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Suicaとの連携に挑むスマートロックベンチャーが大賞!―「JR東日本スタートアッププログラム2020」採択18社の共創プラン大公開

Suicaとの連携に挑むスマートロックベンチャーが大賞!―「JR東日本スタートアッププログラム2020」採択18社の共創プラン大公開

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スタートアップとの共創によって、数多くの新しいビジネスを創出してきたJR東日本スタートアップ株式会社。JR東日本グループのCVCである同社は、本年度も活動の中心となる共創プログラム「JR東日本スタートアッププログラム 2020」を進行させている。プログラムの特徴は、JR東日本グループのリソースを使って、年度内に必ず実証実験(テストマーケティング)を行うこと。実証実験の具体的な目標数値を決め、達成度合いによって、その後の事業化を判断している。

4回目を迎える今回のプログラムは、「地方創生」「観光・インバウンド」「スマートライフ」をテーマに掲げ、共創プランを募集した結果、242件の提案があったという。その中から18件が採択された。去る11月26日、18件の共創プランを発表するデモデイが、リアルとオンラインのハイブリッドで開催された。



会場となった「LUMINE0(ルミネゼロ)」には、テレビ局も含めて複数のメディアが集まり、壇上のプレゼンに耳を傾けた。また、プログラム初となるオンライン配信では、その利点を活かし、JR東日本グループの地方支社や現場社員がたくさん視聴したという。本記事では、共創プランの中身を中心に、デモデイの様子をレポートする。

新規事業の「始発駅」、めざすは18件すべての事業化

デモデイは、JR東日本スタートアップ株式会社 代表取締役社長 柴田裕氏の開会宣言からスタート。柴田氏はこれまでの活動の振り返りとして、過去3年間で57件の実証実験を行い、そのうち28件を事業化してきたと説明。注目を集めている無人駅・土合駅のグランピング施設や、無人決済システム「TOUCH TO GO」を例に挙げながら、このプログラムの特徴を、「事業をつくることに、とことんこだわっていること」だと強調した。


今年度は、242件の応募の中から18件を採択したが、「めざすは、事業化18件」。実証実験をすべて成功させ、すべて事業化につなげていきたいと熱意を込めた。さらに、「ここが、私たちの始発駅。事業化に向けて、本気の想いを、熱い夢をぶつけてください。心を燃やしてください」と登壇者を激励。最後に、コロナ禍で厳しい状況にあるが、だからこそ変革のチャンスだとし、「After2020の明るい社会を、自分たちでつくるという気概を持って、思い切ってチャレンジしていきましょう」と呼びかけ、開会宣言を締めくくった。


▲柴田裕氏。昨年度のデモデイでオーディエンス賞を獲得した、HERALBONY(ヘラルボニー)のTシャツで登壇。

「Suicaが鍵になる !? 」――大賞受賞はフォトシンス!

今回は、審査員評価による「スタートアップ大賞」「優秀賞(2件)」「審査員特別賞」と、視聴者投票による「オーディエンス賞」が準備された。なお、審査員は次の6名が担当した。

・江幡智広氏 (株式会社mediba 代表取締役社長)

・仮屋薗聡一氏 (株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー)

・守屋実氏 (守屋実事務所 代表)

・横田響子氏 (株式会社コラボラボ(女性社長.net企画運営) 代表取締役)

・喜㔟陽一氏 (東日本旅客鉄道株式会社 常務取締役事業創造本部長)

・坂井究氏 (東日本旅客鉄道株式会社 常務取締役総合企画本部長)


デモデイで披露された共創プランについて、大賞受賞企業から順に紹介する。

【スタートアップ大賞】 株式会社フォトシンス

「スマートビル入退館システム×Suica」


▲代表 河瀬航大氏

フォトシンスは、「物理的な金属の鍵をなくしたい」との想いから6年前に設立されたスマートロックのリーディングカンパニーだ。社員証やスマートフォンなどで入退室ができるシステム「Akerun(アケルン)」を開発・提供している。すでに累計5,000社もの企業が導入し、とくに都内での導入が多い。都内オフィスワーカーの約7.4%が、Akerunでオフィスの扉を開けている計算になるという。

