
電子デバイス向け機能性材料ブランド「MiraNeo(R)」を展開する東洋製罐グループ、ベルギーのEnfoilに出資 フレキシブル太陽電池の市場拡大へ
東洋製罐グループホールディングス株式会社は、自社の電子デバイス向け機能性材料ブランド「MiraNeo(R)(ミラネオ)」の太陽光発電パネル用製品を武器に、ベルギーのフレキシブル太陽光発電パネルメーカーEnfoil BVへの出資を通じて、グローバル展開を本格化させる。
Enfoilへの出資で世界市場を狙う
東洋製罐グループはEnfoil社に70万ユーロ(約1億1300万円)を出資し、主要株主の一角に加わった。EnfoilはTNO(オランダ応用科学研究機構)、IMEC(ベルギー半導体研究所)、ハッセルト大学から生まれたスタートアップで、CIGS系※のフレキシブル太陽光発電パネルに強みを持つ注目企業だ。顧客ごとのニーズに応じたパネルのカスタマイズ製造に対応する「マスカスタマイゼーション」技術を有しており、欧州を中心に存在感を高めている。
出資に先立ち、2025年3月からはMiraNeo(R)の太陽電池用「超水分バリアフィルム」がEnfoilへ出荷されており、両社はすでに製品開発を加速させている。
「MiraNeo(R)」は、“Flexible for the bright future”をコンセプトに開発された電子デバイス向けの機能性材料ブランドだ。そのラインナップは太陽電池用途にとどまらず、有機ELサイネージなどへの応用も視野に入れており、今後はスマート社会や環境負荷の低減といった多様な社会課題の解決に貢献していく方針だ。


※CIGS:銅(Copper)、インジウム(Indium)、ガリウム(Gallium)、セレン(Selenium)を含む化合物太陽電池。高耐久性が特徴。
日本国内では物流トラックで実証実験を開始
グローバル展開と並行して、日本国内でもMiraNeo(R)製品の社会実装が動き出す。東洋製罐グループ傘下の東洋メビウス株式会社と連携し、2025年5月から物流用トラックの屋根にフレキシブル太陽光発電パネルを設置する実証実験をスタート。関東・東北・中部地域の3台の車両が対象となり、順次増台を予定している。
6月からは「実証実験中」であることを告知するラッピングを施した車両の走行も開始される予定で、目に見える形での啓発効果も期待される。
包装から未来のエネルギーへ──東洋製罐グループの変革
1917年に創業し、包装容器メーカーとして知られる東洋製罐グループは、今やエネルギーや電子材料分野へと事業領域を拡大。総合力を活かしながら、「未来をつつむ」という長期ビジョンのもと、サステナブル社会の実現に向けた挑戦を続けている。
素材メーカーとしての枠を超えた東洋製罐の取り組みは、脱炭素時代の新たなエネルギー社会に向けた、確かな一歩となるだろう。
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(TOMORUBA編集部)