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ニッコールグループ | 創立70年超、老舗化粧品素材メーカーがオープンイノベーションを積極化させる理由とは

ニッコールグループ | 創立70年超、老舗化粧品素材メーカーがオープンイノベーションを積極化させる理由とは

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化粧品素材メーカーのリーディングカンパニーとして知る人ぞ知る日光ケミカルズ株式会社。1946年の創立以来70年以上にわたって、界面・コロイド化学を基本に、コスメトロジー、皮膚科学、分子生物学などの技術を応用し、化粧品原料を中心として、数多くの製品を生み出してきた。

現在もっとも伸長しているスキンケア分野の製品において同社が製造している原料が、広く利用されていることからも、その存在の大きさがうかがえる。また、同社の化粧品原料の開発力は国内のみならず海外でも高く評価されており、世界40カ国以上に販売ルートを構築し、北米、ヨーロッパ、中国、東南アジアなど、世界各地の有力化粧品メーカーとの取引関係を結ぶなど、グローバルにビジネスを展開中だ。

そして、同社の強みの要因となっている、研究開発から製造、国内外における販売までの一貫体制は、日光ケミカルズ株式会社を中心としたニッコールグループ7社の協力体制によって築かれている。その総力を結集して今まさに取り組もうとしているのが、オープンイノベーションだ。老舗企業ならではの強みを有したグループでありながら、共創を積極化させる理由とは?その先に見据える未来とは?

――そこで今回の記事では、日光ケミカルズ株式会社の田村博明氏、塚田崇典氏に加え、グループ内において“製造”を担当している日本サーファクタント工業株式会社から木幡康則氏、木村和之氏、また、“研究開発”を担当している株式会社コスモステクニカルセンターから枝雄二氏にもご同席いただき、お話をうかがった。

■日光ケミカルズ株式会社 法規部 執行役員 法規部長 田村博明氏 <写真右から2番目>

■日光ケミカルズ株式会社 マーケティング推進部 マーケティンググループ 塚田崇典氏 <写真左>

■日本サーファクタント工業株式会社 取締役 技術本部長 木幡康則氏 <写真右>

■日本サーファクタント工業株式会社 技術本部 技術部 木村和之氏 <写真中央>

■株式会社コスモステクニカルセンター 素材開発部 部長 枝雄二氏 <写真左から2番目>

オープンイノベーションによって新しい製品や市場を開拓したい

――最初に、今回、共創パートナーを募集なさる背景について教えてください。

田村氏 : ニッコールグループは創立70年以上の歴史があり、国内の化粧品素材メーカーとして確固たる地位を築いています。特に強みである界面化学分野や皮膚科学分野においては、お客様である化粧品メーカー様に対して積極的に活用法などの提案をしてきた点が高く評価されています。

しかし、近年、化粧品市場における環境変化が非常に激しくなっています。その理由には、消費者のライフスタイルが多様化し、嗜好の変化が激しいということもあるでしょうし、また、環境負荷や安全性など、素材メーカーに求められる社会的責任が拡大しているという面もあります。

そのような激しい環境変化に対応していくため、私たちのグループ内でも、もちろんさまざまな取り組みを実施してきました。しかし、内部の資源だけでは、どうしても限界があることも事実です。そこで、オープンイノベーションによって、これまでにない発想での売れるモノ作りや、新しい市場分野の開拓などのきっかけができれば、との思いが募集の背景にあります。

▲日光ケミカルズ株式会社 法規部 執行役員 法規部長 田村博明氏

――製造現場の責任者でいらっしゃる木幡様はいかがでしょうか。

木幡氏 : 実は、私たちはこれまでも、外部との共同開発や協業には積極的に取り組んできています。開発部門では、大学の研究室や国の研究機関と共同研究や共同開発をすることも多いですし、工場での製造現場では、他社と装置や機械の共同利用ということもあります。さらに、コスモステクニカルセンターでは「開放研究室」というものを作って、他企業様にご利用いただくといった施策も実施しています。

しかし、基礎研究段階からの共同開発の場合、製品化まで2年や3年かかるのは当たり前で、5年以上の長い年月が必要となることもあります。すると、いま田村が話したような、市場環境の速い変化になかなかついていけないという問題が生じることがあります。

化粧品メーカーさんも常に新しいものを求めており、せっかく基礎から開発したものが時代遅れになってしまうこともあります。私たちの特徴である提案力を活かすためにも、すでに技術をお持ちの企業様とのコラボレーションをすることで、迅速な開発とスピード感のある製品化提案を実現していきたいと考えています。

▲研修・研究の場として“お客様のために開かれた研究室”である、「開放研究室」。

――これまでに共創によって生まれて、市場にインパクトを与えたような製品には、たとえばどんなものがありますか?

