
人と空間をリアルにつなぐテレプレゼンスシステム「窓」を展開するMUSVI、シリーズAラウンドで累計7.2億円の資金調達を完了
テレプレゼンスシステム「窓」を展開するMUSVI株式会社が、シリーズAラウンドのエクステンションとして第三者割当増資および新株予約権付融資により資金調達を実施した。これにより、設立からの累計調達額は7.2億円に到達した。
今回のラウンドでは、住友商事グループのCVCである住商ベンチャー・パートナーズ株式会社が新たに出資。また、日本政策金融公庫による新株予約権付融資も活用し、長期的かつ安定的な資金基盤を構築した。これらの支援を得て、MUSVIはプロダクトの更なる改良と普及に向けた体制強化を加速させる構えだ。
「窓」がもたらす“実在感”──600台以上の導入実績
MUSVIの主力製品であるテレプレゼンスシステム「窓」は、ソニーグループで20年以上にわたって培われた技術をベースに開発された。最大の特徴は、まるで目の前に人が“そこにいる”かのような圧倒的な臨場感と、遅延のないスムーズな通信である。
2022年9月の本格展開以来、国内外で600台以上の導入実績を誇り、オフィス、医療、教育、接客など多様な現場で活用が広がっている。時間や距離を超えて「その場にいる」体験を提供することで、既存のリモートツールでは得られなかった深いコミュニケーションを可能にしている。
今回の出資元である住商ベンチャー・パートナーズ株式会社の代表取締役・山木英裕氏は、初めて「窓」を通じてMUSVI代表・阪井氏と会話した際の体験について、「空間や距離を感じなくなる不思議な感覚だった」と語る。その感動が出資の決め手になったという。
総合商社の持つネットワークを活用し、「窓」の展開を国内外でさらに推進していくことに意欲を見せており、MUSVIの掲げる“新しいコミュニケーションの創出”に共鳴していることがうかがえる。

創業5期目、さらなる飛躍へ
MUSVIの代表取締役・阪井祐介氏は、今回の資金調達について「住友商事グループ、日本政策金融公庫という心強いパートナーとともに、『窓』の可能性をさらに広げていく」と意欲を語る。創業から5期目を迎えた今、国内市場の深耕に加え、海外展開も視野に入れているという。
また、投資家や販売パートナーとの連携を強化し、単なるプロダクトの提供にとどまらず、テレプレゼンス技術を核とした新たな社会基盤の構築にも取り組んでいく方針だ。
MUSVIの挑戦は、テクノロジーの進化だけでなく、「人と人とのつながりはどうあるべきか?」という本質的な問いを社会に投げかけている。遠隔でも対面に匹敵する、いやそれ以上の体験をつくり出す「窓」は、単なる通信機器ではない。そこには、人と人とを隔てる“距離”という概念を再定義しようとする野心がある。
シリーズAラウンドを終え、次なるステージへと歩を進めるMUSVI。その動向から目が離せない。
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(TOMORUBA編集部)