同社は今回、Suicaをオフィスの鍵へと変貌させる野心的な取り組みに挑戦する。第一弾として、JR東日本本社ビルのセキュリティゲートに同社のシステムを導入。Suicaと連携させ、ゲストが訪問した際に、従来のような入館カードではなく、ゲスト本人のSuicaでゲートを通過できるシステム・フローを構築する。その後の展開として、このSuica認証システムをグループ内外、住宅、医療や行政機関などへと広げ、92兆円ともいわれるキーレスマーケットを一緒に狙っていきたいとアピールした。


▲審査員・喜㔟氏は、「Suicaの認証機能に着目し、鍵という実用的な課題に果敢にチャレンジしていただける。そこに高い志と心意気を感じた」とコメント。


▲過去3年間「Suica連携は難しいぞ」と言われ続け、落選してきたという河瀬氏。しかし屈せず、ブラッシュアップとチャレンジを続け、今回初めての採択・大賞受賞となったと話す。受賞のコメントとして、「JR東日本自体が、さらに大きなビジネス・社会貢献ができるよう、一端を担っていきたい」と喜びを伝えた。

【優秀賞】 ソナス株式会社

「IoT無線計測技術×JR東日本の鉄道インフラ」


▲代表 大原壮太郎氏

ソナスは独自のメッシュ無線通信規格「UNISONet(ユニゾネット)」を開発する東大発ベンチャーだ。UNISONetは、「同時送信フラッディング」という革新的な転送方式を特徴とし、これにより安定・省電力・高速・双方向低遅延・ロスレス・時刻同期・多数収容などを実現しているという。同社は、このコアとなる無線通信技術に、最新のセンサーを搭載した計測器やクラウドシステムを組み合わせ、IoTサービスとして提供。老朽化が課題となっている社会インフラや建造物をIoT化してセンシングし、効率的な維持・管理につなげているという。

今回はこの技術を活用し、JR東日本の2つの現場で実証実験に取り組む。1カ所目は、JR熊谷駅付近、架線張替え現場の電化柱傾き監視だ。既存システムと新たに新設したソナスのシステムを3カ月併設し、精度などを比較する。すでに小型化・省人化・コストカット観点では成果が出ているという。2カ所目は、新潟駅建設工事現場のネットワーク敷設だ。列車停止システムとソナスの無線ユニットを同じところに置き、1カ月間運用する。大規模な工事現場でソナスの無線ネットワークが活用できるかを検証するという。


▲審査員・江幡氏は、「テクノロジーで効率化するだけではなく、現場の方の価値を再生産するストーリーも描かれている」と評価した。

【優秀賞】 株式会社さとゆめ

「“まるごとホテル”コンセプト×JR青梅線沿線・無人駅」


▲代表 嶋田俊平氏

さとゆめは、地方創生に特化した事業プロデュース会社だ。全国40地域で、さまざまな事業を展開している。中でも山梨県小菅村では、「村まるごとホテル」というコンセプトのもと、村全体をホテルと見立て、空き家を客室へと改修。約700人の村民とともに、「村まるごとホテル」を運営している。客単価3万円・稼働率4割が損益分岐点となるビジネスモデルだが、2019年の開業以降、目標稼働率を大きく上回り、ほぼ満室の状態が続いているという。

この「まるごとホテル」の取り組みを、JR青梅線沿線のアドベンチャーライン(青梅駅〜奥多摩駅)で再現する。名づけて「沿線まるごとホテル」だ。具体的には、駅と集落を基本ユニットとし、無人駅をホテルのフロントに、沿線の古民家を客室に、地域住民をキャストに見立てて、「沿線まるごとホテル」の世界観を構築する。奥多摩駅から車で30分の位置にある山梨県小菅村とも連携し、一体となって事業展開を図る。まずは沿線の活性化から進め、徐々にエリア全体の活性化へと拡大していく考えだという。


