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【Forbes JAPAN 副編集長 谷本氏が迫る】 三井住友海上とNTTデータがオープンイノベーションビジネスコンテストをスタート!外部データとの掛け合わせによる、新ビジネス創出の狙いとは?

【Forbes JAPAN 副編集長 谷本氏が迫る】 三井住友海上とNTTデータがオープンイノベーションビジネスコンテストをスタート!外部データとの掛け合わせによる、新ビジネス創出の狙いとは?

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個人や法人に関わる様々なデータを利活用し、ビジネスを創出する動きが高まっている。個人データのビジネス活用を促す「情報銀行」構想に大企業が続々と参入を発表。データを制する者がビジネスを制する時代が到来したと言っても過言ではない。

こうした中で、メガ損保である三井住友海上火災保険株式会社とNTTデータ株式会社が、『Grow Together』×『豊洲の港から®』presents オープンイノベーションビジネスコンテストの開催を発表した(応募締切:10月24日17:00)。同コンテストは、三井住友海上火災が保有する大量のデータに、外部の独自データを掛け合わせ、新たなビジネスモデルや新商品・サービスの開発につなげることを狙いとしている。

同社がオープンイノベーションに取り組む背景、「データ」活用によって新たに描く保険業界の未来、今回のビジネスコンテストへの期待とは。1,000人を超える世界のVIPにインタヴューしたForbes JAPAN 副編集長 谷本 有香氏を聞き手に迎え、取締役 専務執行役員 舩曵 真一郎氏との対談により、同社が描くオープンイノベーション戦略に迫った。

【写真右】三井住友海上火災保険株式会社 取締役 専務執行役員 舩曵 真一郎 氏

【写真左】Forbes JAPAN 副編集長 谷本 有香 氏

MS&ADグループが保有する膨大なデータの可能性を、共創により広げていきたい。

谷本氏 : 今回、「データ」をキーワードにビジネスコンテストを開催されるということですが、まずはその意図についてお聞かせください。

舩曵氏 : 数年前、FinTechという言葉が出始めた頃は、ディスラプティブなビジネスモデルを金融・保険業界で創るという面が脚光を浴びていました。その後は、RPAなど業務プロセス効率化やデジタル化などが続いています。ここで今一度、今後の展開を考えた時に鍵となるのが「データ」です。大手企業や金融機関が「情報銀行」への参入を発表していることからも分かる通り、データを使ってビジネスを広げていく時代が到来しています。

われわれ保険会社でも、長年紙ベースだった申込書や事故受付などをデジタル化し、ようやくデータの蓄積が始まりました。しかしながら、それはあくまで自分たちの発想の範囲内でのこと。外から見た時に、保険ビジネスの周辺には、我々が見えていないデータがあるはずです。そのデータに全く違うデータを掛け合わせたり、保険業界とは異なる発想で従来とは異なる商品やサービスを生み出していくことが、今後の成長には不可欠です。そこで私たちが保有しているデータをスタートアップなど外部に提供し共創することで新たなビジネスを生み出し、社会貢献につなげていきたいと考えています。それが、今回ビジネスコンテストを開催する背景です。

谷本氏 : 情報銀行のお話が出ましたが、貴社や保険業界に限らずあらゆる業界にとって、今後データがビジネスの源泉となっていきます。つまりライバルは多数。その中で、貴社はどのように他社と差別化を図っていかれるのでしょうか?貴社とデータを軸としたビジネスを展開する上でのメリットや、貴社ならではの強みとは?

舩曵氏 : まず「保険」と一口に言ってもその対象は様々です。当社はMS&ADグループとして見た場合、損害保険、生命保険、年金など、あらゆる保険ビジネスをカバーしています。また、あらゆる業界の法人・個人・グローバルと、幅広くビジネスを展開しており、代理店のみならずダイレクトチャネルも持っています。情報の「量」としても「バリエーション」としても、業界で指折りの存在だと自負しています。

特に海外に着目すると、新興国の多いASEANすべての国で拠点を構えており、シンガポールではシェアトップです。つまりデータを掛け合わせたサービスや商品を、国内のみならず海外でも展開できるということです。今後人口が増加し、国として成長していくアジアのマーケットには大きなチャンスがあると考えています。

「データ」の時代、保険ビジネスはさらに個別最適化されていく。

谷本氏 : ビジネス環境の変化やオープンイノベーションが活発化するにつれ、保険ビジネスも変わっていくのではないかと思います。例えばよりパーソナライズされていくなど、共創の形をどのようにイメージされているのでしょうか?

