケティングに基づくスタジアム内・外での新しい観戦体験の提供などを通した、ファンサービスの革新も検討している。2019年から2020年にかけてはラグビーワールドカップ2019日本大会、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、日本のラグビー界はもちろん、スポーツ界全体が注目される。このタイミングを逃さず、テクノロジーによって新たな流れを創り出すチャンスとなるはずだ。

▲「スポーツ界の変革に向け、共にチャレンジしていきましょう」と話す、本テーマ担当のNTT Com ヒューマンリソース部主査 岡本浩貴 氏

【テーマ4】山中の無線中継所や鉄塔を活用した新たなサービス

無線中継所や鉄塔は、全国局間の無線通信設備として利用されてきた。しかし、技術の進化によって、無線から光ケーブルへと伝送の方法が変化。そのため、全国にある40の無線中継所と20の鉄塔がその役割を終えようとしている。――それらを壊すのではなく、町おこしや次世代インフラの設備など、新たな価値を提供できる場所として生まれ変わらせるのが本テーマの目的だ。

無線中継所や鉄塔の活用例として、“地方創生を目的としたハイカー向けのサービス”や“点在する拠点を活かした鳥獣被害対策やドローン充電等の基地”などが挙げられる。テーマオーナーの平川氏は、「鉄塔の高さは100mほどあり、山間の絶景の場所に立っているものもある。人々がワクワクするスポットにできるアイデアがあると嬉しい」と話す。

▲「無線中継所は約40、鉄塔は約20の拠点が存在。実際にどこを利用するかは、提案に応じて検討します」と言う、テーマオーナーのNTT Com サービス基盤部 平川裕樹 氏

4つのテーマの説明に続き質疑応答の時間が設けられ、参加企業の担当者から多くの質問が寄せられた。その中には、実証実験などのコスト面についての質問もあり、「本気で事業化を目指すプログラムなので、きちんと予算は確保している」と運営メンバーの岩田氏が回答した。

質疑応答終了後には、参加企業とNTT Comによる懇親会がスタート。テーマオーナーや運営メンバーとの交流を通じて、参加企業はプログラムの理解を深めた。

取材後記

通信という、安心と安全を届けるためのテクノロジーを研究・開発してきたNTT Com。しかし、「NTT Communications OPEN INNOVATION PROGRAM」では、通信という枠を超えた、新たな価値の創造にチャレンジしようとしている。何より、今回の説明会において、副社長という経営層自らが参加して冒頭の挨拶を行っている。それだけでも、プログラムにかける同社の熱い想いを感じることができた。新規事業の成否は経営層の本気度が左右するが、本プログラムにおいては、大きく成長を遂げる新規事業が生まれる可能性を実感した。

※「NTT Communications OPEN INNOVATION PROGRAM」についての詳細情報は下記URLをご覧ください。応募の締め切りは3月4日となります。

https://eiicon.net/about/nttcommunications-oip/

(構成・取材・文:眞田幸剛、撮影:佐々木智雅)

新規事業創出・オープンイノベーションを実践するならAUBA(アウバ)

AUBA

eiicon companyの保有する日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA(アウバ)」では、オープンイノベーション支援のプロフェッショナルが最適なプランをご提案します。

チェックする場合はログインしてください

コメント0件