
IoT在庫管理システム「SmartMat Cloud」を運営するエスマット、シリーズCで資金調達 累計36億円に
IoT在庫管理システム「SmartMat Cloud(スマートマットクラウド)」を運営する株式会社エスマットは、シリーズCラウンドにて新たな資金調達を実施し、累計調達額が36億円に到達したと発表した。今回のサードクローズでは、NTTグループのCVC機能を担うNTTファイナンス株式会社からの第三者割当増資を実施。今後、製品開発や採用、広告宣伝を通じたさらなる成長を図る。
エスマットは「モノの流れを超スマートに」をビジョンに掲げ、現場にあるモノの在庫量をIoT重量計でリアルタイムに計測し、在庫管理を自動化・最適化するシステムを提供。2018年のサービス提供開始以降、すでに1,200社を超える製造業・医療機関などに導入されており、特に自動車・化学などの大手企業からも支持を集めている。
AIエージェントで在庫最適化へ──新機能β版をリリース
2025年6月には、在庫最適化AIエージェント機能のβ版提供を開始した。この機能では、IoT重量計が計測した在庫データの使用傾向や時系列パターンをAIが学習し、欠品リスクや過剰在庫の可能性を自動検出。タイムリーな“先回り提案”を行うことで、現場における判断や対応を支援する。正式版のリリースは2025年秋を予定しており、従来の「勘と経験」に依存した在庫管理から脱却し、データとAIに基づく新しい意思決定モデルの普及を目指す。
スマートマットクラウドは、今後もAI×IoTの技術によって「人には見えない変化」まで捉えることで、人間の判断力を拡張し、現場のDXをさらに推進していくという。
NTTグループと連携強化へ
NTTファイナンスの取締役であり財務事業本部 グループファイナンス部長の橋本誠一氏は、今回の出資にあたり、「エスマット社の提供する在庫管理ソリューションは、従来見過ごされがちだった細かい部品や液体、危険物の在庫管理までDX化する可能性を秘めている。NTTグループとしても、通信ネットワークや営業面での連携に加え、今回の出資を機にさらなる協業の機会を創出し、同社の成長を全力で支援していきたい」とコメントしている。
また、代表取締役の志賀隆之氏および林英俊氏は、NTTファイナンスからの出資について、「今回の資金調達は大きな責任を伴うものであり、身の引き締まる思いです」とコメント。「現場のリアルをすべてデータに変える」というミッションのもと、すでにNTTグループとの具体的な連携も進行中であり、両社の力を掛け算することで、より大きな社会的インパクトを生み出すことを目指している。
製造業をはじめとした現場の在庫管理に変革をもたらすエスマットの挑戦は、デジタルとリアルの接点で新たな可能性を切り拓いていく。今後のプロダクト進化と社会実装に注目が集まる。
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(TOMORUBA編集部)