ワコール×BASF、「Melooop」技術を自動車内装へ展開 3D繊維ベースのアームレストを共同開発
BASFジャパン株式会社は6月17日、ワコールとBASFが、ワコール独自の3D繊維ベース製造技術「Melooop(メループ)」とBASFの熱可塑性ポリウレタン「Elastollan® TPU」を活用し、自動車内装用途に向けたアームレストのコンセプトモデルを開発したと発表した。両社はこれまでブラカップ分野で協業を進めてきたが、今回、その技術応用領域をアパレルから自動車内装へと拡大する。
接着剤を使わないモノマテリアル設計を実現
「Melooop」は、ワコールが独自に開発した、メルトブロー法を用いて繊維から直接立体物を一工程で成型する技術だ。接着剤や多層構造を用いず、不織構造を形成できる点が特徴で、製造工程の簡素化に加え、材料使用量や廃棄材料の低減にもつながる。
また、単一素材で構成されるモノマテリアル設計に適しているため、リサイクル性の向上にも寄与する。厚みだけでなく、物性を設計段階から調整できることから、軽量性、性能、耐久性のバランスを最適化しやすく、自動車部品に求められる要件への対応も期待される。
今回のコンセプトモデルでは、BASFの「Elastollan® TPU」がMelooopプロセスを支える材料として採用された。同素材は、熱可塑加工性とエラストマー性能を兼ね備えており、柔軟性と機能性を両立した3D繊維構造の形成を可能にする。さらに、モノマテリアル設計にも貢献し、製品設計や製造工程の簡素化を後押しする。
▲ワコールの「Melooop(メループ)」技術によるモノマテリアル設計と接着剤を用いない構造を実現
乗員接触部位に求められる快適性と耐久性を両立
アームレストのような乗員が直接触れる部位では、ソフトな触感だけでなく、繰り返し荷重がかかる中での弾性回復性や長期的な寸法安定性が求められる。今回の技術は、こうした快適性と耐久性を両立しながら、繊維の形成・結合において安定した加工条件を実現するものだ。
ワコール 執行役員 新規事業開発本部長 兼 新規事業開発室長 兼 Melooop事業準備室長の久村剛史氏は、BASFとの協業により、同社のMelooop技術をアパレル分野にとどまらず、自動車内装用途へ展開できることへの期待を示した。
また、BASFパフォーマンスマテリアルズ事業本部 アジア太平洋地域TPUビジネスマネジメント担当バイスプレジデントのロヒット・ループ・ゴーシュ氏は、ワコールが独自技術を新たな用途領域へ展開する取り組みについて、BASFが重視する先進的な共創アプローチと一致すると述べている。
「人とくるまのテクノロジー展2026名古屋」で展示
ワコールは1946年創業の京都発のアパレルメーカーで、インナーウェアを中心に、人体研究に基づく製品開発を強みとしてきた。近年は、コンディショニングウェアや3D計測によるボディデータサービスなど、新たな領域にも事業を広げている。
一方、BASFはドイツに本社を置く総合化学会社で、材料分野において自動車、建築、消費財、産業用途など幅広い領域にソリューションを提供している。パフォーマンスマテリアルズ事業本部では、持続可能性と高性能の両立を掲げ、プラスチックのライフサイクル全体にわたる提案を進めている。
今回のアームレストコンセプトモデルは、2026年6月17日から19日まで開催される「人とくるまのテクノロジー展2026名古屋」のBASFブースで展示される。アパレル由来の成型技術と化学材料の融合は、自動車内装部品の軽量化、快適性、リサイクル性を高める新たな選択肢となりそうだ。
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(TOMORUBA編集部)