
アスソラがシリーズAで6.3億円調達、再エネ発電と蓄電の次ステージへ――高圧・特別高圧の太陽光発電事業と人材体制を強化
再生可能エネルギー発電事業を展開するスタートアップ、株式会社アスソラは、シリーズAラウンドにおいて総額6.3億円の資金調達を実施した。今回のラウンドでは、株式会社環境エネルギー投資がリード投資家を務め、三菱UFJキャピタル株式会社およびANRIが出資に参加した。これによりアスソラの外部資金調達の累計額は7億円に達した。
調達した資金は、新規の太陽光発電所(高圧・特別高圧)および系統用蓄電池の開発に活用されるほか、事業拡大を支える人材採用にも積極的に投じられる。今後、プロジェクトファイナンス組成や施工・運転管理など、発電所の事業化に向けた体制強化が本格化する見通しだ。
コーポレートPPAで脱炭素社会へ
アスソラは「再生可能エネルギーをフル活用する」というミッションのもと、企業と発電事業者が直接電力購入契約を結ぶコーポレートPPAの仕組みを活用し、再エネの導入を推進している。2025年1月には第1号案件として、複数の高圧太陽光発電所の稼働を開始。東北電力と締結したコーポレートPPAに基づき、NTTドコモの東北各地の拠点にクリーンな電力を供給している。
こうした再エネ導入の取り組みは、単に電力のグリーン化を図るだけでなく、「追加性のある再エネ設備」を新たに創出する点でも重要である。アスソラの事業は、RE100など脱炭素を掲げる企業のニーズに応えるものであり、サプライチェーン全体の持続可能性を高める仕組みとなっている。
投資家たちが語るアスソラの可能性
リード投資家の株式会社環境エネルギー投資(EEI)代表取締役・河村修一郎氏は、アスソラについて「太陽光発電に関する高度な専門性と実行力を備え、脱炭素社会に不可欠な存在」と語り、同社のネットワークを活かして成長を支援していくとコメント。
三菱UFJキャピタルの副部長・菊池凱氏も、「経済性と脱炭素の両立に挑む稀有なスタートアップ」としてその意義を強調。ANRIのシニアプリンシパル・宮﨑勇典氏は、「CIRCLE by ANRI」での共創を通じてチームの熱量を肌で感じてきたとし、今後の展開に期待を寄せる。
ソーラーシェアリングや蓄電池事業にも注力
アスソラは今後、営農と発電を両立させる「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」の推進にも力を入れる。農地の上に太陽光パネルを設置し、地域の農業再生と再エネ供給を同時に実現するという発想は、地域活性化にもつながる試みだ。
さらに、発電量の変動が大きい再エネの受け皿として、系統用蓄電池の導入も進める。これにより、需給バランスを調整しながら再エネ導入量を増やす体制を整える構えである。
日本が目指すカーボンニュートラル実現に向けて、再エネスタートアップの動きはますます加速している。アスソラの挑戦が、未来のエネルギー地図をどう塗り替えていくのか、今後も目が離せない。
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(TOMORUBA編集部)