
ポスト5Gロボティクス基盤構築プロジェクト始動 NEDOが実施体制を決定
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2025年8月4日、「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ロボティクス分野におけるソフトウェア開発基盤構築(委託)」の実施体制を決定したと発表した。今回の公募には4件の提案が寄せられ、そのうち3件のプロジェクトが実施予定先として採択された。事業期間はNEDO指定日から2028年3月末までを予定する。
この事業は、第5世代移動通信システム(5G)をさらに進化させた「ポスト5G」時代において、産業用途に適した高度な情報通信技術の確立と、国内製造基盤の強化を目的とする。とりわけ、人手不足の解決策として期待が高まるロボティクス分野において、ソフトウェアの品質と性能が可視化され、開発主体が参入しやすいオープンな開発基盤を構築することが狙いだ。
多様なプレイヤーが連携、3プロジェクトが始動へ
今回採択されたプロジェクトは以下の3件。
■「ロボットSI効率化に向けた品質・信頼性・安全性強化型ソフトウェア開発基盤の構築」
実施予定先:国立研究開発法人産業技術総合研究所、イーソル株式会社、技術研究組合産業用ロボット次世代基礎技術研究機構、株式会社セック、パナソニック ホールディングス株式会社、富士ソフト株式会社、株式会社豆蔵、学校法人立命館
本プロジェクトでは、システムインテグレーション(SI)業務の効率化に向けて、ロボットのソフトウェア開発における品質・信頼性・安全性の向上を目指す。研究機関、民間企業、学術機関が連携し、共通開発基盤の構築を通じて、持続可能なロボット開発環境の整備に取り組む。
■「SI効率化と多彩なロボットシステムの創出を実現する共創基盤開発」
実施予定先:川崎重工業株式会社、NTTビジネスソリューションズ株式会社、株式会社ダイヘン、 株式会社FingerVision、株式会社安川電機、ヤマハ発動機株式会社、ugo株式会社
ロボット未活用領域(いわゆるロングテール市場)への導入を加速するため、ロボットの機種や用途にとらわれない共創型ソフトウェア基盤と、ステークホルダーが集うエコシステムの構築を目指す。各社の知見を持ち寄り、モデルユースケースを通じて実用性の高い開発ツールを実証していく。
■「建設市場のロボティクス分野におけるソフトウェア開発基盤の研究開発」
実施予定先:株式会社竹中工務店、Kudan株式会社、株式会社ジザイエ、アスラテック株式会社、 燈株式会社、株式会社センシンロボティクス
建設業界という特殊な環境でのロボティクス活用に焦点を当て、現場に適応したソフトウェア開発基盤を構築。測位、認識、動作制御といった複雑な技術課題に取り組みながら、建設現場での安全性・効率性向上を図る。
ポスト5G×ロボティクスの社会実装に向けて
今回の採択は、NEDOが進めるポスト5G情報通信システム基盤強化事業の一環として実施されるもので、国内の情報通信技術と産業の競争力を両立させることを目的としている。今回のプロジェクトは、その技術的基盤を整えるうえで重要な役割を担う。今後、各実施先による研究開発が本格化し、ロボット開発・導入のハードルを下げる環境整備が進めば、日本の製造業やサービス業におけるロボティクスの社会実装が加速すると期待されるはずだ。
※採択先の企業一覧など詳細は、以下のPDFにて確認可能です。
(別紙1)実施予定先一覧
(別紙2)採択審査委員一覧
関連リンク:「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ロボティクス分野におけるソフトウェア開発基盤構築(委託)」に係る実施体制の決定について
(TOMORUBA編集部)