木村氏 : 最近ですと、シュガースクワランという製品があります。スクワランというのは保湿性の油です。以前は、サメやオリーブから抽出した原料を使って、このスクワランを作っていました。しかしサメやリーブからだとなかなか大量に精製することはできないこと、収穫量の影響を受けるので高価で供給面のリスクもありました。そこで、私たちはアメリカのアミリス社という、サトウキビ由来のバイオ燃料などを作っているベンチャー企業とコラボレーションして、サトウキビ由来の「NIKKOL シュガースクワラン」という製品を開発したのです。これにより、従来のスクワランよりもサステイナブルな製法で低価格で安定供給できるようになり、売上が非常に伸びています。

木幡氏 : もう1つあげるなら、近年注目を浴びている素材に、セルロースナノファイバーがあります。簡単に言うと、木材を非常に細かい粒子にしたもので、応用範囲が非常に広く、また、日本に豊富に存在する森林で採れる再生可能素材のため、国もその活用を推進しているものです。私たちは、大手製紙メーカーと共同で、化粧品の基剤として使うのに最適なセルロースナノファイバーの開発もしました。これは画期的な技術ということで、海外の展示会では受賞もしています。

▲日本サーファクタント工業株式会社 取締役技術本部長 木幡康則氏

共創事業のキーワードは「環境」「資源」「界面化学」

――すでにさまざまな共創のご経験をお持ちということですね。では、今回の募集では、具体的には、どのような共創を実現なさりたいとお考えなのでしょうか。

田村氏 : いくつかのキーワードがあって、ひとつは「環境」、もうひとつは「資源」、そして、私たちの強みである「界面化学」の3つです。まず「環境」については、主にプロセス面での共創に関連すると思います。

木幡氏 : 私は普段、宇都宮の工場にいますが、海外、特にヨーロッパ系の取引先からの視察などがあると、まず聞かれるのが「環境負荷対策はどうなっているか」「どれだけクリーンなプロセスを構築しているか」といったことです。新製品や新素材の特徴、機能、経済性といったことよりも、環境負荷への対策がまず重視されます。

国内でも、もちろんCSRは求められますが、特に海外企業との取引においては、そこをクリアしていないと相手にしてくれません。そのため、私たちも工場でエネルギー源として使っていた重油をすべて天然ガスに置き換え、二酸化炭素排出量を減らすといった取り組みを継続的におこなっており、それを一層推進したいと考えています。

木村氏 : 私も木幡と同じく工場にいますが、プロセス技術の面で、エネルギー負荷を下げる技術を持っている企業様があれば、ご協力いただきたい部分はたくさんあります。具体的に言うと、低エネルギーで反応が促進できる触媒技術だとか、低エネルギーの培養技術などです。

また、工場での環境負荷対策としては、排水処理も非常に気を使う部分です。効率よく環境負荷を下げるような排水処理技術をお持ちの企業様があれば、ぜひともご提案いただきたいですね。

▲日本サーファクタント工業株式会社 技術本部 技術部 木村和之氏

枝氏 : 私は開発部門にいますが、いま木村が言った触媒関連の技術は開発部門でも重要性が高いものです。また、水溶液中から水溶性成分を取り出す技術、脱溶媒の高度な技術をお持ちの企業様ともぜひ共創したいです。――というのも、日本の化粧品市場では化粧水のカテゴリーは市場が大きいため、「水溶性の成分」を高濃度で精製する技術が実現できれば非常にポテンシャルが高いのです。

木幡氏 : それらに加えて、環境負荷の測定や評価のしくみも採り入れたいと考えています。せっかくプロセス部分での使用エネルギー削減、二酸化炭素や環境影響物質の排出削減が実現できても、それがどれくらい環境に好影響をもたらしているのかを数値で表現できないと、外部に適切に伝えられませんからね。

「環境に優しいプロセスを構築しています」というだけではなくて、具体的に使用エネルギーを何パーセント減らしたとか、どれくらい二酸化炭素削減に貢献しているなどといったことを、数字で表したいのです。特に海外企業はそういうエビデンスを重視しますから。

――2つめのキーワードである「資源」というのは?

