オンキヨー×東京農業大学|加振器による振動と音を利用し、「発酵メカニズム」の解明へ
オンキヨー株式会社は、音響機器ビジネスにおいて、長年培ってきた音に関する技術やノウハウを異業種に展開し、新しいビジネスを創造することを目指して協業を進めている。このような成長戦略に基づき、今回、東京農業大学との間で共同研究に関する契約締結を行い、加振器による振動、および音を利用した「発酵メカニズム」の共同研究を実施することになったと発表した。
共同研究の背景
オンキヨーグループは、長年にわたり音と音に基づく振動に関する技術の開発を積極的に行ってきた。一方、東京農業大学は、全国の大学で最も古くから「醸造」を専門的に学ぶ学科があることで知られており、酵母の発酵について多くの研究が行われている。
酵母の発酵メカニズムは、いまだ解明されていない面が多く存在する。近年の試みとして、酵母の発酵工程において、音楽を聴かせるなどの刺激を与えることで、発酵や熟成に違いがでてくることが分かっている。オンキヨーグループも、日本センチュリー交響楽団と旭酒造「獺祭」との共同プロジェクトにおいて、醸造過程で音楽を聞かせるために加振器「Vibtone」を提供した。
こうした背景をふまえ、東京農業大学との間で、発酵過程で加振器を使用し、直接的に振動および音を聴かせることで、醸造に与える効果・効能に関する技術研究を共同で行うことになったという。
共同研究の内容
東京農業大学 応用生物科学部 醸造科学科 徳田宏晴教授との間で、加振器を使用した発酵時の酵母の成分・機能の変化などの研究を行う。様々な条件下で効果的な加振器の設置方法、および加振の仕方、また音の周波数帯域の違いによって、菌体増殖・香気成分・各種有機酸などに与える影響を解明していく予定だという。
<参考>東京農業大学 応用生物科学部 醸造科学科 徳田宏晴教授 紹介ページ
加振器「Vibtone」の特徴
オンキヨーの加振器(Vibtone)は、振動を利用して音を出すものだ(下右図参照)。通常のスピーカーでは振動板を振動させることで音を出している(下左図参照)が、これは水や湿度が高い環境下での使用には適さない。加振器はパネルなどを振動させることで音を発生させるため、浴室、キッチン、あるいはインターフォンなど防水性、気密性が必要な空間でも設置・音を鳴らすことができる。
今回の研究においても、防水性、気密性を保持した状態でも適切に振動を加えることができる特徴を活用する。他にも、スマートフォンなどに適した小型タイプからアンプ内蔵タイプなど、用途に応じて、6種類のラインナップを開発・商品化しているという。
以上のように、オンキヨーは長年培った音や振動に関するノウハウを食品など音楽以外の分野にも広げていくことで、豊かな食文化へと貢献していく考えだ。
<参考>加振器「Vibtone」について 紹介ページ
※関連リンク:プレスリリース
(eiicon編集部)