福岡歯科大学とSuilive、水素ガスを活用した歯周再生療法の共同研究を開始 歯を抜かずに残す次世代歯科医療へ
水素機器専門メーカーの株式会社SUISO JAPANは、ブランド「Suilive」を通じ、福岡歯科大学と共同で、水素ガスを活用した歯周組織再生療法に関する研究を開始すると発表した。術後回復の加速や再生効率の向上を目指し、歯を「抜く」治療から「再生して残す」治療への転換を図る取り組みとなる。
成人の約8割が罹患しているともいわれる歯周病は、日本人が歯を失う最大の原因とされる。一方で現在の歯周治療には、回復に時間を要することや、再生結果にばらつきが生じやすいこと、重症例では歯の保存が難しいといった課題が存在している。
こうした背景から両者が着目したのが「水素ガス」だ。水素は高い拡散性や安全性を持つほか、抗酸化作用や抗炎症作用が期待されており、近年では再生医療や脳・心血管領域など幅広い医療分野で研究が進められている。今回の共同研究では、その特性を歯科領域へ本格的に応用する。
水素ガスで“傷の治り方”そのものを変える
今回の研究では、水素ガスによる炎症抑制や酸化ストレス軽減作用を活用し、歯周組織の治癒プロセス自体の最適化を目指す。特に、術後の創傷治癒や再生スピードへの影響が大きなテーマとなる。
さらに、既存の歯周再生療法との組み合わせによる相乗効果も狙う。福岡歯科大学ではこれまで、FGF-2製剤「リグロス®」を用いた歯周組織再生療法に取り組んできた。そこに水素ガスという新たなアプローチを加えることで、再生スピードや成功率の向上につなげる考えだ。
また、重症歯周病患者に対しても、歯を残せる可能性を高めることが期待されている。従来であれば抜歯が選択されていたケースに対し、新たな治療選択肢を提供できる可能性があるという。
福岡歯科大学、「一本でも多くの歯を守りたい」
研究を主導する吉永 泰周教授は、「水素ガスは高い拡散性と安全性から次世代医療として注目されている」と説明。その上で、「複雑な構造を持つ歯周組織の創傷治癒における有効性を検証し、術後の早期治癒と、より確実な組織再生の実現を目指す」とコメントした。
さらに、「一本でも多くの歯を守り、国民の健康寿命の延伸に貢献したい」と述べ、今後は科学的エビデンスの構築を進めていく方針を示している。
水素技術を“歯科×再生医療”へ展開
一方、株式会社SUISO JAPANは、水素吸入器メーカーとして国内で初めてISO13485認証を取得した企業として知られる。医療機器品質マネジメント体制のもと、水素関連機器の開発を進めてきた。
同社によると、今回の研究に向けては、バイオ液に水素ガスを直接溶存させる専用機器を新たに開発。高濃度の水素を維持した状態で研究を進められる体制を整えたという。
また、同社ブランド「Suilive」の公式アンバサダーには、滝川クリステル氏を起用している。
SUISO JAPANは、水素技術を軸に医療・ウェルネス・予防領域を横断する“次世代医療インフラ”の構築を掲げており、今回の研究を「歯科×再生医療×水素」という未開拓分野への本格参入と位置付ける。
再生できる歯科医療の実現へ
今後は、基礎データの取得から有効性・安全性の検証、さらに臨床応用へと段階的に研究を進めていく。将来的には歯科医院での実用化も視野に入れており、再生できる歯科医療の標準化を目指す。
もし実用化が進めば、「歯周病=抜歯」という従来の常識を変える可能性もある。高齢化が進む日本社会において、健康寿命の延伸や患者のQOL向上、さらには医療費削減への波及効果も期待される。
歯科医療における“再生”というテーマに、水素医療という新たな技術がどのような変化をもたらすのか。産学連携による挑戦の今後に注目が集まりそうだ。
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(TOMORUBA編集部)