VTuber×3Dクリエイターの共創で広がる新たな収益モデル――DNPが3Dアイテム流通の実証を開始
大日本印刷株式会社(DNP)は2026年4月8日、株式会社メタバースクリエイターズと協働し、VTuberと3Dクリエイターの共創による3Dアイテム流通の実証実験を開始した。ソーシャルVR市場の拡大を背景に、個人クリエイターが創作活動と収益化を両立できる仕組みの構築を目指す。
本実証では、アバターや衣装などの3Dアイテムを共創によって制作し、展示・販売・利用までを一体的に提供。ファンとの新たな関係性や購買行動の変化を検証することで、デジタルコンテンツ流通の新たなモデル創出を狙う。
拡大するソーシャルVR市場と顕在化する課題
近年、アバターを介したコミュニケーションが可能なソーシャルVR市場は急速に拡大している。創作物マーケット「BOOTH」における3Dモデルカテゴリの2025年取扱高は約104億円、前年比179%と大きく成長した。
一方で、VTuberが3Dアイテムを活用する際には、クリエイターとの個別調整や制作コスト、収益分配の難しさといった課題が存在する。これらは参入障壁となり、継続的な活動を妨げる要因となっていた。
DNPはこうした課題に対し、発信力を持つVTuberと技術力を持つ3Dクリエイターの“共創モデル”に着目。創作から流通、収益化までを一気通貫で設計することで、持続可能なエコシステムの構築を目指す。
共創による3Dアイテム制作と販売の仕組み
本実証では、「日ノ本マイ」「犬見るく」「まんさや」といったVTuberと、「DEMITASS-KUN」「研究員ケミカル」などの3Dクリエイターが協働。それぞれの世界観や個性を反映したアバターや3Dアイテムを制作する。
制作されたアイテムは「BOOTH」および「VRChat Avatar Marketplace」で販売され、購入者はソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」内で利用可能だ。販売期間は2026年4月8日から2027年4月7日までの約1年間を予定している。
DNPは購買データや利用状況を分析し、クリエイターとVTuber双方にとって持続的な収益機会となるかを検証する。単発の販売にとどまらず、継続的な収益モデルとして成立するかが焦点となる。
VRChat上での展示・交流空間を構築
本実証では、3Dアイテムの販売に加え、VRChat上に専用ワールドを構築。VTuberの紹介やアイテム展示に加え、ユーザー同士が購入したアバターを活用して交流できる場を提供する。
同ワールドはスマートフォンからもアクセス可能とし、高性能PCやHMDを持たないユーザーにも参加しやすい設計とした点が特徴だ。公開期間は2026年4月8日から5月15日までを予定している。“体験の場”と“購買の場”を統合することで、従来のECとは異なる没入型の購買体験を創出し、ファンコミュニティの活性化を図る。
メタバースとリアルをつなぐ新たな体験設計
さらに本実証では、バーチャルとリアルを接続する取り組みとして、記念撮影機能「メタプリ」とDNPのプリントサービス「Piプリ」を連携。ユーザーはメタバース内で撮影した写真を現実世界でプリントできる。
デジタル体験を“手元に残る価値”へと転換することで、メタバース体験の拡張を図る狙いだ。これは単なるデジタル消費にとどまらない、新たなユーザー体験設計の一環といえる。
クリエイターエコノミーの次のステージへ
DNPはこれまで「イメージアーカイブ・ラボ®」を通じてクリエイター支援を推進してきたが、今回の実証では対象をVR・3D領域へと拡張した。
今後は実証結果をもとに、クリエイター支援サービスの機能拡充やパートナー連携を進め、より多くの個人が創作活動と収益化を両立できる環境整備を目指すとしている。
ソーシャルVR市場の成長とともに、個人が価値を生み出し収益化する「クリエイターエコノミー」は新たな局面を迎えている。今回の取り組みは、その持続性を支える仕組みづくりに向けた重要な一歩となりそうだ。
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(TOMORUBA編集部)