エアロネクスト | 「空飛ぶロボット」の社会実装のため中国深圳市に南方科技大学と研究開発ラボを設立
次世代ドローンの株式会社エアロネクストは、中国深圳市に、産業用ドローンの次世代コンセプト「空飛ぶロボット(Flying Robots)」の社会実装を加速させるため、研究開発の一つの重要な拠点を中国深圳市に置き、産学連携を積極的に推進し、深圳市およびベイエリア圏を担う研究型大学として急成長中の南方科技大学と共同で研究開発ラボ “SUSTECH(SIR)-AERONEXT Flying Robots Technology Shenzhen Lab”を設立することを決定した。
具体的には、南方科技大学の最新のロボティクス研究を行うロボティクス研究院(SIR:SUSTECH Institute of Robotics)と連携し、その優秀な教授陣、生徒と共に、広大で恵まれたキャンパスや関連施設、大学間ネットワークを活用し、先行する中国ドローン産業の潜在ユースケースを発掘し、数多くの実証実験を実施しながら、次世代ドローンの基盤となる要素技術の研究開発、安全基準を満たすための実証実験のデータ獲得、「空飛ぶロボット」の具体的な用途開発、将来のドローン産業を担う優秀なエンジニアの獲得や育成を目的として、5年間の間、共同で研究開発を推進していく。同大学との共同ラボの設立は日本企業としては初の事例。
▲上写真:調調印式にて。写真向かって左より、南方科技大学ロボティクス研究院院長 融亦鳴氏、エアロネクスト代表取締役CEO田路圭輔氏
エアロネクストの独自の重心制御技術「4D GRAVITY®」は、無人航空機(UAV)における機体の構造を根本的に見直し開発したもので、従来のドローンでは実現できなかったその安定性、信頼性で産業ドローンの用途範囲を大きく拡大。既に様々な用途を想定した、4D GRAVITY®搭載の産業用ドローン『Next』シリーズの原理試作を複数種類発表し、国内においては今後年内の量産体制の整備を視野に入れている。中国市場においては、2019年5月の中国深圳市に現地法人「天次科技(深圳)有限公司 (英文名 Aeronext Shenzhen Ltd.)」を設立後、6月には中国産業ドローンメーカー大手のMMCおよびSMDと戦略的提携を発表し、重心制御技術「4D GRAVITY®」の市場投入を着々と進めている。
現在、産業用ドローンは、人口減少社会・高齢社会における人手不足や人件費、人で実施する場合の危険度等に課題を抱える「物流」、「農業」、「警備」、「設備点検」、「災害対策」等様々な分野での活用が期待されているものの、写真や動画を撮るという、いわば「人間の目」としての用途のみに利用されており、短時間、短距離、また良好な気候条件の時のみという限定的な条件下での使用が現実。
そのような状況の中、「4D GRAVITY®」搭載の産業用ドローンであれば、その圧倒的な安定性により、複数のペイロード搭載や、ペイロードの位置が側面や上部に搭載しながらも安定して飛行することが可能となり、またその安定性によるエネルギー効率の改善により長時間、長距離の飛行を可能にすることから、一度の飛行中に「写真や動画を撮る」だけの単一作業だけでなく複数の仕事を実施することができる。つまり現在の産業用ドローンが「空飛ぶカメラ」領域であるとすれば次世代の産業用ドローンに求められるのは「空飛ぶロボット」であり、「4D GRAVITY®」搭載の産業用ドローンだからこそ、次世代コンセプト「空飛ぶロボット」を現実化できるという。
2019年9月には、この「空飛ぶロボット」の具現化に向け、独自の自動航行プラットフォームを中心とした顧客向けサービスをコアにした産業ドローンソリューション提案に強みをもつ、株式会社センシンロボティクスと、顧客・用途開発に関する戦略的業務提携を結び、日本国内における「空飛ぶロボット」の新しいユースケース開発を加速している。センシンロボティクスとは今回立ち上げる共同ラボの企画・運営でも協力体制を築いていく。
この「空飛ぶロボット」を現実化させるためには徹底した研究開発が不可欠だが、日本においては、社会実装やそのための基盤固めにはまだ時間がかかるというのが一般的な見解。一方で、深圳市には、数百のドローン企業が存在し、UAVの研究開発での豊富な経験と実績、また優秀で豊富な研究開発者、エンジニア人材、実証実験のための飛行環境が充実している。それが、エアロネクストが今回、次世代ドローン研究開発の拠点を深圳市に置くことに至った背景という。
