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オープンイノベーション/新規事業を加速させるイントレプレナーの『4つの特徴』

オープンイノベーション/新規事業を加速させるイントレプレナーの『4つの特徴』

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アクセラレータープログラムに取り組んだり、CVCを立ち上げる大企業は近年急増している。オープンイノベーションという手法を取り入れながら新規事業創出に挑戦しているものの、一方で大企業からは「そうした役割を担う人材がいない」という、落胆した声も聞こえてくる。――大企業にとって、オープンイノベーション/新規事業を牽引する人材には、実際にどのような能力や要素が必要となってくるのか? 

2018年12月にeiiconが主催したイベント『人材開発×OI(オープンイノベーション)。』では、上記のような問いについて、イントレプレナーやスタートアップ起業家たちが自らの経験を元に、活発な意見交換が行われた。

登壇したのは、ビジネス創造拠点であるBASE Q立ち上げを牽引した三井不動産・光村圭一郎氏と、人材サービス大手・パーソルキャリアの新規事業から誕生したeiiconの中村亜由子という、大企業のイントレプレナー2名。さらに、企業間レンタル移籍プラットフォーム(※)を展開し、先日内閣府による「日本オープンイノベーション大賞 選考委員会特別賞」を受賞したローンディールの原田未来氏を加えた計3名だ。

※大企業の人材をベンチャー企業に研修・出向の形で一時的に移籍させ、育成する仕組み。

――自由なトークセッションの中から、オープンイノベーション/新規事業を牽引する人材に特徴的な4つのポイントを見出すことができた。それぞれについて詳しく見ていきたい。

 <トークセッション登壇者・プロフィール>

【写真左】 三井不動産株式会社 BASE Q 運営責任者 光村圭一郎氏

出版社勤務を経て2007年三井不動産入社。オフィスビルの開発、プロパティマネジメントの経験を経て、新規事業開発に携わる。2014年に企業人・起業家・クリエイターのコラボ拠点「Clipニホンバシ」を立上げ、現在に至る。オープンイノベーションに関する活動を意欲的に手がけ、スタートアップウィークエンドの審査員やKDDI∞Laboメンター等を経験。自身がメンターを務めたチーム「シンデレラシューズ」がKDDI∞Labo第8期の最優秀賞チームとして選出された。

【写真右】 株式会社ローンディール 代表取締役社長 原田未来氏

2001年、創業期の株式会社ラクーン(現 東証一部上場)に入社、営業部長や新規事業責任者を歴任。2014年、株式会社カカクコムに転職し事業開発担当。人材流動化の選択肢が「転職」しかないことに課題を感じる。サッカーなどスポーツの世界で行われている「レンタル移籍」に着想を得て、「会社を辞めずに外の世界を見る」「企業の新しい人材育成」を目的に6~12か月社外で働く仕組みとして、企業間レンタル移籍プラットフォームを構想。2015年に株式会社ローンディールを設立。「日本的な人材の流動化」の創出をミッションに掲げる。

【写真中】 eiicon company 代表/founder 中村 亜由子

2008年インテリジェンスに入社。正社員の転職支援領域における営業を経験する。最速で営業マネージャーに昇進、約1000名の転職をサポート、MVP他社内表彰受賞歴多数。2015年育休中にeiiconを単独起案。0to1という社内新規事業制度第1回目で単独&唯一通過。2016年4月に育休から復職後、予算取りに駆け回り7月から本格的に立ち上げを開始。地の利に関係なく地方含めた日本企業のオープンイノベーション実践をアシストするオープンイノベーションのための企業検索プラットフォームeiicon(エイコン)を担う。

ポイント①:大企業のイントレプレナーとは、「外部と自社をつなぐ調整役」

光村氏が運営責任者を務めるBASE Qは、オープンイノベーション支援サービス(イノベーション・ビルディングプログラム)を提供している。「年間に何十社という大企業のマネジメント層からオープンイノベーションに関する相談を受けますが、各社に共通しているのは『イントレプレナー(社内起業家)となる人材がいない』という課題だ」と話すBASE Q・光村氏。

しかしそもそも、当のマネジメント層自身が、具体的にどのような人材が必要かという点について、深掘りできていないと感じるという。

 「大企業内で新規事業を仕掛ける人材のことを、昨今は『イントレプレナー』と呼ぶ。これは『企業内起業家』と訳されるので、スタートアップを起業する人たちと同じような人材像を思い浮かべがちだが、私の実感として異なるスキルセットが必要ではないかと考えている」(光村氏)