▲審査員・江幡氏は、「実現に向けて頑張ってほしい。自分自身も行って体験してみたいと思った」とコメント。

【オーディエンス賞】 SD C株式会社

「セルフケア薬局×エキナカ店舗」


▲代表 服部雄太氏

SD Cは、処方箋がなくても病院の薬が買える「セルフケア薬局」を展開する企業だ。国の制度上、病院が提供する薬の半数近く(約7000種類)は、薬剤師の対面販売であれば、病院を通さず直接購入することができる。セルフケア薬局は、この仕組みを活用している。病院に行く必要がないため、通常だと約半日かかるところを、約10分ですませることができるという。

今回の共創では、JR東京駅と西国分寺駅の2カ所で実証実験を行う。東京駅では、JR東日本グループの既存ドラッグストアに、セルフケア薬局を融合させる。一方で西国分寺駅では、空きテナントにセルフケア薬局を新たに開設する。いずれも、来客数の向上や目標坪売上の達成を目標とする。また、オンライン問診システムの導入による所要時間の短縮、三密を避けるための混雑状況可視化にもトライ。将来的には、フィットネスや病院、健康診断サービスとも連携し、駅を健康になるために行くヘルスケアプラットフォームへと変貌させていく構想だという。


▲審査員・横田氏は、「みなさんの応援があるということで、今後楽しみにしている」とコメント。

【審査員特別賞】 グリーンインパクト

「ワサビ栽培×鉄道トンネル湧水」


▲代表 高橋泰昭氏

グリーンインパクトは、ワサビ生産に取り組む企業だ。同社によると、ワサビは高級メロンと同等の収益性を誇り、年中収穫が可能な12毛作、かつ増やすことも容易だという。生産者から見ると、「清流のダイヤモンド」と表現したくなるほどだが、実は全国的に生産量は減少傾向にある。一方で、世界的な和食ブームにより需要は増えているという。

こうした中、同社はJR東日本の持つ鉄道トンネルの良質な湧水に着目する。トンネルを掘れば必ず出てくる湧水を使って、ワサビの栽培に取り組みたいと話す。実はすでに数カ所で実験を行っており、いずれも満足のいく結果が得られているという。今期はさらに、新潟・GALA湯沢、群馬・土合駅、千葉・久留里の3カ所で栽培を開始。JR東日本グループが運営するスキー場やグランピング施設、宿泊施設でのワサビ提供を目指すという。


▲審査員・守屋氏は、さまざまな共創プランがある中で「JRさんらしい、よい案件だった」とコメント。

JR東日本×恋愛・お祭り・VR・秘密計算…など、多彩な共創プランを披露

デモデイでは、受賞企業以外にも、恋愛アプリ、農業ツール、VR、秘密計算など、多彩なノウハウ・プロダクト・テクノロジーを持つ企業が、JR東日本グループのリソースとかけ合わせたユニークな共創プランを発表。ここからは、デモデイでお披露目された、残るすべてのプランについて紹介する。

■株式会社AILL

「恋愛ナビゲーションアプリ×遠距離移動」


独身社員向けにAI恋愛ナビゲーションアプリを提供するAILL(エール)。カップルマッチング後のコミュニケーションを、AIがアシストするプロダクトだ。福利厚生サービスとして企業向けに展開中で、導入企業数は400社を突破している。今回の共創では、若者の都心流出に悩む東北エリアを舞台に、独身で帰ることに不安を抱える若者の恋愛をサポートする。実証実験では、都市と地方をつなぐ良縁を創出し、アプリで関係進展をサポート。遠距離デート率などから遠距離移動で生まれる経済効果などを測定する。テーマは「東北にKoi」。恋愛を切り口に、新たな地方創生に挑む。

■テラスマイル株式会社

「農業支援ツール×JRとまとランドいわきファーム」


農業に特化したクラウド型経営支援ツール「RightARM(ライトアーム)」を開発するテラスマイル。農業にかかわるデータを集約・処理・可視化することで、農業経営の最適化を図るものだ。現在、九州を中心にサービスを展開中で、AIを活用した出荷予測でも実績を持つ。今回は、福島県にあるJRとまとランドいわきファームに「RightARM」を導入し、さまざまなデータを取得。収益の平準化と経営の安定化を目指す。福島を皮切りに東日本全体へと拡大し、新たな地域経済と社会基盤をつくる構想だ。

