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【連載/4コマ漫画コラム(61)】 VUCAを生き抜くためのマインドセット

【連載/4コマ漫画コラム(61)】 VUCAを生き抜くためのマインドセット

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しおしおのぱ~、のブースカではない

「VUCAの時代」という言葉をよく聞くようになりました。

Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)のことで、「予測困難な時代」という意味です。

私が最初「VUCA(ブーカ)」という言葉を聞いたときは「え?快獣ブースカ?」と思っちゃいました(「分かるかな~、分かんねぇだろーなー」(松鶴家千とせ→ これも分かんないだろーなー)

「VUCAの時代だ!」と声高に叫んでいる経営者もよく見ますが、なんか違和感を覚えます。「よく分からない不確実なことが起こってしまう」なんて、どの時代にもありました。

戦国時代なんて明日どこから攻めてくるかも分からないし、明治維新によって何がどうなっていくのか分からなかったし(突然武士制度がなくなったり)、関東大震災や阪神・淡路大震災や東日本大震災も突然起こったし、いつの世もVUCAの時代でした。

COVID-19が世界に蔓延して大変な状況に陥っている今は却って「VUCAの時代だ」なんて言う人は減っているかもしれません。「どうなるか分からない」のど真ん中に人類は突然放り込まれたので。


歴史はべき乗数で動いている

「あまり起こらないこと」が起こっても、人はすぐに忘れてしまいます。しかし、歴史的・統計的に長い目で眺めてみると、「大きな変化や災害は必ず起こる」のです。ここでちょっとオススメの本を紹介しましょう。

歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学(マーク・ブキャナン著) 

例えば、地震はエネルギー(マグニチュード)が2倍になると、その発生確率・頻度は4分の1になります。このような「ある大きさ/数など」の発生確率がX乗に比例することを「べき乗則」といいます。地震の大きさと発生頻度を両対数グラフにするときれいな直線になってしまうのです。

大地震も大きな山火事も「めったに起こらない」「なんで起こるか分からない」のは共通だけれど、この「べき乗則」に結果的に乗っています。そして、人間が関わっている戦争でも戦死者の数が2倍になるとその頻度は4分の1になるそうです(大戦争は滅多におこらないけれど、小さな戦争は一杯ある)。

(ちゃんとした内容は本を読んでくださいね)

こういう視点で「災害や思わぬ出来事」を捉えると、ある意味「じゃあ、仕方ないのか」という無力感に襲われるのも確かです。

今を楽しげに、そしてすぐやる

ではどうやってこの「不確実で何が起こるか分からない世界」を歩んでいけばいいのでしょう。哲学的・宗教的な感じの話になってしまいますが、私は「大きな無力感を抱えながら、今をエネルギッシュに楽しむ」ことだと思っています。

どうせ人は死にます。人類もいずれ滅びます。地球もそのうち無くなります。どうしようもないことです。それを単に「だから何をやっても意味がない」と無力感に浸っているだけでは「せっかく生きている今」がもったいない。

「どうなるか分からない世界」に私たちは生きています。そしてあまり大きな変化がない日々は「多分明日もこうなるだろう」と思って、明日にもつながることや準備をやっています。でも、突然、予想していないことが起こると、それまでのことを続けるだけでは乗り越えられません。

目の前に現れた事にまず「とりあえずやってみる」ことが重要になります。「こんなことになるなんて」と落ち込んでいても仕方ないので、「楽しげにとりあえずやってみること」です。

ポイントは「楽しげに」です。そんな状況になったら中々「楽しく」はやれません。でも多少無理にでも「楽しげに」対処していると、思わぬエネルギーが出てきたり、出口が見つかったりします。じっと辛そうに耐えているだけでは次の一歩に出会えません。その時足かせになるのが、「これまではこうやっていた」という「安定した世界でのルールや慣習」です。

ちょっと違う話かもしれませんが、随分前に、勤めていた会社で防災訓練がありました。15階建てのビルの9階で火災が発生したという設定です。各フロアーの消防隊長(社員)が集められて、本物の消防署の方から質問されました。

「さあ、目の前で何かが燃えています。火災発生です。アナタはどうしますか?」それに対して、ある人は「えーと、119番に電話します」と回答。また、ある人は「いやいや、確か社内防災ガイドブックには、地下の管理センターに連絡することになっているはずです」と答えました。

それらに対して、消防署の方から「みなさん、それもいいですが……まず、目の前の火を消してください」と言われて、みんな下を向いて顔を赤らめてしまいました。どこかで「これまでの安定したルールや慣習」に縛られているのです。(まあ、この場合は「楽しげに」火を消そうとする必要はありませんが)

新規事業がVUCAを乗り越える

「VUCAの時代だ!何とかしなければ」と言っている経営者の多くは、自分自身が高度成長期以降のあまり大きな変化がない世界の安定した既存事業で生きてきたために、言葉では「不確実な世界が来るぞ」と言っていますが、体感が十分なされていません。

それに対して、このコラムを読まれている多くの方のように、新規事業を立ち上げる仕事を行っている方は、「不確実」「思ったようにいかない」「どんどん変わる」など、VUCAが当たり前の毎日を送られているので、VUCAに対してどのように対峙していけばいいのか、体に既に染みていると思います。

そのため、VUCAを怯えているだけの経営者にとっては新規事業開拓の経験者はとても貴重です。逆に言えばVUCAに怯えるのであれば、新規事業のプロジェクトを沢山増やし、それに対応できる社員を生み出しておくことが重要だとも言えます。

ポイントは前述の「楽しげに」「すぐやってみる」の二つだと私は思います。もちろん、普段から上記の「歴史はべき乗数で動く」のような大きな世界観を持ち、普段の目の前のこと以外にも興味を持って、あれこれ勉強し想定して準備しておくことは重要です。それでも思わぬことが起きるものです。是非、楽しげにすぐやってみて、次の一歩を見つけてください。

ちなみに、これは私の持論なのですが、複数の小学校を行ったことがある(転校したことがある)人は、新規事業開拓にも向いているし、VUCAにも強い。環境が変わっても「なんだ大丈夫じゃん」というしなやかな強さを子供時代に構築しているからです。

もちろん、転校したことがない人はダメという訳ではありませんが。私は2回転校して、3つの小学校に行きました。新しい学校への登校初日に「楽しげに」「すぐやって(話しかけて)」友達を作って、家に連れてきて遊んだのを覚えています。

特別付録?

最後におまけ。

「歴史はべき乗数で動く」と「新規事業開発」を掛け合わせた4コマ漫画をもう10年近く前になりますが、Blogで書いたことがあります→こちら。なかなか面白いと自分でも思うのですが、いかがですか?(と楽しげに聞いてみて、今回終わり)


■漫画・コラム/瀬川 秀樹

32年半リコーで勤めた後、新規事業のコンサルティングや若手育成などを行うCreable(クリエイブル)を設立。新エネルギーや技術開発を推進する国立研究開発法人「NEDO」などでメンターやゲストスピーカーを務めるなど、オープンイノベーションの先駆的存在として知られる。

▼これまでの4コマ漫画コラムがアーカイブされている特設ページも公開中!過去のコラムはこちらをご覧ください。

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