建築用コンクリート型枠の製造で注目を集めるスタートアップ「DigitalArchi」が3.5億円の資金調達を達成
建築用コンクリート型枠の製造で注目を集めるスタートアップ、株式会社DigitalArchがシードラウンドで約3.5億円の資金調達を完了した。同社は、大型3Dプリンタを活用した建築用樹脂型枠「デジタル型枠」を開発し、建設現場の生産性向上を目指している。今回の資金調達は慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)がリード投資家を務め、豊田合成株式会社、三井住友海上キャピタル、DBJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタルなどが出資している。
DigitalArchiが手掛ける「デジタル型枠」とは?
DigitalArchiが手掛ける「デジタル型枠」は、従来の木製や金属製型枠に代わり、3Dプリンタ技術を活用して製造される樹脂型枠だ。この型枠は、複雑な形状に対応可能で、製造コストの削減や短納期化が期待される。また、使用後の樹脂型枠は再利用可能であり、環境負荷を軽減する取り組みとしても注目されている。
資金調達の背景と目的
DigitalArchiは、2023年6月の創業以来、MVP(Minimum Viable Product)製作とPoC(概念実証)を進め、建築現場からのニーズを実証してきた。こうした成果を受け、急増するプロジェクト需要に対応するための製造能力強化と技術開発が急務となり、今回の資金調達が実施された。
調達資金は以下の3つの分野に投資を行う予定だ。
1.人材採用の加速
建築業の課題解決に共感し、新技術の導入を推進できる人材を募集。
2.製造拠点の増強
試験研究拠点に近接する場所に製造施設を設立し、複数台のロボットアーム型3Dプリンタを稼働させることで生産能力を向上させる。
3.技術開発
型枠の用途に応じた樹脂素材の選定や、新たなプリント技術の開発を推進。また、BIM(建築情報モデリング)データを活用したデジタル型枠の製造システムも構築する。
慶應イノベーション・イニシアティブの大竹遼氏は、「DigitalArchiの技術と実行力に期待している」と語り、投資を通じて建設業界のDX推進を支援する意向を表明。さらに、豊田合成は自社の廃プラスチック再利用技術とデジタル型枠を融合し、循環型経済の実現を目指すと述べている。
DigitalArchiのミッションは「建築の『つくる』をつくる」。3Dプリンタ技術を活用して建設業界の効率化や省人化を進めるとともに、人間らしさが反映される産業への変革を目指す。
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