住友商事×セツロテック | 資本業務提携、ゲノム編集技術の社会浸透に向けて、事業・研究開発面でのパートナーシップを強化
ゲノム編集研究開発受託サービスを提供する株式会社セツロテックは、住友商事株式会社と第三者割当増資を含む資本業務提携契約の締結に合意したことを発表した。この提携により、セツロテックは研究開発成果であるゲノム編集商材の事業化を加速し、ゲノム編集技術の社会浸透を加速させることを目指す。
資本業務提携の経緯
徳島大学発のベンチャーであるセツロテックは、顧客のニーズに応じて、ゲノム編集技術で、農業畜産分野での新品種開発に取り組む受託開発型事業「PAGEs(Platform App(lication) using Genome Editing by Setsurotech)」を展開している。ゲノム編集技術を多様な生物種へ適用し、新品種の開発を目指す「ゲノム編集育種」は、世界のホットトピックの1つであり、日々さまざまな開発が行われている。育種分野におけるゲノム編集技術の市場規模は、2020年の200億ドルから、2030年には580億ドルに成長することが予想されている。(日本経済新聞2021年11月18日より引用)
セツロテックは、ゲノム編集技術を「生き物の多様な能力を引き出す」技術であると捉えており、できるだけ多くのユーザーにゲノム編集技術を活用してもらい、ゲノム編集生物を広く産業界に提供する、基盤的な企業へと成長することを目指している。
2020年より、セツロテックは、住友商事のゲノム編集ビジネスに対する技術コンサルティングに取り組んできたそうだ。こうした協業のなかで、独自ゲノム編集技術やノウハウを活かした研究開発力を持つセツロテックと、国内外で豊富な事業化経験を持つ住友商事は、より大きなシナジーが見込めると判断したことから、資本業務提携を実施するに至ったという。今回の第三者割当増資を通じた資本提携により、ゲノム編集商材の社会浸透を推進していく。
資本業務提携によって取り組む具体的な施策
(1)業務提携
①セツロテックが取り組み開発した結果得られたゲノム編集商材の事業化を住友商事が担当
②セツロテックの自社ゲノム編集商材の企画開発力とラインアップの強化
③国内外のPAGEs事業の代理店契約を住友商事と締結する予定
④セツロテック独自のゲノム編集因子であるST8の代理店契約を住友商事と締結する予定
(2)資本提携
住友商事がセツロテックの第三者割当による募集株式を引き受けることによる出資
資本業務提携に関する各社のコメント
■株式会社セツロテック 竹澤代表取締役社長
『これまでの取り組みのなかで、住友商事様がゲノム編集技術の農業畜産分野での展開に大きな関心を抱き、想いを共に出来る部分が大きいことを理解して参りました。彼らの事業開発力、海外での実績を活かし、ゲノム編集産業を加速できると期待し、本提携に期待しています。』
■住友商事株式会社 大国アグリイノベーション部長
『動物や植物、昆虫、そして微生物といった生き物が、健康に、力強く育つことを支えてくれるセツロテック様の技術力は、サステナブルな食料生産にとって重要な役割を担って頂けるものと信じております。そうしたビジョンに協賛頂ける企業様との連携を、戦略パートナーとして推進して参ります。』
セツロテックについて
セツロテックは、徳島大学で培った技術とノウハウを基に2017年に創業した、徳島大学発ベンチャー企業だ。徳島大学の竹本龍也氏(代表取締役会長CTO)らは、2015 年に「ゲノム編集マウスを簡便にかつ高効率に作製できる手法」を開発した(特許6980218号)。また、徳島大学の沢津橋俊氏(取締役CSO)は、培養細胞で高効率ゲノム編集を実現するVIKING法を開発(特許6956995号)。さらに、独自の新規ゲノム編集因子ST8(特許7113415号)を開発し、医療分野のほか、農業や畜産分野において品種改良を高速化する研究開発を進めている。
セツロテックは、これらの独自技術を活用し、アカデミア・企業の研究者向けのゲノム編集受託サービスを展開するほか、Cas9代替因子を活用したゲノム編集生物を広く産業界に提供し、ゲノム編集産業を開拓することを目指すPAGEs(Platform App(lication) using Genome Editing by Setsurotech)事業を展開している。『徳島をゲノム編集産業発祥地に』というビジョンを掲げ、地域産業に貢献していく考えだ。
関連リンク:プレスリリース