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桑名市がスタートアップとの共創を宣言!「くわなスタートアップ・オープンフィールド戦略」に迫る――『くわなスタートアップサミット「開国〜KAIKOKU〜」』開催レポート

桑名市がスタートアップとの共創を宣言!「くわなスタートアップ・オープンフィールド戦略」に迫る――『くわなスタートアップサミット「開国〜KAIKOKU〜」』開催レポート

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三重県桑名市は、桑名をフィールドとしたとした課題の解決や新たなチャレンジを通じて、スタートアップとの共創を生み出し続けることを理念とした「くわなスタートアップ・オープンフィールド」の構築に向け、様々な取り組みをスタートさせている。そのファーストステップとして、2024年1月31日、桑名市内の国の重要文化財・六華苑にて、『くわなスタートアップサミット「開国〜KAIKOKU〜」』が開催された。

桑名市がスタートアップに開かれた街となることを「開国」になぞらえた同イベントには、桑名市役所、市内企業、スタートアップ、支援機関など、様々な立場の参加者が来場。「くわなスタートアップ・オープンフィールド戦略」のβ版を共有するとともに、桑名市とスタートアップの“あるべき共創の姿”に関する活発な議論が行われるなど、盛況のうちに幕を閉じた。

本記事では、同イベントにて桑名市長・伊藤徳宇氏より発表された「くわなスタートアップ・オープンフィールド戦略(β版)」の内容を中心に、イベント内で実施されたトークセッションやスタートアップによる共創ピッチ「KUWANA Well-being PITCH」の模様についてレポートする。

桑名市長による「くわなスタートアップ・オープンフィールド戦略(β版)」の発表

▲桑名市長 伊藤徳宇 氏

昭和51年11月3日生

学歴

平成7年3月 県立桑名高等学校卒業

平成12年3月 早稲田大学政治経済学部経済学科卒業

経歴

平成12年4月 株式会社 フジテレビジョン

平成18年12月 桑名市議会議員

平成24年12月 桑名市長

(平成24年12月19日~平成28年12月18日)

(平成28年12月19日~令和2年12月18日)

(令和2年12月19日~現在)

●桑名市の課題解決や新たな価値創出のためには、スタートアップとの共創が不可欠

イベントプログラムは、伊藤市長による「くわなスタートアップ・オープンフィールド戦略(β版)」の発表からスタートした。冒頭、伊藤市長は、オーディエンスに向けて本イベントの会場となっている六華苑について紹介した。六華苑は森林王として知られる実業家・諸戸清六(二代目)が1913年に建てた邸宅であると説明し、「110年前のスタートアップだった諸戸さんの邸宅である六華苑で、今回のサミットができることを大変嬉しく思う」と話した。

▲イベント会場となった桑名市の名勝地「六華苑」

まず、伊藤市長は「くわなスタートアップ・オープンフィールド戦略(β版)」に関する戦略策定の背景について語った。日本政府は令和4年11月に「スタートアップ育成5カ年計画」を決定し、スタートアップへの投資額を大幅に増やすなど、スタートアップの成長を強力に後押ししているほか、桑名市のある三重県においても「みえスタートアップ支援プラットフォーム」を設立し、三重発のスタートアップ創出を目指す取り組みを開始。さらに隣県の愛知県では令和6年に日本最大のスタートアップ支援拠点「STATION Ai」の開業を予定するなど、近年、国や各地域におけるスタートアップ施策が活発化している事例を紹介し、「桑名市としてもスタートアップの皆さんと一緒にまちづくりをしていこうと考えている」と述べた。

伊藤市長は、桑名市の現状における課題についても説明した。全国的な課題である人口減少・少子高齢化の波は桑名市にも押し寄せており、桑名市の総人口は令和4年に14万人を下回ったという。これに起因する労働の担い手不足、後継者不足による経済成長の抑制をはじめとした様々な課題が懸念される中、従来の手法に捉われず迅速に対応していくためには、革新的な技術やアイデアを持ったスタートアップとの協力が必要不可欠になると語った。

続いて伊藤市長は、スタートアップとの共創における桑名市の強み・優位性についてアピールした。桑名市では、以前より公民連携ワンストップ対話窓口「コラボ・ラボ桑名」を設置し、行政と民間事業者が互いの知恵とノウハウを活かして、課題解決や新たな価値創出に取り組んできたことを強調。提案内容について何一つ排除せずに検討を行ってきた結果、約3割の提案が実現・解決に至っており、「公民連携によるまちづくりが市政の柱になっている」と述べた。

