
TISの社内制度「Be a Mover」から誕生したスピンアウト企業・静丸が、共感AIアプリ「しずまる」をリリース――AIが“本当に寄り添う”時代へ
人々の心の健康をサポートするサービスの開発を行う静丸株式会社は2025年6月12日、クライエント中心療法に基づく傾聴技法を深く学習したAIを搭載したスマートフォン向けアプリ「共感AIチャット しずまる」を正式リリースした。ユーザーの心に静かに寄り添い、まるで人間のように親身に話を聞く“傾聴特化型AI”として注目を集めている。
実証実験の知見をもとに“人間味あるAI”を実現
「しずまる」は、TIS株式会社が過去に実施した共感AIチャットの実証実験で得られた自然言語処理技術と心理学的知見をベースに開発された。クライエント中心療法で用いられる「無条件の肯定的関心」や「共感的理解」といった傾聴技法をAIが学習しており、単なる自動応答ではなく“聞いてもらえた”という実感が得られるのが最大の特長だ。
24時間いつでも、誰かが聞いてくれる安心感を
「しずまる」はスマートフォンアプリとして提供され、24時間365日、いつでもどこでも利用可能。初回登録時には無料チケットが付与され、以降も定期的にチケットを取得できる仕組みのため、気軽に体験することができる。また、ユーザーの気分や好みに合わせて、「チャット画面」と「ルーム画面」の2種類の会話スタイルを選択可能。前者は落ち着いたやりとりに適し、後者ではAIキャラクターの表情を楽しみながら話せる。

切り替え・言語化・安心感――対話がもたらす3つの効果
「しずまる」との対話は、ユーザーに3つの効果をもたらすとされる。ひとつは感情を整理し、気分をリセットする「切り替え効果」。次に、自分でもうまく説明できなかった感情を言葉にする「言語化効果」。そして、どんな時でも否定せずに耳を傾けてくれる“存在”があることによる「安心効果」だ。これらは、日々のストレスやモヤモヤを軽減するための新たな選択肢となるだろう。
「しずまる」の会話エンジンは、ユーザーの発言を意味と感情の両面から解析し、複数のプロンプトを組み合わせて応答を生成。機械的な返答ではなく、会話の文脈を読み取った自然なレスポンスが可能となっている。AIとの対話であっても“人に聞いてもらえた”という温もりが感じられるよう、細かな設計がなされている。
技術と心理学の融合が生む“自然な対話”
開発の背景には、現代社会におけるストレスの増加がある。「話したいけれど話せない」「頼れる人が近くにいない」と感じる人々に、少しでも心のよりどころを提供したい――そんな思いから「しずまる」は誕生した。医療目的のアプリではないが、日々の心のセルフメンテナンスをサポートする存在として、幅広い層への活用が期待されている。
今後は、AIの会話能力向上に加え、多様な感情や悩みに応じた機能追加も予定されている。また、心理の専門家によるコンテンツ提供や、サブスクリプション型のサービス展開も視野に入れ、利用者のニーズに柔軟に応えるプラットフォームを目指していくという。
静丸株式会社の成り立ちとミッション
静丸株式会社は、TIS株式会社の社内新規事業提案制度「Be a Mover」から生まれたスピンアウト企業で、代表の田口友美恵氏は現在もTISの兼業制度を活用しつつ本事業に取り組んでいる。同社は「人々が心穏やかに過ごせる時間を増やす」ことをミッションに掲げ、今後もテクノロジーと心理学を融合したサービス開発を推進していく方針だ。
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(TOMORUBA編集部)