枝氏 : 先ほど出ていたシュガースクワランなどの話にも近いのですが、これまでは化粧品原料とは関係ないと思われていたような資源でも、活用できるものがたくさん眠っていると思います。たとえば、マリンコラーゲンという、サケの皮などから採れる成分で作ったコラーゲンがあります。以前は、サケの皮は廃棄するものでしたが、そこからコラーゲンを採取する方法が開発されて活用されるようになりました。

また、化粧品原料の話ではありませんが、それまでは捨てられるだけだった帆立の貝殻をパウダーにして殺菌剤に応用し製品化したとか、そういう資源活用の事例は地域にたくさんありますね。

地域で豊富に採れる資源や廃棄していた資源を、地方自治体や企業で、利用研究をしているとか、なにか活用できそうなものがあるといったことがあれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

▲株式会社コスモステクニカルセンター 素材開発部 部長 枝雄二氏

木幡氏 : 資源関連ということで言えば、発酵生産や微生物、酵素による物質変換など、バイオテクノロジーの分野での技術を持つ企業様とも共創したいと考えております。私たちが強みを持つ有機化学の分野と、高いバイオ技術との共創で、大きなシナジーが生める可能性があります。

――では、3つめの「界面化学」については、どのような共創をお考えでしょうか。

田村氏 : 界面化学、あるいは界面活性化技術は、私たちニッコールグループのコア技術です。言うまでもなく、これは水と油のようにそのままでは混ざらないものを混ぜ合わせる技術で、非常に応用範囲が広いものです。

私たちはこれまで、化粧品や食品分野にその技術を活用してきたのですが、私たち自身には気づいていない、もっと違った活用方法や応用分野が、まだまだあるのではないかと考えています。なにかを混ぜるとか、分離しないようにすることで解決できる課題をお持ちの企業様があれば、そこに対して私たちが提供できるノウハウは多いと思いますし、そこから新しい価値の創造が可能になると思います。

豊かな研究体制や、グローバルなネットワークを提供

――パートナー企業が御社と共創することのメリットには、どのようなものがあるでしょうか?

枝氏 : まず、弊社の特徴は、原料開発から、製造、処方開発、有用性評価、安全性テストまですべて一貫して自社でおこなえることです。特に研究所は、約70名の研究スタッフと、さまざまな評価分析機器を揃えております。そのため、1つのアイデアや素材に対して、さまざま視点から、試行錯誤してより優れた製品をシームレスに開発可能な点が、メリットとして挙げられます。

ちなみに、先ほども話に出ましたが、この研究所の一部は「開放研究室」として外部にも開放しており、1976年の設立以来、化粧品メーカー、医薬品メーカー、食品メーカーなど、国内外のさまざまな業種のお客様にご利用いただいています。

塚田氏 : 製品化に際しては、国内はもちろん世界40カ国以上に築いた販売ネットワークがあることも、共創パートナーにとって大きなメリットになると思います。これは、世界を相手にした販路があらかじめ構築されているという利点はもちろん、それらの国々の消費者や市場の動向情報が得られるというマーケティング面でのメリットも大きいと考えられます。たとえば、国内での需要はあまり見込めないが、海外では大いに需要が見込めるといった製品の開発、販売も可能性としては考えられます。

▲日光ケミカルズ株式会社 マーケティング推進部 マーケティンググループ 塚田崇典氏

木幡氏 : 先ほどお話ししたように、製造工場は、ヨーロッパの厳しい環境基準にも適合する管理体制を整えており、当然ながらISOなどの各種認証も取得しています。また、ハラル認証も取得しています。海外工場も含めて、グローバルな品質保証体制に完全に対応していることから、世界展開を見越した生産体制の構築も可能です。

――では最後に、共創を検討していただける企業様に対して、メッセージをお願いします。

田村氏 : 私たちは、もの作り企業です。もの作りを通じて世界中の人々の生活を向上させることこそ、私たちの喜びであり目的でもあります。そのような想いを共有していただける企業様がいらしたら、ぜひ楽しみながら、一緒に新しいものを作り出していきましょう。

取材後記

70年を越える歴史を持ち、化粧品原料メーカーとして有数のポジションにありながら、常に新しいことに挑戦するアグレッシブかつオープンな姿勢が特徴のニッコールグループ。取材当日も、開放研究室には海外からの研修者が訪れ、研究員たちと熱心に議論をしていた。このようなカルチャーを持つニッコールグループなら、オープンイノベーションによる共創もきっと実りのあるものになるであろうと感じられた。

(構成:眞田 幸剛、取材・文:椎原よしき、撮影:齊木恵太)

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