■株式会社電脳交通

「タクシー配車システム×鉄道乗降データ」


タクシー会社向けにクラウド型配車システムや受託サービスなどを提供する電脳交通。徳島にある本社を拠点に、25都道府県へと事業を拡大している。今回の共創では、新幹線の駅もある山形県米沢市をフィールドに、鉄道の乗降データを活用したタクシー配車の最適化にトライする。旅客到着時の利便性向上や代替輸送時のオペレーション簡略化につなげる狙いだ。一次交通である鉄道と二次交通であるタクシーをデータでつなぎ、ドアtoドアでの移動体験向上につなげる。

■株式会社ABAL

「VR物産展×駅催事スペース」


ABAL(アバル)は、現実の空間にVRを重ねる技術を持つスタートアップで、VR空間の中を自由に移動し、体験を共有できるプラットフォームを開発している。そこでは、たとえば地方の風景・祭りの体験や、地域の物産の選択・購入が可能だ。また、リアルと組み合わせれば、VR空間で選んだものを、外のリアル店舗で味わうようなこともできる。今回の共創ではJR東京駅に、青森をテーマにした物産展を、リアルとVRのハイブリッドで実現する。地方の魅力をVRで“体験”として伝え、地方への送客も狙うという。

■株式会社オマツリジャパン

「お祭り支援プラットフォーム×JR東日本エリアの祭り」


お祭り支援のプラットフォームを展開するオマツリジャパンは、日本全国5,000件もの祭りと連携し、それぞれの課題に応じたサービスを展開している。今回は、祭り参加のニューノーマルなかたちとして、「祭り留学」を提案。コロナ禍の消費トレンドである「トキ消費」をヒントに、祭りの準備段階から現地を訪問し、地域への愛着を深めてもらうという。たとえば、弘前ねぷたまつりなら、1回目の訪問で絵を学び、2回目でねぶたを組み上げる。3回目の祭り当日には、一緒にねぶたを曳くといった流れだ。将来的には、旅行商品へと仕上げていくことも検討しているという。

■株式会社TENT

「アウトドア研修ノウハウ×GALA湯沢スキー場」


TENT(テント)は、レンタルプラットフォームの運営や企業向けアウトドア研修を企画しているスタートアップだ。今回の共創では、JR東日本グループが運営するGALA湯沢スキー場(新潟県)をフィールドに、5月~11月のオフシーズンを活用した企業向け研修プログラムを実施する。コロナ禍のテレワークで希薄化した社内コミュニケーションを高めるため、チームワークなどに主軸を置く。また、GALA湯沢屋上でのグランピングやサウナといった非日常体験も盛り込む。すでに2度の実証実験を終えたが、定員を超える7社33名が参加し、満足度は100%と大成功だったという。

■myProduct株式会社

「ふるさと納税型“ヒューマンツーリズム”×びゅうトラベルサービス・JRE MALL」


地域の人たちの魅力に触れられる新しい旅のかたち「ヒューマンツーリズム」を提唱するmyProduct(マイプロダクト)。線香花火や和紙といった伝統的な手仕事に取り組む人たちとともに、体験型コンテンツを企画。ふるさと納税の返礼品として提供する仕組みを構築する。今回の共創では、震災十年を迎える南三陸町を舞台に、新たな体験型コンテンツを企画。すでに現地に常駐社員を派遣し、地域資産の掘り起こしを進めている。それを、びゅうトラベルサービスと連携し、鉄道移動も含めた旅のプランとして販売。JRE MALLとも協業して認知を高める考えだ。

■株式会社SQUEEZE

「ホテルDXソリューション×JR東日本のホテル」


クラウド型ホテル運営ソリューションを展開するSQUEEZE(スクイーズ)。ホテルのバックオフィスをクラウド化・自動化することで、効率的なオペレーションを実現している。自社ブランドのホテルも保有し、それをモデルケースに外販中だ。今回は、JR東日本ホテルメッツ福島で、チェックイン業務の時間短縮に挑む。具体的には、宿泊者に事前入力を促し、ホテル到着後はQRコードの読み取りと、フロントでの鍵の受け渡しだけとする。フロントでのチェックインを、従来の7分から30秒へと短縮する。同時にコロナ禍の非接触も実現するという。

