日本通運×アドヴィックス×スマートドライブ、実重量データで積載の“見えない実態”を可視化する実証開始
日本通運、アドヴィックス、スマートドライブの3社は、トラック車両の「実重量ベースでの積載重量」を可視化する実証実験を開始した。日本通運の保有車両に対し、アドヴィックスの重量推定技術とスマートドライブのモビリティデータ基盤を組み合わせることで、これまで把握が困難だった実際の積載状況のデータ化に取り組む。
物流領域においては、伝票ベースの情報に依存した管理が一般的であり、実態との乖離が生じやすい構造があった。今回の取り組みは、そうした“見えないムダ”の可視化に踏み込む試みといえる。
「2024年問題」と法改正が迫る構造転換
背景にあるのは、いわゆる「2024年問題」による輸送力不足と、改正物流効率化法による規制強化だ。特定事業者には「積載効率44%以上」というKPI達成が求められ、輸送の実態把握と改善が不可避となっている。
一方で現状は、伝票申告ベースの積載率管理が主流であり、実重量とのズレや不採算ルートの特定が難しいという課題があった。また、自社車両の稼働状況が見えないことが、結果的に傭車依存や長時間拘束といった負担増にもつながっている。
こうした構造課題に対し、3社はデータドリブンなアプローチで切り込む。
車両データ×重量推定で「実態」を可視化
本実証では、スマートドライブの車載デバイスから取得した走行データ(車速や加速度など)をもとに、アドヴィックスの技術で車両重量を推定。その結果をプラットフォーム上で解析し、車両ごとの実重量ベースの積載量を算出・可視化する。
対象は、日本通運の東京都内拠点における大型トラック2台。トン単位での重量変動検知や、ダッシュボードによる可視化、さらには運行ルートの効率性や過積載のスクリーニングなどを検証する。
単なるデータ取得にとどまらず、現場および経営判断への活用可能性まで踏み込む点が特徴だ。
ダッシュボードのイメージ ※データはサンプルにつき、本実証で得られたデータとは異なります
KPI達成からサプライチェーン全体最適へ
本取り組みによって期待される効果は大きく4点に整理される。
まず、実重量ベースのデータにより、積載効率KPIの正確な把握と改善施策の具体化が可能となる。次に、不採算ルートの特定や共同輸送の判断など、サプライチェーン全体の最適化が進む点だ。
さらに、年間荷扱量9万トン以上の「特定荷主」該当可否を実態ベースで判断できるようになることも、荷主企業にとって重要な意味を持つ。そして何より、「伝票上の重量」と「実際の重量」の乖離を可視化することで、物流の“真の実態”に基づいた政策・経営判断が可能になる。
実証から社会実装へ、物流データ基盤の可能性
実証期間は2025年11月から2026年3月末までを予定。得られたデータをもとに推定精度やレポートの有用性を検証し、2026年4月以降には対象エリアや車両の拡大を見据える。
将来的には、業界横断で活用可能なソリューションとしての展開も視野に入れる。
物流はこれまで、経験や慣習に依存する側面が強かった領域である。しかし、実重量という“ファクト”を軸にデータ化が進めば、輸送効率の最適化だけでなく、働き方や取引構造そのものの変革にもつながる可能性がある。
3社の共創は、物流の可視化から始まる次の産業基盤づくりに向けた一歩といえるだろう。
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(TOMORUBA編集部)