また、桑名市は、名古屋市内から鉄道で30分も掛からない交通至便な場所に位置し、伝統的に様々な産業が盛んな地域でありながらも、多度山や木曽三川といった自然資源も豊富であると語り、「川の上にドローンを飛ばしてモノを運ぶこともできる」など、スタートアップの実証フィールドとして高いポテンシャルを有することをアピールした。

●桑名のWell-Bingの実現を目指し、あらゆるスタートアップに門戸を開く

伊藤市長は「ここまでに説明した国や各地域におけるスタートアップ施策の動向、桑名市の課題とスタートアップへの期待、桑名市におけるスタートアップとの共創可能性、これらの背景を踏まえ、スタートアップの皆さんとの共創に特化した戦略を策定させていただいた。まずはβ版ということで、これからも適宜ブラッシュアップを続け、さらにより良いものを作っていきたい」と語り、今回の戦略に対する思いやスタートアップとの共創に対する熱意をのぞかせた。

「くわなスタートアップ・オープンフィールド」のミッションは、「新たな価値創造による桑名のWell-Bingの実現」だ。桑名市役所、市内事業者、地域団体等が一体となって、革新的なアイデア・技術を持つスタートアップとともに、新たな価値の創出に取り組む。そのことによって桑名市のさらなるWell-Bingの向上を目指すという。

伊藤市長は、Well-Bingという言葉を「一人ひとりの幸せの実現」と解釈していると語った。「公共の福祉のためには、いろいろな人が我慢をしなければならない。そうした人に我慢を強いるような課題を行政だけで解決することは難しかった。しかし、スタートアップの皆さんと一緒になって取り組むことで、そのような課題を少しずつ解決し、一人ひとりのWell-Bingにつなげていけると期待している」との見解を示した。

続いて伊藤市長は「くわなスタートアップ・オープンフィールド」のビジョンについて説明した。「くわなスタートアップ・オープンフィールド」では、前出のミッションの実現に向け、桑名(市役所、市内事業者、地域団体、市民など)とスタートアップとのマッチングが実施される。

このマッチングを通じ、桑名市内のアセット・リソースと、スタートアップが持つアイデアや技術をかけ合わせながら、課題の解決や新たなチャレンジに取り組む共創を目指すという。桑名からスタートアップに提供されるアセット・リソースについては、解決すべき課題そのものの提示や、実証フィールドなどが含まれると説明された。

また、桑名市では、共創の対象となるスタートアップについて、「革新的なアイデアや技術を用いて、新たな価値創造に挑戦している企業及びその創業者、並びにその候補となりうる者」と定義するにとどめており、多くの企業・個人に門戸を開いている。伊藤市長自身も「スタートアップを名乗る方であれば誰とでも組みたい」と意欲を滲ませた。

●桑名市役がハブ的機能を担い、スタートアップと各プレイヤーをつなぐ

現在想定している基本的なスキームとして、まずは桑名市役所がハブ的な機能を担うことが発表された。桑名市役所がスタートアップや市内事業者、地域団体、市民といった各プレイヤーとつながり、課題の吸い上げやマッチング支援、プロジェクト組成支援を推進していくという。

また、「くわなスタートアップ・オープンフィールド」の構築と運用のスケジュール感に関しては、1年目を戦略・方針策定期間に定め、機運醸成イベントやワークショップの開催、情報発信、地域の情報・課題の調査を実施するとともに、並行してモデル事例の創出を進めていく。2年目以降は事例を増やしつつ、地域の巻き込みや仕組みづくり、実証プログラムを実施し、3年目には取り組みの本格始動を目指していると説明された。

最後に伊藤市長は、「桑名市・市内事業者とスタートアップによる共創プロジェクトの推進だけにとどまらず、桑名市内からも新たなスタートアップを生み出したい。さらには、スタートアップ的なマインドを持った次世代の子供たちの育成にもつなげていきたい。ぜひ、今回のスタートアップサミット・開国を機に、皆さんと一緒に新しい未来を創っていきましょうと熱く語り、本取り組みの戦略発表を締め括った。

桑名市長×支援機関×スタートアップの3者によるトークセッション

続いては「KUWANA MASH-UP SESSION」と題し、伊藤市長に加え、STATION AiのCEO佐橋宏隆氏、データを駆使した新しいスポーツ教育サービスを展開するPestalozzi Technology株式会社の井上友綱氏の3名によるトークセッションが実施された。セッションには3つのテーマが用意され、桑名市長×支援機関×スタートアップ、それぞれの立場から、オープンフィールドの未来や可能性に関する熱量の高い議論が展開された。

