群馬県×wash-plus、水循環型洗濯機の実証開始 “水を捨てない”ランドリーで災害時の衛生インフラ構築へ
株式会社wash-plusは、群馬県および吉岡町、株式会社吉岡町振興公社、一般財団法人日本総合研究所と連携し、水循環型洗濯機の社会実装に向けた実証実験を開始した。設置場所は群馬県の「道の駅よしおか温泉」。2026年4月10日には現地で開始式が行われ、平時・有事の両面での活用を見据えた新たなインフラの検証がスタートした。
本実証は、上下水道に接続せずに洗濯を可能にする「水を捨てない洗濯機」を核とした取り組みであり、災害時に深刻化する生活衛生課題に対する具体的なソリューションとして注目される。
上下水道不要 “循環する洗濯”という新たな選択肢
今回設置された洗濯機は、洗浄に使用した水をその場で浄化し、再利用する仕組みを備える。従来のように排水を外部に流す必要がなく、水資源の使用量削減と同時にインフラ非依存型の運用を実現する点が特徴だ。
さらに、洗剤を使わず、独自開発のアルカリイオン電解水「wash+ Water」によって洗い上げるため、環境負荷の低減にも寄与する。こうした技術により、日常の洗濯行為そのものをサステナブルな活動へと転換する狙いがある。
設置されたコンテナ内には、洗濯機と乾燥機がそれぞれ2台ずつ配置され、期間中は誰でも無料で利用可能。利用者はアンケートへの回答を通じて、実用性や課題のフィードバックを行う仕組みとなっている。
「命のコンテナプロジェクト」群馬モデルとしての位置づけ
本実証は、「命のコンテナプロジェクト」の群馬県モデルとして実施されている。同プロジェクトは、民間企業と自治体が連携し、平時には事業として自立運用しながら、有事には被災地へ迅速に展開できる製品・サービスの開発を目指すものだ。
背景には、自然災害やパンデミックを通じて顕在化した生活インフラの脆弱性がある。特に避難生活においては、洗濯環境の欠如が衛生状態の悪化や健康リスクの増大につながるケースも多い。こうした課題に対し、「洗濯」という日常行為からアプローチする点が本プロジェクトの特徴である。
また、本取り組みは医療・防災産業創生協議会のシンボリックプロジェクトとして位置づけられており、産学官連携による実証と社会実装の加速が期待されている。
万博発の技術を地域実装へ
今回の水循環型洗濯機は、2025年大阪・関西万博で紹介された技術をベースにしている。万博での展示にとどまらず、実際の地域での利用を通じて検証を進めることで、社会実装への具体的な道筋を描く。
設置期間は2026年6月28日までを予定しており、途中一時的な移動を挟みながら運用される。利用時間は毎日10時から15時までで、実証設備としての性質上、利用者自身による洗濯物の管理が必要となる。
洗濯を“社会価値”へ転換するwash-plusの戦略
wash-plusは、「人と地球にやさしい未来を」を掲げ、コインランドリー事業およびIoTシステム開発を展開してきた。洗剤を使わない洗濯技術やデータ活用による運営最適化など、従来のランドリー事業の枠を超えた取り組みで評価を得ている。
これまでに日本サービス大賞やIT賞、グッドライフアワードなど数多くの受賞歴を持ち、2025年には国際認証「B Corp」を取得。環境・社会的インパクトの両立を目指す企業としての立ち位置を強めている。
今回の実証は、こうした同社の技術と思想を、災害対策や地域インフラの文脈へと拡張する試みでもある。日常の延長線上にある「洗濯」という行為を、持続可能性とレジリエンスの両面から再定義する動きとして、今後の展開が注目される。
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(TOMORUBA編集部)