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LED TOKYO×Ofractal、宇宙探査の軌道設計を見える化 空間映像で意思決定を高度化する共同研究が始動

LED TOKYO×Ofractal、宇宙探査の軌道設計を見える化 空間映像で意思決定を高度化する共同研究が始動

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LEDビジョンを活用した空間映像技術を手がけるLED TOKYO株式会社は、深宇宙探査スタートアップの株式会社Ofractalと共同で、宇宙探査ミッションにおける軌道設計の可視化と最適化を目的とした研究を開始した。高度化・複雑化する宇宙開発の現場において、「理解しやすさ」と「共有しやすさ」を軸に、設計プロセスそのものの革新を目指す取り組みだ。

宇宙探査ミッションの高度化がもたらす「見えない課題」

近年、月探査を推進する「アルテミス計画」や火星衛星探査「MMX計画」など、宇宙開発は国際連携のもとで大規模かつ長期的に進められている。これに伴い、探査機の航路となる軌道設計は、燃料効率や重力アシストなど複雑な条件を踏まえた高度な数理計算が求められる領域となっている。

一方で、こうした軌道設計は専門性が極めて高く、従来は「ポアンカレ写像」などの二次元図で表現されることが一般的だった。しかし、これらは直感的な理解が難しく、研究者間の認識共有や迅速な意思決定において課題が残されていた。特に多国間・多分野で進行する現代の宇宙ミッションでは、この“見えにくさ”がプロジェクト全体のボトルネックとなり得る。

LEDビジョンで実現する「動く3次元軌道」の可視化

今回の共同研究では、LED TOKYOが持つ大型LEDビジョン技術を活用し、軌道設計を三次元かつ動的に可視化する新たな手法の確立を目指す。空間全体に広がる映像表現によって、複雑に変化する軌道を“体感的に理解できる”環境を構築する狙いだ。

具体的には、軌道の変遷や重力影響などをリアルタイムに近い形で表現することで、研究者同士の認識ズレを減らし、設計判断の迅速化を図る。また、設計プロセスそのものに対する最適化支援も視野に入れ、単なる可視化にとどまらない意思決定支援ツールとしての発展も見込む。

宇宙工学と空間映像技術という異分野の融合により、従来は数式と図面の中で完結していた設計プロセスが、より直感的で共有可能なものへと進化する可能性がある。

JAXA出身の知見とスタートアップの挑戦

Ofractalの代表を務める尾崎直哉氏は、JAXA宇宙科学研究所などで小惑星探査や深宇宙ミッションの軌道設計に従事してきた経歴を持つ。現場で培った知見をもとに、「小惑星に、毎月いける時代を創る」というミッションを掲げ、深宇宙探査の民主化に取り組んでいる。

同社は、超小型探査機のコンステレーションによる高頻度な小惑星探査構想を推進しており、従来の約100分の1のコストで月1回の小惑星訪問を実現する新たなインフラ構築を目指す。内閣府主催の「S-Booster 2023」で最優秀賞を受賞するなど、その技術力とビジョンは高く評価されている。

さらに、これまでの探査で蓄積した解析技術を活用し、ミッション設計のコンサルティング事業も展開。今後は、深宇宙領域に挑む多様なプレイヤーへの技術支援を強化していく方針だ。

科学コミュニケーションの進化にも貢献

本共同研究は、研究者向けの設計支援にとどまらず、宇宙開発の理解促進という観点でも重要な意味を持つ。複雑な軌道設計を直感的に可視化することで、一般の人々にも宇宙ミッションの仕組みをわかりやすく伝えることが可能になるためだ。

LED TOKYOは、これまで培ってきた没入型映像空間の演出技術を応用し、宇宙という遠い存在を“体験できる知識”へと変換する役割を担う。将来的には、展示施設や教育現場などでの活用も期待される。

宇宙工学と映像技術の融合は、単なる研究効率の向上にとどまらず、宇宙開発そのものの開かれ方を変えていく可能性を秘めている。今回の取り組みは、その第一歩となる試みといえるだろう。

関連リンク:プレスリリース

(TOMORUBA編集部) 

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