▲ソフトバンク株式会社 インキュベーション事業推進室長 / STATION Ai株式会社 代表取締役社長 佐橋宏隆氏

三重県桑名市出身。ソフトバンク入社後、社長室での中長期戦略立案や新規事業PJを経験したのち、SBエナジー株式会社を設立して事業企画部長として再生可能エネルギーの発電事業を推進。2021年からは愛知県におけるインキュベーション事業を担うSTATION Ai株式会社の代表を務める。

▲Pestalozzi Technology株式会社 代表取締役 井上友綱氏

大阪府出身。高校時代からアメリカンフットボールを始め、早稲田大学進学後もクオーターバックとしてプレー。大学卒業後の 2008 年にアメリカへ渡り、プロアリーナフットボール選手として活躍。帰国後、元陸上選手の為末大氏との起業を経て、2019年Pestalozzi Technology株式会社を創業。

●セッションテーマ1:「桑名ならではの事業フィールドとしての魅力・地域特性は?」

2024年10月の開業が予定される、名古屋市のスタートアップ支援拠点「STATION Ai」の企画運営事業など、多方面でスタートアップ支援を手掛けている佐橋氏は、桑名市の出身だ。現在、佐橋氏は名古屋を拠点にスタートアップ支援を行っているが、桑名市の魅力については、「名古屋という都市圏からの物理的な距離が近いことが非常に大きい。さらには桑名ならではの豊富なアセットやリソースがあり、スタートアップの実証フィールドとしても非常に魅力的である」と語った。また、株式会社柿安本店やナガシマスパーランドなど、個性のある市内企業や施設が多く、幅広い領域での共創・協業がイメージできることも桑名の強みであると説明した。

伊藤市長も佐橋氏の意見に深く頷き、「桑名には1次産業、2次産業、3次産業のすべてが満遍なく揃っており、個性豊かな企業が活動している。製造業の大元となる鋳物の中小企業もあるし、代替肉を使ったレトルトカレー『2050年カレー』を製造するヤマモリ株式会社のような、挑戦意欲にあふれた企業もある。当然、スタートアップとの共創やコラボレーションに関しても、様々なパターンが考えられる」と語り、バラエティに富んだ市内企業の存在をアピールした。

実際に桑名市内の小学校で、体力テストデジタル集計アプリ「ALPHA」の実証実験を行っているPestalozzi Technologyの井上氏は、市の職員や教育委員会、さらには現場の先生たちの「デジタルを取り入れる意欲の高さに驚いた」と話す。

伊藤市長によると、桑名市の学校は「授業でデジタルツールを活用する割合」が、三重県内でダントツの1位であり、2位以下の自治体とは2倍以上の差が付いているとのこと。桑名市では、DX推進を目指した「デジタルファースト宣言」を行い、誰一人取り残さないデジタル社会づくりを積極的に進めてきたという。

「行政に関わるすべての部門でデジタル化を進めているが、教育分野に関してはわかりやすい形で結果が出てきているので、現場の先生たちも一生懸命に取り組んでくれているのでしょう」と伊藤市長。それに対して佐橋氏は、「自分が子供の頃とは違って、素晴らしい環境が整ってきているなと感じます。今後、幼少期から当たり前にデジタルに触れてきた“デジタルネイティブ”たちが先生になると、さらに大きく変わっていくはず」と語り、今後の桑名市の行政・教育現場のさらなるデジタル化の進展に期待を寄せた。

●セッションテーマ2:「地域×スタートアップの共創メリットとは?」

佐橋氏は、地域側のメリットについて、スタートアップからの様々な提案を受けることで、「自分たちの有するアセット・リソースが持つ本来の価値やポテンシャルに気づけること」を挙げた。また、スタートアップ側としては、東京や大阪などの“スタートアップ激戦区”と言われる都市部では期待できないような、集中的かつ手厚い支援を受けられるメリットがあると述べた。

その一方で、地域がスタートアップを受け入れ、より良い関係性を築いていくためには、スタータップ側には資金も含めてあらゆるリソースが不足しているという事情を理解することが必要だと説明。「スタートアップにとっては時間=お金であり、時間が経てば経つほどお金が溶けていく。だからこそスタートアップとは、スピード感を意識しながら付き合ってほしい。また、可能であれば自治体・企業側の担当者をコロコロ変えるのは避けるべき」と自身の見解を述べた。