その深圳市に国家高等教育総合改革試験高として設立された南方科技大学は、世界一流の研究型大学を目指し、イノベーション型人材の育成を強化している大学で、学内には機械、コンピューター、材料科学および航空宇宙等17の学院、さらにロボット、人工知能、先進製造、および大規模コンピューティング等26の研究センターを有している。その中でロボティクス研究院は、産業ロボット技術、バイオメカニカルロボット、医療リハビリロボット、コントロール及び無人システムの4つの研究所とロボット教育実験室を持ち、ドローンに関しては、フライトコントローラー開発、非GPS環境下での自律制御、ドローンに搭載可能な各種センサー開発等多岐に渡る研究が行われている。
今回、南方科技大学ロボティクス研究院との共同ラボ設立は、日本では実現し難いスピードとレベル感で、次世代ドローン「空飛ぶロボット」の社会実装を加速させることができる、現時点での最適な方法であると考えているという。
この共同ラボ設立にあたって、調印式で挨拶に立った南方科技大学秘書長 陳思奇氏は「産学連携することにより、双方の強みを生かしながら、次世代ドローンやフライトコントロールシステムの研究開発を行い、新技術を開発し、ドローン業界の発展を促進することを期待しております。」と述べている。さらに、南山区科学技術創新局局長 劉石明氏は「SUSTECH(SIR)-AERONEXT Flying Robots Technology Shenzhen Labは必ず中日間産学連携の成功例になり、中日間のハイテク連携と人材交流を促進することができると確信しております。」と述べている。また、エアロネクスト代表取締役CEO田路氏は「この度の共同ラボの設立によって、我々が描く次世代ドローンのコンセプト「空飛ぶロボット」の実現が大きく加速し、様々な産業セクターの自動化省力化を大きく前進させることができると確信しています。」と述べている。
▲挨拶するエアロネクスト代表取締役CEO田路圭輔氏
エアロネクストは掲げたビジョン「ドローン前提社会の実現」と「新しい空域の経済化」に向け、ドローンの社会実装をより加速するべく、引き続き邁進していくという。
■株式会社エアロネクストとは
UAV(無人航空機)やマルチコプターの機体フレームのあるべき姿を実現する、ドローン・アーキテクチャ研究所。安定性、信頼性を向上させる独自の重心制御技術4D GRAVITY®︎を産業用ドローンの標準技術にするために強固な特許ポートフォリオを構築し、4D GRAVITY®︎テクノロジーライセンスビジネスのグローバル展開を推進している。
https://aeronext.co.jp/company/
■南方科技大学(SUSTECH:Southern University of Science and Technology ) とは
2011年国家高等教育総合改革試験高として広東省深圳市に設立。学内には機械、コンピューター、材料科学、力学および航空宇宙等17の学院、さらにロボットおよび人工知能、先進製造、未来都市、ビッグデータ、大規模コンピューティング等26の研究センターを有する。教授は約1000人、国家最高学術権威である院士が14名在籍、学生は本科生が約5300名、研究生が約1300名。イノベーションエコシステムにおける大学機関の役割として、スタンフォード大を参考にしており、深圳市を含む広東省、香港、マカオをつなげる大湾区経済圏を担う人材輩出、産学連携を積極的に推進している。
https://www.sustech.edu.cn/en/
■南方科技大学 ロボティクス研究院(SIR:SUSTECH Institute of Robotics)とは
シンガポールの南洋理工大学(NTU:Nanyang Technological University)の教授である陳氏を院長に迎え設立された。産業ロボット技術、バイオメカニカルロボット、医療リハビリロボット、コントロール及び無人システムの4つの研究所とロボット教育実験室を持つ。ドローンの研究では、フライトコントローラー開発、非GPS環境下での自律制御、ドローンに搭載可能な各種センサー開発などがある。
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(eiicon編集部)