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農業用収穫ロボットを開発するAGRIST、持続可能な農業の実現を目的とした資金調達を実施

農業用収穫ロボットを開発するAGRIST、持続可能な農業の実現を目的とした資金調達を実施

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宮崎県に本社を構える農業用自動収穫ロボットの開発を行うAGRIST株式会社(アグリスト)は、第三者割当増資による資金調達を実施したことを発表した。引受先となったのは、株式会社ドーガン・ベータおよび株式会社宮崎太陽キャピタルがそれぞれ運営する投資事業組合、ENEOSイノベーションパートナーズ合同会社、ならびに宮銀ベンチャーキャピタル株式会社、ジャフコ グループ株式会社、及びインキュベイトファンドがそれぞれ運営する投資事業組合だという。(引受先社名は出資順)

地方から世界の農業課題を解決する

アグリストは「100年先も持続可能な農業を実現する」をビジョンとして掲げ、2019年に設立された農業ロボットベンチャーだ。2017年から継続している農家との勉強会で、収穫ロボットの必要性を聞き、"農家の声”から立ち上がった。アグリストの本社は、人口約17,000人の宮崎県新富町にある。農業のビニールハウスの隣に開発拠点を置き、地方だからこその競争優位性を活かし、将来的に世界の農業課題の解決をおこなうグローバルベンチャーへの成長を目指しているという。


稼げる農業を実現

アグリストの収穫ロボットは、吊り下げ式(PCT国際特許及び世界各国での特許出願中)で、ワイヤーをつたってハウス内を移動し、10アールあたり1台で年間収穫量の20%を収穫することで、農家の収益性向上に貢献する。ロボットの提供は、1台あたり初期導入費150万円のレンタル形式を予定しているという。

6台の収穫ロボットを販売

アグリストは、国が実施している2020年度「スマート農業実証プロジェクト(事業実施主体:農研機構)」を受託した共同事業体の1団体として参画。6人の農家と共に収穫ロボット6台を活用した稼働実証を開始している。

▼吊り下げ式の収穫ロボット(世界各国へ特許申請中)


JAアクセラレーターに選出 全国販路開拓へ

アグリストは、JAグループの資源をスタートアップに提供し事業支援することを目的とした「JAアクセラレータープログラム 第2期(2020年開催)」にも選出されている。このネットワークを活かし、日本全国にある農作物の主要生産地と連携したロボット・サービス開発を行い、果菜類用収穫ロボットを社会実装することで、持続可能な農業と社会の実現に貢献する考えだ。

茨城県と埼玉県に販路開拓

今後は、ピーマンの生産地としても有名な茨城県神栖市でピーマン自動収穫ロボットの実証実験を開始する。また同社は埼玉県深谷市が主催する「DEEP VALLEY Agritech Award(ディープバレーアグリテックアワード)」で最優秀賞を受賞しており、深谷市できゅうり自動収穫ロボット導入を予定している。2021年春には関東にオフィスを開設し、2021年末までに合計25名のエンジニアを宮崎県と首都圏で採用予定だという。

アグリスト 代表取締役 齋藤潤一氏のコメント

『農家の平均年齢は67才で、空きハウスや耕作放棄地が増加しています。私たちは2017年から農家と勉強会を開催し、農家からロボットの必要性を聞いて、この農業ロボットを開発しました。

現在、全国の自治体やJAから問い合わせをいただいております。これは全国の農家の声だと思っております。また、農業ロボットは非接触型であるため、コロナ禍でのNew Normalとしても高く評価をいただいています。

将来的には、ロボットから収集したデータ等を活用して病害虫の早期発見サービス及びSaaSビジネスによる世界展開も視野にいれております。

人口17,000人の宮崎県新富町から、素晴らしいパートナーとともに世界の農業課題を解決するグローバルベンチャーに成長し、ビジョンである“100年先も続く持続可能な農業”を実現します。』


代表メッセージ:https://agrist.co/interview_ceo/

株主からのコメント

■株式会社ドーガン・ベータ(ファンドマネージャー:津野 省吾氏)

『日本の農業は高齢化や労働力不足という深刻な課題を抱えておりますが、その課題解決にはロボットやAIなど、先進テクノロジーの活用が必要不可欠です。施設園芸が盛んな宮崎県新富町の地域特性を生かした環境の下で開発する収穫ロボットは、不足する労働力の補完、収穫作業の負担軽減など、農家のニーズに沿った、農業の生産性を飛躍的に発展させるソリューションになることを期待しております。