光村氏によれば、イントレプレナーに求められる役割は『つなぐ』ことだという。 「スタートアップの起業家は、社会に存在する問題や課題を発見し、それを解決するソリューション仮説を生み出し、かつ早く実行することが重要だ。しかし、大企業ビジネスパーソンの多くは、この一連のアクションを得意とはしていないという現実がある。イントレプレナーは、スタートアップが掲げる理念に共感し、大企業が持つリソースと『つなぐ』ことで、その活動を支えながら大きく成長させることが役割だ」(光村氏)

このようにイントレプレナーの役割を整理した上で、「もう一つ、意識すべき重要なポイントがある」と光村氏は続ける。 

「現状、大企業とスタートアップの間には、企業文化や事業の進め方など、ありとあらゆる点で大きなギャップがある。イントレプレナーは、両者をつなぐ『翻訳家』のような機能を担うことになるが、スタートアップと会話するときは抽象的な未来思考が大切だし、社内を調整するときは極めて具体的な施策設計や根回しが欠かせない。これだけ異なるミッションを、一人のイントレプレナーだけで担うことは難しいだろう。イントレプレナーの役割を、大きく『外交型』と『内政型』に分け、複数の人間が担うような構造を備えることが欠かせない」(光村氏)

大企業内でオープンイノベーションをマネジメントする立場の人間にとって、考慮に値する指摘だろう。

ポイント②:OSが変わるような経験が、人材を進化させる。

いくつかの企業を経て2015年にローンディールを設立し、企業間レンタル移籍プラットフォームを展開している原田氏は、同社のレンタル移籍サービスを導入することで多くの大企業人材が変容してきた姿を見てきたという。その一例が、2017年4月よりレンタル移籍を導入しているNTT西日本。2018年度には、世界初と言われる人工流れ星事業を展開しているALEに、人材をレンタル移籍している。

「レンタル移籍を通じて、大企業人材はベースとなるOSがガラッと変わるような体験をしている」と原田氏は話す。大企業の中で何かアイデアを起案しようとすると、「資料のフォントは◯◯が良い」というような横槍が入ったりと、ただの資料作りでも社内の文化・ルールに沿う必要があるため無駄な時間を要してしまう。

一方、スタートアップでは手書きでも良いから、できるだけ早く資料を作ることに重きを置く。さらに、60点レベルのアイデアでも数を打たないことには当たらないことを、身を持って体験する。――レンタル移籍のように外部企業と密に接することで社外の文化を知り、これまでの価値観をひっくり変えるような経験が、大企業の人材の進化を加速させている。

ポイント③:課題発見能力の高い起業家を、素直にリスペクトする。

ローンディール・原田氏を含め数々のスタートアップ起業家との接点を持つBASE Q・光村氏は、「企業に勤めるビジネスパーソンと起業家の最大の違いは、『課題発見能力』にある」と言う。確かに、スタートアップのピッチでは、起業家自身が経験した社会課題が原点になっているケースが多く見られる。

「課題を見つけた起業家にシンクロし、素直にリスペクトできることがイントレプレナーに求められる素質だと思う。その起業家が捉えた課題とビジネスを、うまく翻訳し、周囲に理解してもらえるように発信することが、オープンイノベーションや新規事業創出につながっていく」と話す。

ポイント④:優れたイントレプレナーが持つ、「共感力」と「スピード」

上記のポイント③で語られた「起業家とのシンクロ」にも通じるが、優れた『外交的イントレプレナー』にはスタートアップなどの外部企業への「共感力」が求められるとBASE Q・光村氏は語る。

さらにeiicon・中村は、「大企業の場合は、社内りん議にとても時間が掛かってしまうケースも多い。ときには社内の壁を乗り越え、スピーディーに物事を推進していく力が、イントレプレナーには求められる」と語った。

取材後記

トークセッションの最後には、「大企業の経営層の動かし方」が議論のテーマになった。オープンイノベーションや新規事業を加速させるためには、経営層のコミットが大きなキーとなる。eiicon・中村は、「経営層に“経験”してもらうことが重要。実際にeiiconでオープンイノベーション支援を行っている大手メーカーは、役員がアイデアソンに参加してもらったことでスイッチが入った」と話す。イントレプレナーだけではなく、役員層もマインドセットを変えることで、オープンイノベーション/新規事業創出が加速していくと言えるだろう。

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