フードロス削減を目指すクラダシ、総額6.5億円の資金調達を実施
ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を運営する株式会社クラダシは、新生企業投資株式会社が運営するファンド、株式会社博報堂DYベンチャーズが運営するCVCファンド、ロート製薬株式会社、池森ベンチャーサポート合同会社、西部ガスグループのSGインキュベート株式会社が運営するCVCファンドを引受先とする第三者割当増資により、総額6.5億円の資金調達を実施した。
直近の事業状況
同社は、2014年の「Kuradashi」のサービス開始以降、フードロス削減を目指し、「もったいないを価値へ」をモットーに、1.5次流通※1という通常の流通ルートを毀損しない全く新しいマーケットを創出してきた。様々な理由により通常の流通ルートでの販売が困難な商品を協賛価格で買い取り、「Kuradashi」で販売することでフードロスの削減に取り組んでいる。また、売上の一部を寄付することで、環境保護や動物保護の団体など、様々な社会貢献活動団体を支援している。
SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」では「2030年までにフードロス半減」が明文化されており、昨今のフードロス問題への関心の高まりを受け、「Kuradashi」の利用者数は35万人、パートナー企業数は累計990社を超えた。また、「Kuradashi」を通じて社会貢献活動団体に寄付した累計総額は80,195,799円となり、削減したフードロス量は9,889トンを超えている。
2019年10月に施行された「食品ロス削減推進法」以降は、一次産品のロス削減を目指した地方創生事業をはじめ、自治体や事業会社のフードロス削減の出口戦略を担う公民連携を進めるなど、さまざまな日本のフードロスの課題解決に取り組んでいる。
また、創業当時から社会性・環境性・経済性を包括した事業を展開していることが評価され、クラダシは米国の非営利団体B Labによる国際的な認証制度に基づく「B Corporation(Bコーポレーション)認証」※2を2022年6月に取得した。
※1:1次流通:商品が新品の状態で消費者の手に渡ること。
1.5次流通:廃棄の可能性があった商品を価値あるものに生まれ変わらせ市場に提供すること。
2次流通:一度市場に出た商品が再び販売されること。
※2:B Corp認証とは (B-Corporation)
環境や社会への配慮、経営の透明性、事業の持続可能性などにおいて優れた、公益性の高い企業を認証する制度。この認証の取得には、「ガバナンス」「社員」「コミュニティ」「環境」そして「顧客」の5つの領域において、B Labが定める評価指標に基づいたB インパクト評価(B Impact Assessment)で、80ポイント以上を獲得することが要件となっている。2022年5月時点で、82カ国において約5,094社が取得しており、同社の認証取得は、日本企業として13社目となる。
今回の資金調達の目的と背景
日本では年間約522万トンのフードロス(※3)が発生している。
一方、日本の食糧自給率(※4)は38%と低く、消費している食品のうち62%を輸入に頼っている。それはつまり、6割もの食料を輸入しているにも関わらず大量のフードロスを生んでいるということになる。フードロスの問題は自然環境への影響にも関わるなど、身近で重要な社会課題の一つとしてますます関心が高まっている一方で、「2030年までにフードロス半減」を目指すには、さらに多くの人と共にこの問題に取り組む必要がある。当問題に取り組む同社事業に賛同し、資金面・事業面の両面でパートナーとして応援できる人に今回出資してもらい、調達した資金を活用し「Kuradashi」のブランドリニューアルや、アプリ版のリリースをはじめとしたプロダクト開発を行い「Kuradashi」のサービス拡充や利便性向上を目指し、楽しみながら気軽にフードロス削減・社会貢献ができる仕組み作りを進めていくという。
また、サービス認知の向上を目指した同社主催カンファレンスやコンセプトムービーによるマス向け広告展開など幅広いマーケティング活動を強化し利用者数の拡大を目指す。さらに、プロダクト開発を担うエンジニアや事業戦略の実現を担う優秀人材の採用を強化し、引き続きSDGs推進を牽引するソーシャルグッドカンパニーとして、社会性・環境性・経済性を包括した事業としての成長を目指すという。
※3:日本のフードロス(食品ロス)出典:農林水産省
※4:日本の食糧自給率 出典:農林水産省
引受先の一覧
・新生企業投資株式会社が運営するファンド
・HAKUHODO DY FUTURE DESIGN FUND(株式会社博報堂DYベンチャーズ)
・ロート製薬株式会社
・池森ベンチャーサポート合同会社
・西部ガスグループのSGインキュベート株式会社が運営するCVCファンド
引受先各社コメント
■新生企業投資株式会社 ベンチャー投資チーム ディレクター 小谷 寛 氏
フードロスの問題は社会課題の一つとして関心が高まっており、フードロス削減に向けた取り組みはますます活発化していくものと考えます。こうした領域において、フードロス削減の機運が高まる前から先進的にソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を提供し、いち早くフードロスという課題に向き合ってきた経営陣を高く評価しております。クラダシ社がSDGs推進を牽引するソーシャルグッドカンパニーとして大きく飛躍していくことを期待し、当社の成長をご支援させていただきたいと思います。
■HAKUHODO DY FUTURE DESIGN FUND
株式会社博報堂DYベンチャーズ マネージングパートナー/取締役COO 武田 紘典 氏
ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」は、食品をはじめこれまで様々な理由で廃棄されてきた商品を流通・販売し、その売上の一部を社会貢献活動団体への寄付に充てるため、出品される商品のブランド価値を守りつつ、生活者も楽しみながらフードロス削減・社会貢献ができる場を提供しています。今後は、クラダシの三方良しのビジネスモデルに、博報堂DYグループが有する生活者発想とクリエイティビティを掛け合わせ、更なる社会価値創造に向けてともに取り組んでいければと思います。
■ロート製薬株式会社 取締役 & CSO 瀬木 英俊 氏
フードロス削減という世界が抱える大きな社会・環境問題を解決すると同時に、売上の一部で広く社会貢献活動を支援する持続・循環可能なクラダシ社の素晴らしい取り組みに賛同しております。弊社は本年1月に沖縄県石垣市とクラダシ様の3者で「石垣市におけるSDGsの推進に係る食品ロス削減及び特産品のPRに向けた連携協定」を締結し、一社では解決することが困難な社会課題に取り組み、人も地域も健康になる社会へと貢献していく活動を始めたばかりです。今回の資本提携により更に関係を強化し、クラダシ社の進めている新しいソーシャル事業を応援したいと考えております。
■池森ベンチャーサポート合同会社 代表 池森 賢二 氏
この日を迎えられたことを大変うれしく思います。世界的に地球環境の保全が叫ばれている現代において、ムダな大量廃棄を無くすためにはこれまでの慣習に捕らわれることなく、良識あるサスティナブルな新たな購買行動を広く浸透させていくことが求められます。クラダシ社が食品ロスだけではなく、様々なムダを無くし循環型経済を象徴する会社に成長することを期待しています。
■SGインキュベート株式会社 主任 西村 大輝 氏
西部ガスグループのCVCであるSGインキュベートは、新たな価値の創造に挑戦する企業を支援し、よりよい社会や未来を実現することを目指しております。「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」というクラダシ社のミッションに共感するとともに、フードロスという社会課題の解決をビジネスとして確立した、社会性が高くサステナブルな事業に魅力を感じ出資させていただきました。また、今回の出資に先んじて、西部ガスグループとクラダシ社は業務提携によりホワイトレーベル「ecoto(いいコト)」を立ち上げております。今後もクラダシ社と共にサステナブルな社会の実現に取り組むとともに、事業の更なる発展に向けて全力で支援させていただく所存です。
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