齋藤さんの熱量・リーダーシップのもとに集まったTeam AGRISTであれば、収穫ロボットの社会実装とデータを活用した新たなソリューションの提供を通して「100年先も続く持続可能な農業」の実現が可能であると確信し、投資させていただきました。私たちもチームの一員として彼らの目指す世界観を実現すべく、全力でサポートしていきたいと思います。』

■株式会社宮崎太陽キャピタル(代表取締役:野村 公治氏)

『当初、齋藤社長に弊社を訪問いただき、事業概要のお話を伺い、投資していただきたいと言われ、事業化のスピード感、本気度、フルスイング感に心動かされたのを覚えています。宮崎発にて「世界の農業課題を解決する」というミッションにも惚れました。その後、ピーマン農家さんを訪問させていただく中で、切るだけでなく挟んで落とさない、他のピーマンを傷つけないようにヘタの長さを短くするなどの改良をされる姿を見て、実際の農家さんの声を聞きながら開発研究を進めるために、実証実験ハウスの目の前にラボを置いて開発をされるスタイルの重要性を強く認識させていただきました。

地域の農家が幸せになる社会の実現に向け、最高の製品を追求し続けていかれるアグリスト様と、当社は今後とも精一杯伴走させていただきます。』

■ENEOSイノベーションパートナーズ合同会社(社長:矢崎 靖典氏)

『未来を考える際に私たちが良く口にするキーワード、それが「ワクワク」です。便利や効率の追求も必要ですが、それよりもっと五感に響き、イケてると感じられるもの。気持ちが高揚していくアイデアとも言えるでしょうか。それに加えて、長期の視点で取り組んでいけるかどうかも重要です。どんなに面白い発想でも、50年、100年と続いていく持続可能な事業でないと、環境に負荷をかけただけで終わってしまいます。まさにAGRISTの事業はこの考えに当てはまると考えています。

また、AGRISTの農業ロボット開発における新規性とスピード感、そして、街と地域を巻き込み事業を推進している点に、将来性を感じました。ENEOSはAGRISTと協業し、例えば太陽光等の再生可能エネルギーで収穫ロボットが稼働する設備を開発・展開することで、産業の垣根を超えてチャレンジしていきます。』

■宮銀ベンチャーキャピタル株式会社(代表取締役:今井 正己氏)

『労働力不足が日本農業の持続可能性を危うくしており、この傾向は農業が基幹産業である宮崎県においても強く感じられます。AGRIST社の経営理念とそこから生み出されたビジネスモデルは、地元農家の労働力の問題や耕作放棄地の問題を革新的に解決しうるものと判断し、投資を決定させていただきました。開業当時から地元農家と強く結びつき、協力しながら研究を重ねた結果、AGRIST社の収穫ロボットには農家の知見が大きく反映しています。

そして、この農家の知見を基盤技術とした収穫ロボットは、労働力不足を補っていくことのみならず、「農家の収益改善」にも大いに役立っていくものと確信しております。今回の資金調達により、収穫ロボットの開発スピードがさらに高まり、より早期に、全国の農家で活躍していくことを強く期待しております。』

■ジャフコ グループ株式会社(九州支社長:山形 修功氏)

『九州に身を置くものとして、農業分野は永らく注目してまいりましたが、ついに本気で取り組みたい企業に巡り会いました。投資のポイントを挙げるとすれば「現場主義×テクノロジー」です。「労働力不足」という明白かつ今後更に深刻化する課題に対し、現場のニーズから生まれたアイデアをベースに、農場横のラボで農家と一体となって自動収穫ロボットを開発するユニークさ、更にはそれをスピード感を持ってビジネス展開するチームメンバーに魅力を感じました。

宮崎県新富町という人口17,000人の小さな町のスタートアップが、テクノロジーで地域課題を解決し、ひいては九州から日本の農業課題を解決し、持続可能な農業を支える企業として世界にも挑戦しようとしているなんて、考えただけでワクワクしませんか?興味を持たれた方は是非チームAGRISTにご参画下さい!』

■インキュベイトファンド(代表パートナー:赤浦 徹氏)

『現在、そして将来においてますます世界の大きな課題となる食料問題を解決するため、農業分野におけるイノベーションは不可欠であり、様々な企業が様々なアプローチでこの分野に取組んでいます。その中でもAGRISTの持つ革新的な独自の技術と、地域に密着することで得られる実際の農家の声とを組み合わせて開発している自動収穫ロボットは、人とロボットの共存による農業生産性の向上を実現し、現実的かつスケーラビリィをもってこの課題を解決することができるプロダクトだと確信しております。齋藤社長を中心とした優秀なチームとともに、社会課題解決という大きなチャレンジができることを非常に嬉しく思っており、他の株主の方々とも協力しながら全力で支援して参ります。』

※関連リンク:プレスリリース

TOMORUBA編集部

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