佐橋氏の意見を受けた伊藤市長は、今回の「くわなスタートアップ・オープンフィールド」においても、公民連携ワンストップ対話窓口「コラボ・ラボ桑名」のようなハブ機能を設け、すべての窓口対応を一括で行うポジションを作った上で、各部署の担当者につなぐ仕組みを整えるなど、「担当者レベルの異動があった際にもスムーズに全体調整を行える体制を構築したい」と語った。その一方で「スピード感についてはまだまだ至らない部分もあるため、様々な側面からご指導いただきたい」と協力を呼びかけた。

井上氏は、アメリカで進んでいるGovTech(Government×Technology)を例に挙げ、「日本においてもスタートアップのグロースを自治体がサポートしていくようなエコシステムが広がっていけば、有望なスタートアップが次々に登場するはずだ」と述べるなど、スタートアップと地域・自治体の新たな共創の可能性について自身の考えを示した。

また、伊藤市長は「地域とスタートアップとの共創を通じた課題解決も重要だが、私たちの活動に影響受けることで『みんなでより良い社会を作っていくんだ!』というエネルギーにあふれた子供たちが増えると嬉しい」と語り、地域×スタートアップの共創メリットについて、地域の人々や子供たちに与えるポジティブな影響にも期待していることを付け加えた。

●セッションテーマ3:「くわなスタートアップ・オープンフィールドが目指すべき未来」

井上氏は、スタートアップが自治体と共創・協業する際のハードルとなっている、入札制度や入札参加資格取得に関する問題点を指摘。その上で、伊藤市長に対し「今回のくわなスタートアップ・オープンフィールドでは、自治体側が特定の技術やノウハウを持った企業を指定して契約できる、特命随意契約のあり方を緩和してほしい」と提案した。

井上氏の意見に対し、伊藤市長は「入札については十分に変えていける可能性がある」と応えた。実際に伊藤市長は、公民連携を推進する周辺自治体の首長と連携して国に提案を行ったことにより、特命随意契約ができるようになった事例を挙げ、「入札制度に関しては、自分たちでも少しずつ変えてきた感覚を持っているので、今後もしっかりと取り組んでいきたい」と強調した。

一方、スタートアップ支援に関して豊富な経験を持つ佐橋氏は、オーディエンスに向けてスタートアップと共創・協業することの楽しさやワクワク感について熱く語るとともに、「支援してあげる」というスタンスではなく「同じ船に乗る」という感覚で取り組んでほしいと呼びかけた。

最後に伊藤市長は、多くのスタートアップとの共創・協業を通して、「挑戦することを良しとするまち」を作っていきたいと述べた。「スタートアップの皆さんの熱量に刺激を受けながら、大人も子供も一緒になって、みんなで良いまち、良い世の中を作っていくことが理想。取り急ぎ10年後くらいまでには『桑名は誰もが挑戦していますね』と言われるようなまちにしていきたい」と語り、トークセッションを締め括った。

スタートアップ5社+1社によるオーディエンス参加型共創ピッチ

「KUWANA Well-being PITCH」では、事前に登壇が周知されていた5社のスタートアップ、さらには当日会場にて発表されたシークレット・ピッチに登壇する1社を加えた、合計6社による共創ピッチが実施された。スタートアップ各社の提案に対し、オーディエンスが「共創したい」もしくは「後で話したい」と書かれた手持ち札で意思表明を行うなど、登壇企業とオーディエンスとの距離感が極めて近く、互いの熱量の高さが感じられるピッチとなった。以下では登壇各社のピッチ内容を紹介する。

●株式会社LX DESIGN/代表取締役 金谷智氏

複業で先生をしたい人と学校をつなぐ、教育特化型外部人材マッチングサービス『複業先生』を展開するLX DESIGN。現在、すでに350校以上の学校で導入されており、3000校に

待っていただいている状態。今後は『複業先生』で得られた様々な学習データを活用することで、学校の先生の負担となっている業務の自動化・効率化を推進し、教育現場で発生している人手不足問題の解決を目指すという。また、さらに中長期的には「子どもたちの新たな学習体験のデザインにも取り組んでいきたい」と力強く語った。