■株式会社SPRING OF FASHION

「ソーシャル販売員×JR東日本の商業施設(駅ビルなど)」


SNSユーザーが自由に商品を販売、成果報酬を得られるアプリ「STYLISTA(スタイリスタ)」を展開するSPRING OF FASHION。具体的には、SNSユーザーが自分の好きなアイテムをアプリ上でピックしてフォロワーに提案。フォロワーはそれを見て、アプリ内で商品を買うことができる。購入されると、成果が提案者に還元される仕組みだ。今回、これをJR東日本が運営する商業施設へと広げる。SNSユーザーを募り、“買い物ツアー”を実施。「STYLISTA」を通じて発信してもらう。ツアー参加者に“バイヤー目線”で商業施設を歩いてまわるという、新しい体験を提案する。

■株式会社BONX

「音声コミュニケーションツール×車両メンテナンス現場」


BONX(ボンクス)は、ハンズフリーのクラウド型音声コミュニケーションシステムを開発している。大きな特徴は、スマートフォンを使って、瞬時に数十人レベルのグループトークができることだ。今回の共創では、このプロダクトを鉄道車両メンテナンス現場に導入する。現場ヒアリングを行った結果、まずは現状行われている手書きやiPad入力作業を、自動音声入力に切り替えることから着手することにしたという。これを端緒に将来的には、声で常につながる新しい働き方の構築を目指すという。

■EAGLYS株式会社

「秘密計算技術×JR東日本保有のビッグデータ」


従来よりも安全なデータ処理を可能にする、独自の秘密計算技術を持つEAGLYS(イーグリス)。常に暗号化された空間でデータ処理を行うことにより、情報漏洩リスクを軽減する。今回は、ビッグデータを持つMaaS・Suica推進本部との共創により、高度なセキュリティを確保した状態での、データ活用ビジネスの促進を目指す。MaaS・Suica推進本部では、すでにグループ向けにデータ分析レポートをサービス化しているが、現状は人が介在して匿名化している。これに対し、秘密計算技術を用いることで、人を介さず提供できるようにする。さらに、AIを活用してデータの外販も進める。

■elDesign株式会社

「電力融通プラットフォーム×JR東日本のエコステーション」


elDesign(エルデザイン)は、持続可能なエネルギーソリューションを提供している企業だ。昨年、長野県富士見町で、ブロックチェーンを活用した電力取引の実験を行った実績も持つ。今回の共創では、すでに太陽光発電と蓄電池を保有するJR平泉駅で、余剰電力を駅舎以外へと融通する仕組みづくりにトライする。まずはスモールスタートとして、蓄電車(EV)を導入し電力の自家消費率を向上させる。将来的には、複数の駅や施設、地域全体へと電力を融通できるプラットフォームへと仕上げる構想だ。

■株式会社事業革新パートナーズ

「ヘミセルロース製品化技術×鉄道林間伐材」


事業革新パートナーズは、ヘミセルロースという植物性成分を用いたバイオプラスチック「HEMIX」を開発する企業だ。ヘミセルロースは、樹木・植物の約20~30%を占める成分。成形しやすく、土中・海中で分解されやすい特質を持つが、これまでほぼ未利用だった。今回の共創では、福島県の鉄道林の間伐材から抽出したヘミセルロースを用いて、バイオプラスチックを製造する。コップなどのプロダクトに落とし込み、アウトドアやイベント利用のほか、汎用・業務用として商品化する。

取材後記

プログラムも4回目を迎えた今回、駅や商業施設といった場所だけではなく、湧水や鉄道林などの自然、さらには難しいとされてきたSuica・ビッグデータへも、共創領域が広がったことが印象的だった。この進化を続けるプログラムからは、新たなビジネスが続々と登場している。18件すべての共創プランが、社会の課題を解決するもの、あるいは社会を前進させるものだ。すべてが社会実装された暁には、明るいAfter2020がやってくるのではないだろうか。

(編集:眞田幸剛、取材・文:林和歌子、撮影:古福秀明

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