生殖再生医療のDioseve、シードラウンドで4億円の資金調達を実施
株式会社Dioseveは、ANRIをリード投資家としてCoral Capitalを引受先とするシードラウンドの第三者割当増資により総額4.0億円の資金調達を実施した。会社設立時のANRIからの資金調達と合わせて累計の調達額は4.2億円となる。
同社の独自技術であるDIOLs(Directly Induced Oocyte-like cells)は、同社共同創業者であるUniversity of Washington/HHMIの浜崎伸彦氏らが発明した基盤技術。同技術はiPS細胞を短期間で効率的に卵子(卵母細胞)に分化誘導することができる画期的な発明であり、国際学術雑誌natureに掲載された新規性の高い技術。同社は同技術を応用することで、不妊治療を望む女性に新たな治療法を提供することを目指す。
現在国内では5.5組に1組の夫婦が不妊治療または検査を経験していると言われており、治療の長期化により精神的、体力的理由等から治療の継続が難しくなるケースが多く残されている。このような現状と近年の不妊患者数の増加を背景に、従来の薬物療法や生殖補助医療では治療が難しい症状に対する新たな治療法の実現が求められている。同社の目指す治療は患者の組織から作成したiPS細胞を卵子に分化誘導させることで、不妊とされる女性が自身の遺伝子を受け継いだ子どもを授かることができる治療。
また、同社は京都大学名誉教授兼名古屋学芸大学教授の菅沼信彦氏を外部顧問に招聘した。今後は患者の方々に安全かつ効果的な治療を提供できるよう、卵子作成技術の確立と治療提供に向けた研究開発ならびに人材採用の加速を図っていくという。
関係者からのコメント
■ANRI ジェネラル・パートナー 鮫島 昌弘氏
懇意にしている優秀な研究者からの紹介で浜崎先生にお会いして、初めて技術内容をお伺いした時は自分の全細胞が衝撃を受けました。そこから会社設立の支援させていただく中で、社長候補として秘蔵っ子の岸田さんをご紹介して無事にDioseveが産声をあげ、こうして会社が動き出したことを嬉しく思います。これまでの不妊治療を抜本的に変えうる爆発力を秘めた当技術が人類に役立てる日を楽しみにしています!
■Coral Capital シニア・アソシエイト 吉澤 美弥子氏
不妊治療は、子どもがほしくてもできない夫婦にとってはもちろん、少子高齢化が進む社会にとっても重要なテーマです。その不妊治療の中でも卵子の機能不全など、他者による卵子提供しか妊娠の手段がなかった課題について突破口を見出したDioseveチームの取り組みに大きな可能性を感じて出資を決定しました。Dioseve代表の岸田氏のディープテック関連の業務経験とパッション、そして世界トップレベルの研究メンバーの専門性の高さから、iPS細胞由来卵子の応用により不妊治療が大きく前進することを確信しています。
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