●合同会社KANNON/代表取締役CEO 山下青夏氏

KANNONの山下氏は、どんなウェブサイトにも簡単かつ低コストでウェブアクセシビリティ機能を搭載できる、プラグイン型SaaS「フェアナビ」を紹介した。同社は「フェアナビ」の開発と並行して、障害者施設の運営も行っており、当事者としての実体験を踏まえた実用的なUI/UXを実現。また、高額な費用と手間が掛かるアクセシビリティ導入も、「フェアナビ」を使うことで年間10万円程度、わずか5分の設定で導入できると説明。会場でもデモを行い、簡単な操作でサイトの文字サイズや表示方法が変わる様子に、オーディエンスから驚きの声があがった。

●株式会社キャリアサバイバル/代表取締役 松岡大介氏

HR×ITの相乗効果で働く人々の活力のアップデートを目指す同社では、製造業向け人事評価システムの開発を進めている。松岡氏は、近年の中小製造業における人手不足に言及し、「若手を中心とする退職者の増加に歯止めを掛けるためには、新たな人事評価システムの開発が必要不可欠」と感じたという。現在開発中の人事評価システムでは、社員各自の仕事ぶりを抽出し、AI分析による客観的な人事評価を行うことを目指している。松岡氏は「ロールプレイングゲームのステータスのように、働く人々が自分自身の成長を可視化できるようなシステムをつくっていきたい」と熱弁し、オーディエンスへの協力を呼びかけた。

●株式会社StockBase/代表取締役 関芳実氏

同社は、賞味期限の近い備蓄食を有効活用したい企業・行政と、それを必要とする団体をつなぐ寄付マッチングプラットフォーム「StockBase」を運営する。関氏は、「寄付よりも廃棄を選んだ方がコストも手間も掛からない」という備蓄食を取り巻く課題に言及。そこで同社では、備蓄食の出し手と受け手のスムーズなマッチングを行うことで、出し手側の中間業務コストを大幅に削減し、寄付のハードルを軽減。さらには出し手側の要望に沿ったマッチング先とつなぐことで、社会貢献意欲の高い企業からの支持を獲得しているという。関氏は「今後も世の中の『もったいない』を無くすために様々な活動を進めたい」と語り、さらなる事業展開に対する意欲をのぞかせた。

●Pestalozzi Technology株式会社/代表取締役 井上友綱氏

学校向けの体力テストデジタル集計アプリ「ALPHA」を展開する同社は、これまでに蓄積したノウハウやデータを活かし、高齢者向けの体力測定アプリ「ALPHA for ALL」の開発を進めていると発表した。地域の高齢者や企業職員が参加できるリアルイベントを開催し、「ALPHA for ALL」を活用した体力測定を実施。そこで得られた分析結果を参加者にフィードバックすることにより、市民の健康レベル向上や、健康寿命の延伸に貢献したいと語った。最後に井上氏は、「桑名市民の皆さんと一緒に取り組んでいくことで、運動データをさらに価値あるものにしていきたい」とアピールし、ピッチを締め括った。

●株式会社ダイマル/西塚卓郎氏

当日発表された「シークレット・ピッチ」に登壇したのは、桑名市で住宅資材の卸売業を営む株式会社ダイマルの三代目、西塚卓郎氏だ。西塚氏は、近年注目されている空き家問題について解説。空き家となって売れ残った木造住宅の、解体後に再利用される木材はわずか4%に過ぎないという。幼い頃から木材に囲まれて育った西塚氏は、空き家の木材が単純に廃棄される現状に課題を感じ、古材に価値を見出して再利用する「tsunagu(ツナグ)」という新事業を立ち上げた。木材の「回収」を「救出」と呼ぶ西塚氏は、空き家や解体現場から救出した木材・家具を加工し、「伊勢古材」というブランドとして全国や世界に発信する取り組みを続けている。今後は「tsunagu」をプラットフォーム化することにより、木材の循環型社会の実現を目指していくと語った。

取材後記

スタートアップ6社のピッチ終了後に設けられた交流会では、登壇したスタートアップと地元の参加者による議論や話し合いが行われており、桑名市を舞台とする新たな共創の芽が生まれつつあることを実感した。「くわなスタートアップ・オープンフィールド」は、桑名市や市内企業の課題解決を目指す取り組みではあるが、伊藤市長の戦略やトークセッションでも語られていたように、市内産業の幅広さや実証フィールドの豊富さ、さらには地域の方々の共創に掛ける熱量など、あらゆるスタートアップにとって魅力的な環境が整っていることは間違いない。三重県や桑名市に強い思い入れのある方々はもちろん、自治体や地域企業との共創に可能性を見出したいスタートアップは、様々な形で積極的なアプローチを試みてほしい。

(編集:眞田幸剛、取材・文:佐藤直己)

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