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QPS研究所×日特建設、衛星データで法面監視へ SAR活用で“見えないリスク”を可視化する実証が始動

QPS研究所×日特建設、衛星データで法面監視へ SAR活用で“見えないリスク”を可視化する実証が始動

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株式会社QPS研究所は、日特建設株式会社と共同で、人工衛星データを活用した法面(のりめん)変位監視の実証実験を開始した。老朽化が進む斜面インフラの維持管理において、従来の現地点検に依存しない新たなモニタリング手法を確立し、安全・安心な国土づくりへの貢献を目指す。

点在する法面や斜面と点検の限界

日本各地に点在する法面や斜面は、経年劣化や気候変動の影響により、内部の空洞化や土砂流出といったリスクを抱えている。一方で、それらの異常は外観から把握しづらく、事故の予兆を見逃す可能性も高い。

しかし、こうしたインフラを網羅的に点検するには、膨大な人員とコストが必要となるうえ、急傾斜地での作業には危険が伴う。現場主導の点検だけでは限界があり、より効率的かつ安全に広域を把握できる新たな手法が求められてきた。

SAR衛星で実現する「昼夜・全天候」の広域監視

今回の実証で活用されるのは、QPS研究所が開発・運用する小型SAR(合成開口レーダー)衛星だ。SARはマイクロ波を用いて地表を観測するため、雲や雨の影響を受けず、昼夜を問わず安定したデータ取得が可能という特長を持つ。

さらに、複数の衛星によるコンステレーション運用により、広範囲を高頻度で観測できる点も大きな強みだ。特定の斜面を継続的に定点観測することで、地表のわずかな変位を検知し、崩落の予兆把握につなげることが期待される。

このような衛星データの活用は、これまで人手に頼っていたインフラ管理を“宇宙からの常時監視”へと進化させる可能性を秘めている。

コーナーリフレクタ設置による精度検証

実証は、日特建設が茨城県坂東市に開設した「NITTOCテストフィールド」で実施された。試験場内の盛土法面には、SARの電波を効率的に反射する一辺60cmの三面コーナーリフレクタが複数設置されている。

設置後、2026年3月29日にはQPS-SAR14号機「ヤチホコ-Ⅰ」による観測が行われ、取得されたSAR画像からリフレクタの位置と状態を明確に確認することに成功した。

この結果は、高分解能SARデータが法面や地すべりの監視、さらにはリスク評価に適用可能であることを示すものであり、実用化に向けた重要な一歩といえる。

現場知見×宇宙技術でインフラマネジメントを高度化

日特建設は、斜面防災や地盤改良といった分野で長年の実績を持つ企業である。同社は今回の取り組みについて、「広域に点在する斜面の状態を効率的に把握し、変状の兆候を早期に捉える重要性が高まっている」とし、SARデータの活用を新たな解決手法の一つと位置付けている。

今後は、現場で培ってきた知見と衛星データという先端技術を組み合わせることで、限られたリソースの中でも優先順位を付けた効率的な維持管理が可能になると見られる。

2030年に36機体制へ、準リアルタイム監視を視野に

QPS研究所は、2030年までに36機のSAR衛星コンステレーション構築を目指しており、これが実現すれば特定エリアを平均10分間隔で観測できるようになる。観測頻度の向上により、危険度の高い斜面を重点的に監視するなど、より高度なインフラ管理が可能となる。

今後の実証では、衛星数の増加に伴い観測機会を拡大し、より多くの法面・斜面を対象とした監視モデルの確立を進める方針だ。

関連リンク:プレスリリース

(TOMORUBA編集部) 

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