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旭化成、乳牛の乳房炎原因菌を迅速検出する新技術を開発 共創事業「TBC」の一環として技術系専門商社エア・ブラウンにライセンス提供開始

旭化成、乳牛の乳房炎原因菌を迅速検出する新技術を開発 共創事業「TBC」の一環として技術系専門商社エア・ブラウンにライセンス提供開始

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旭化成株式会社は、乳牛の乳房炎原因菌を短時間で検出できる独自技術を開発し、2025年8月、技術系専門商社 エア・ブラウン株式会社と、日本およびアジア・中東地域を対象としたライセンス契約を締結した。酪農家自身が現場で簡易に細菌を特定できる仕組みとして、乳房炎への迅速かつ的確な対処を可能にする。

無形資産を活用した共創事業「TBC」の一環として展開

旭化成は「中期経営計画2027 ~Trailblaze Together~」の中で、無形資産を活用したソリューション型・ライセンス型事業を強化している。その中核を担うのが、研究開発で蓄積された特許・ノウハウ・データを外部パートナーと共有し、スピーディに事業化を進める「TBC(Technology value Business Creation)」だ。今回のライセンス提供は、このTBCの取り組みの一環として実現したものであり、旭化成の知見を社会実装する新たなモデルケースとなる。

酪農現場で深刻な「乳房炎」 従来法には時間的課題

乳牛の乳房に細菌が感染して発症する「乳房炎」は、酪農業界で最も発生率の高い感染症の一つ。牛乳の品質低下や乳量減少を引き起こし、世界全体で年間約130億米ドルの経済損失を生じている。(*1)

原因菌の特定は治療方針や衛生管理策の決定に不可欠だが、従来の「培養法」(*2) や「PCR法」(*3) は専門検査機関への依頼が必要で、結果が出るまで1日以上を要する。この時間的ロスが、早期治療や感染拡大防止の妨げとなっていた。

約1時間で検出可能、酪農家自身が現場で検査

旭化成は、ヘルスケア分野での感染症診断技術を応用し、乳房炎の主要原因菌である大腸菌群・ブドウ球菌・レンサ球菌を対象にした独自の検出技術を開発した。本技術では、同社が保有する幅広い抗体ラインナップと検査キット化のノウハウを活かし、酪農家自身が専門知識を持たなくても、乳汁中の細菌を約1時間で簡単に検出できる。

これにより、感染の早期発見と迅速な治療判断が可能となり、経済的損失の抑制や農場全体の衛生水準の向上が期待される。

今回のライセンス契約では、旭化成が特許使用権と技術ノウハウを提供し、エア・ブラウンが日本およびアジア・中東地域での事業展開を担う。旭化成は契約一時金に加え、事業化後の販売額に応じたロイヤリティを受け取る。両社の協働により、技術の早期社会実装と普及を加速させる構えだ。

科学で「変わる未来のはじまり」を創る

旭化成は「変わる未来のはじまりを。」を研究開発の理念に掲げ、無形資産を社会に還元することで人と地球のより良い未来を目指している。今回の乳房炎検出技術は、その理念を具現化する事例の一つであり、酪農現場における疾病管理の新たなスタンダードを提示するものとなるだろう。

(*1) 出典:J. Dairy Sci. 107:6945–6970 Global losses due to dairy cattle diseases: A comorbidity-adjusted economic analysis
(*2) 培養法:検体(牛乳)に含まれる菌を培養し、原因菌を同定する検査方法
(*3) PCR法:検体に含まれる菌のDNAを増幅して、その種類を同定する検査方法

関連リンク:プレスリリース 

(TOMORUBA編集部) 

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