ウォーターリンクス×山梨県北杜市上下水道局、積雪地域の検針課題に挑む 水道スマートメーター実証実験を開始
株式会社インフラプラスの連結子会社である株式会社ウォーターリンクスは、山梨県北杜市上下水道局と連携し、水道スマートメーターの実証実験を開始した。実験には、同じくインフラプラスグループの株式会社ウォーターデバイスが製造する最新のスマートメーターを使用する。
積雪地特有の課題に対応
北杜市は八ヶ岳南麓に位置し、自然豊かな環境と多くの別荘地を有する地域である。冬季には積雪が多く、水道メーターが雪に埋もれてしまうことが少なくない。このため、検針員による除雪対応や現場確認の負担が大きく、業務効率化が喫緊の課題となっていた。
また、別荘地では長期間不在となる住宅も多く、漏水などの異常が発生しても発見が遅れるリスクが指摘されている。こうした地域特性を踏まえ、北杜市とウォーターリンクスは、スマートメーターによるデジタル化と遠隔管理による課題解決を目指す。
無線通信で遠隔検針を実現
今回の実証では、各家庭に無線通信機能を備えたスマートメーターを設置。LPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれる低消費電力・広域通信技術を用い、遠隔で水道使用量を自動的に検針する。
検針方式は「AMR(Automated Meter Reading)方式」で、メーターに搭載された無線子機がデータを送信。検針員が近距離から一括で読み取るウォーク・バイ方式や、車両から効率的に収集できるドライブ・バイ方式にも対応している。
ウォーターリンクスはシステム構築とデータ管理を担い、ウォーターデバイスはメーターの製造を担当。両社が協働することで、現場負担を軽減しつつ高精度なデータ取得を実現する仕組みを整える。
効率化とリスク軽減 持続可能な水道事業へ
この取り組みにより、積雪時の現場作業や除雪負担が軽減され、検針業務の効率化が大きく進む見込みだ。また、異常な水量変化を検知すれば、長期不在住宅での漏水や破損を早期に把握することが可能となる。
データの自動収集と分析によって、将来的には使用傾向の把握や設備維持管理の最適化も期待される。北杜市では、住民サービスの向上とともに、水道事業の持続性を確保する新たなモデルとしての実装を視野に入れている。
実証実験の概要
対象戸数:115戸
実証期間:2025年6月1日〜2026年5月31日
今回の取り組みは、積雪地域が抱える現場課題をテクノロジーで解決する地方発の実証として注目される。今後、得られたデータをもとに運用効果を検証し、全国の自治体への展開も見据えている。
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(TOMORUBA編集部)