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ヤマトロジスティクス×シスメックス | マイナス70度以下かつGDPに準拠した「遺伝子検査用試薬」の超低温帯輸送を開始

ヤマトロジスティクス×シスメックス | マイナス70度以下かつGDPに準拠した「遺伝子検査用試薬」の超低温帯輸送を開始

  • 2012
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ヤマトホールディングス傘下のヤマトロジスティクス株式会社とシスメックス株式会社は、個別化医療※1の更なる進展を視野に、低温~超低温帯の遺伝子検査用試薬※2の輸送におけるロジスティクスの実用化に向けて実証実験を行った。同実験では、専用輸送箱を活用した混載輸送を前提に、GDP※3に準拠した品質管理およびコストに関する検証を行ったという。

検証の結果、両社は2021年2月より遺伝子検査用試薬の輸送において最適なロジスティクスの実運用を開始する。混載輸送にてマイナス70度以下での超低温帯における遺伝子検査用試薬の輸送は、国内で初の取り組みとなる。

さらに、今後はマイナス120度の「超低温氷」※4を活用し、超低温帯においてドライアイスを使用しない長時間輸送に向けた実証実験を共同で行う。

▲上写真:輸送フロー概要図

1.背景

個別化医療は、先端技術をより安全かつ有効に患者へ提供することで、医療の質の向上、適切な治療の実現を図るとともに、医療費の適正化につながる医療として、研究およびインフラ整備が推進されている。

ヤマトロジスティクスは15年以上にわたり医療機器や医薬品の流通に関する物流課題に、グループ内外の機能、ネットワークを活用し、調達から流通加工・トレース管理・配送など、一貫したソリューションを提供してきた。また、今後の個別化医療の進展を見据え、課題の一つである超低温帯輸送における最適物流の検討を重ねてきたという。

また、臨床検査機器・試薬メーカーであるシスメックスは、個別化医療に重要な遺伝子検査用試薬を医療現場へ安定提供し、個別化医療の社会実装に貢献してきた。一方で、高度な品質管理を担保するために、遺伝子検査用試薬の輸送は、物量を問わず専用便で輸送しており、高額な輸送コスト負担が課題になっていた。また輸送の際、保冷のために必要となるドライアイスは石油精製の結果得られるCO2を使用しており、環境負荷や夏場の需要逼迫リスクの観点から、改善に向けた施策を模索していた。

両社は、これらの課題解決に向け、遺伝子検査用試薬における最適なロジスティクス構築に取り組むこととなった。

2.実証実験の内容

・実施期間:2020年11月~2021年1月

・輸送条件:超低温(マイナス65度以下)、冷凍(マイナス20度以下)、低温(2度~8度)の3温度帯での輸送

・輸送場所:テクノパークイーストサイト※5(兵庫県神戸市)から最終納品先(神奈川県川崎市)まで

・評価検証:

【1】オペレーション検証:GDPに準拠した輸送・品質条件の評価

【2】価格帯検証:実証実験をもとに現行コストとの価格評価

上記に加え、ドライアイスを使用しない輸送を見据え、環境温度30度設定下において、ドライアイスに代わるマイナス120度の「超低温氷」の保冷能力を検証。

・補足:

①事前準備・シスメックスへ梱包用内箱を納品

②シスメックスへ専用輸送箱(外箱)を持参し、ピックアップ

③遺伝子検査用試薬が入った梱包用内箱を専用輸送箱にセット、トレースを開始

④GDPに準拠し、エリアクリアランス※6を徹底

⑤最終納品先に配達、トレース情報、専用輸送箱を回収、専用輸送箱の管理

3.検証結果

【1】オペレーション検証:GDPに準拠した輸送・品質条件の評価

テクノパークイーストサイトから最終納品先まで専用輸送箱での運用により、混載輸送でも各温度帯において適正な品質の維持を確認。また、冷凍ではドライアイスレス、超低温では、ドライアイスの使用量を半分程度削減することができた。さらに、超低温帯においては、マイナス70度以下での品質維持も確認することができた。

【2】価格帯検証:実証実験をもとに現行コストとの価格評価

従来、輸送のたびにシスメックスが要していた資材コストと高額な専用便コストに対し、ヤマトロジスティクスが必要に応じて的確な資材を提供し、引き取り、管理することで資材のムダをなくし、現行コストの低減が可能となった。

また、マイナス120度の「超低温氷」の保冷能力検証においては、冷凍・超低温ともに一定の温度帯を維持することができたため、ドライアイスを使用しない輸送の可能性を確認。(超低温帯(マイナス65度以下)は、24時間の保持)

4.結果と今後の展開

今回の実証実験で、複数の温度帯において、高品質・低コストなロジスティクスを実証できたことから、2021年2月より本格運用を開始する。

今後も引き続き、両社で経済性や効率性の向上を検討しながら、あらゆる温度帯においてドライアイスを使用せず、環境に配慮した長時間輸送の実現や、厳格な温度管理が求められる医薬品への展開など、社会的ニーズに応じたコールドチェーンの進化に取り組んでいくという。

※1 患者一人ひとりの体質や病態にあった有効かつ副作用の少ない治療法や予防

※2 遺伝子検査に用いる体外診断用医薬品を示す

※3 医薬品が製造工場を出荷した後、医療機関に届くまでの流通過程における品質保証を目的にした基本的な指針

※4 株式会社エイディーディー(静岡県沼津市)が開発したウルトラディープフリーザーで真水をマイナス120度に超低温で短時間で凍らせたもの。環境にやさしくドライアイス代用品として使用

※5 シスメックスにおける、生物由来原料の開発・生産と本原料を用いた体外診断用医薬品の生産拠点

※6 トラック庫内で混載はしても専用資材などで他の荷物と完全に区別して輸送している状態

※関連リンク:プレスリリース

TOMORUBA編集部

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