舩曵氏 : パーソナライズというのは、今一番データ活用の分野でトレンドとなっているワードですね。最近話題の「GAFA」も、個人データを集約したプラットフォームです。「データ=個人」という認識が世の中には強くありますし、ビジネスのチャンスがあるでしょう。個人データに関していえば、ほぼ全ての事業者との協業・共創の可能性があると考えています。

一方で、法人が保有する個人データ以外の情報にもビジネスの種があります。災害予測や貨物の破損・盗難、自動車事故・故障、工場での事故など、当社と法人企業の事業データを掛け合わせることで、より効果的・効率的なインフラや防災・減災の仕組みを構築できるはずです。

今回のビジネスコンテストに応募していただく方も、個人の利便性向上のみならず、企業の事業活動で活かせるデータの掛け合わせの面でもアイデアがあると広がりがあっていいと思います。当社は、法人企業のマーケットに強く、お取引している業界も幅広く、様々な情報が集約されています。そこは魅力ですね。

谷本氏 : これからオープンイノベーションにより、データを活用して新たな商品・サービスを提供できるようになるという時に、それは保険の範疇を超えたものになるのでしょうか。

舩曵氏 : 保険会社としてどのような時に事故が起きるか・どうすれば起きないかなど、アドバイザリーの機能強化が必要です。事業に関わる情報をもとに、災害・事故発生の予測モデルを構築することが重要となります。

リスクテイクする商品を販売するのみならず、事故・事件・災害に関わる全ての情報を武器にビジネスを展開し存在感も信頼度も高めていく時代です。それも、国内ではなくグローバルに展開していく必要があると考えています。

三井住友海上×NTTデータ。イノベーションの海で新たな航路を見つけていく。

谷本氏 : 今回、NTTデータ社と組んでオープンイノベーションを進めていく理由、そして新規事業を生み出す手法が様々ある中でビジネスコンテストという手法を選択した理由をお聞かせください。

舩曵氏 : まず1つ目の質問への回答ですが、NTTデータ社はオープンイノベーション活動「豊洲の港から」を通して、世界15都市を巻き込んだビジネスコンテストなどを開催し、イノベーション創発の実績をお持ちです。

また金融の基本的なシステムはもちろん日本の産業全体、国の基盤となる仕組みを築いてこられたインフラ企業です。その信頼感、情報量、そして視野の広さ。すべてに信頼を置いています。

次にビジネスコンテストという形態にした理由は、視野や価値を狭めたくなかったからですね。私たちが事前にテーマや基準を固めてしまうと、「自分たちが気付いていない発想」というのは生まれません。自分たちが気付いていることの範疇で良ければ、社内で意見を吸い上げればできるはず。しかし今回必要なのは、当社だけでは生み出せない、ディスラプティブな発想です。「金融機関」「メガ損保」という看板や価値観に縛られないアイデアを求めています。

谷本氏 : 今回は外部データとの掛け合わせによる新ビジネスを創出しようとされていらっしゃいますが、例えばAIやRPAといった期待感のあるキーワード、また具体的にこういうデータは活用できる可能性があるのでは、といった展望はありますでしょうか。

舩曵氏 :例えばドライブレコーダーの映像データを解析してその人がどんな運転をしているのかというデータは、ニーズが高いですね。安全な運転をする人にさらにインセンティブを提供していくことが考えられますね。

谷本氏 : 大企業とスタートアップとの共創というと、マッチングはできてもその後うまく行かないという事例もよく耳にします。貴社の場合、スタートアップとの協業成功に向けた素地をどう整えていらっしゃるのでしょうか。

舩曵氏 : スタートアップとの共創事例はいくつかあり、例えば東大発のAIベンチャー・アリスマー社とは、自動車事故の損傷程度を画像解析AIにより瞬時に判定し、査定を行う取り組みを進める他10社ほどのスタートアップと実証実験を進めています。

当社のスタンスとして、事業シナジーが出るかどうかを重視しています。新たな価値・サービスの創造と双方の成長を第一に考えています。対応のスピード感もできるだけ早めていくよう努めています。

谷本氏 : 最後に、今回のビジネスコンテストに応募を検討している企業に対してメッセージをお願いします。

舩曵氏 : 一緒になってイノベーションの海を真っ青にしましょう。眠っている当社のデータを活かして、お互いに社会に貢献できるような航路を見つけていけたらと楽しみにしています。ご応募お待ちしています。

取材後記

「お茶の間から宇宙まで。鉛筆からロケットまで」――人類のあらゆる活動を、あらゆる規模でカバーする損害保険を表す言葉だ。損保は、人や企業の様々な挑戦を力強く後押しし、事故や災害など有事の際には明日への活力となる。つまりこの世界の変化を常に最前線で捉え続けるアンテナの高い業界であり、そこには豊富なデータが集まってくる。

三井住友海上火災保険は、グローバルでも指折りの損保会社。可視化されているデータはもちろん、眠れるデータにも、大きなビジネスの可能性があるに違いない。データにおぼえのある企業は、ぜひ今回のビジネスコンテストに応募して欲しい。海上貿易からスタートした損保の歴史に新たな航路を刻む企業は、果たしてどこになるだろうか。

※『Grow Together』」×『豊洲の港から®』presents オープンイノベーションビジネスコンテストの詳細・応募はこちら(→https://www.event-info.jp/growtogether)。

(構成:眞田幸剛、取材・文:佐藤瑞恵、撮影:加藤武俊)

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